「iOS 11」は9月20日の水曜日に公開されましたが、アップデートは週末にするという方が多いと思います。バックアップなどに時間がかかるものなので。
それを差し引いても、iOS 11へのアップデートの初速が、前回の「iOS 10」へのアップデートより(少なくとも米国では)遅いと、米MacRumorsが米Mixpanelのデータに基いて報告しました。
公開から24時間後の時点で最新OSにアップデートされたデバイスは、iOS 10のときは解析対象全体の14.45%だったのに対し、iOS 11では10.01%でした。iOS 8とiOS 9は同じ12.60%だったそうです。
かつてのiOS 10文鎮化問題を覚えていたユーザーが慎重になったからじゃないかとも思いますが、iOS 11にアップデートすると32bitアプリが使えなくなることの影響も大きいかもしれません。
Appleは、2015年2月1日以降にApp Storeに登録するアプリは64bitじゃなきゃダメ、と事前に告知していて、2016年9月には32bitアプリをApp Storeから削除しました。それでもiOS 10までは、インストール済みの32bitアプリが(もうアップデートはされないけれど)動きます。
これが、iOS 11にアップデートしたら動かなくなってしまうのです。iOS 10の最新版では、「設定」→「一般」→「情報」→「App」で表示される「Appの互換性」にしっかり「AppがアップデートされなければiOS 11では動作しません」と書いてあります。
ここに表示されるアプリの中に1つでも「これからも時々は使ってみたい」というものがあったら、残しておきたいのが人情です。
ゲームやコンテンツで、初期の開発者魂が感じられたり、味わい深かったりするのに、既に32bitアプリの段階で開発は終了になっていて、64bit化されていないものがあります。こうしたアプリをiOS 11で動かすことはもうできません。
例えば、1991年にMacintosh向けにリリースされ、2010年にiOS版が出たゲームアプリの「Spectre」。点と線だけの単純な描画なのに結構ワクワクするタンク戦ゲームです。古くからのMacユーザーである私の夫は、これをたまーに起動しては懐かしそうにしています。
かつて美しいグラフィックスで人気だったパズルアドベンチャーゲームの「MYST」もiOSアプリ版があって、こちらも捨てがたいです。こうなってくると、ただの老人の思い出話の域ですが。
私も残念なのは、読めなくなる電子書籍が出てくることです。講談社の「スティーブ・ジョブズ」の電子書籍版がiOSアプリとして出ていて、上下巻で4000円したのにiOS 11では読めなくなります。まぁ、うちにはAmazon版も紙版もあるのでいいのですが。
夫がどうしても残しておきたいのは「PUFF!」だそうです。これは2009年にiOSアプリとして登場したものの、2010年2月のアダルト関連アプリ粛清でApp Storeから消えていったお色気アプリです(その後、Android版で復活しましたが今はもうありません)。
一応説明しておくと、PUFF!はマイクに息を吹きかけると、画面の女性のスカートが風でめくれるというアプリです。iPhone(当時のiPhone 3G)の楽しさ布教に役立つと、夫は当時飲み会などでよく紹介しておりました。
そんなわけで、昨日「iPhone 8」をゲットした夫は、引退させた「iPhone 6s」を永久にアップデートしないそうです。
ちなみに、先日MacとWindows向けに配信された「iTunes」アプリのバージョン12.7へのアップデートでは、MacとWindowsにiOSアプリをダウンロードして置いておけなくなりました。iOSアプリを購入・ダウンロードするには、iPhoneやiPadの本体で直接行うしかありません。iTunesをアップデートすると、MacとWindowsからは過去にダウンロードしたアプリ(32bitのものを含む)も見えなくなってしまいます。
かといってiTunesをアップデートしないわけにもいかないので、32bitアプリはもうiOS 10以前のデバイスでしか存続できないのでした。
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