iPadや液晶テレビをセルフオーダー端末に――汎用デバイス活用で導入しやすく居酒屋産業展

» 2010年08月18日 19時36分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 飲食店のセルフオーダー端末としてiPadを活用――。東京ビッグサイトで開催中の居酒屋産業展で、こんな展示が注目を集めている。

 セルフオーダーシステムは、回転寿司や居酒屋チェーン店などが導入し始めているが、専用端末が高価なことなどがハードルとなって、なかなか普及が進まなかった。しかし、専用端末に比べると安価で操作性に優れるiPadの登場で状況は一変。長引く不況でコスト削減の気運が高まっていることも手伝って、導入を検討する店舗が増えているという。

オーダーにiPadとiPod touchを活用――フーマトレーディング

Photo 来店者用のオーダー端末としてiPadを活用。iPod touchをオーダー用端末として使うことも

 フーマトレーディングは、タッチパネル対応の専用端末を使ったセルフオーダーシステム「フーマオーダー」を提供する外食産業の専門商社。オーダー端末からキッチンプリンタ、POSレジ、サーバ、無線LANネットワーク、オーダーシステムまでを一括で提供している。

 これまで同社は、オーダー用端末として飲食店向けの専用端末を活用してきたが、端末の単価が高いことや入荷が安定しないなどの理由から、新たにiPadを採用。フーマオーダーでiPadを使えるようにした。

 来店者向けのオーダーシステムだけでなく、入った注文を確認して調理するキッチンスタッフ向けのモニターや、フロアスタッフ向け端末にもiPadを採用。これにより、従来より安価にセルフオーダーシステムを導入できるようになると同社の説明員は話す。「導入するiPadの数やシステムの作り込みによって価格は異なるが、サーバなどのシステム一式と合わせて最低150万円くらいから導入可能」(説明員)。人がオーダーを受けるスタイルの店舗向けには、iPod touchをオーダー用端末として使えるようにするサービスも提供している。

 セルフオーダーシステム導入のメリットとして、フーマトレーディングの亀山氏は、繁忙期の対応に役立つ点を挙げる。「繁忙期に人が足りなくなった場合でも、オーダーを端末に任せれば売り上げを維持しながら少ない人数で店舗を回せるので、新たにバイトを雇う必要がなくなる」(亀山氏)。

 iPad自体が注目を集めていたこともあって飲食店側の関心も高く、「(タッチ操作に慣れている)若い人向けに導入したいという顧客も多い」と説明員。同社の強みである柔軟なカスタマイズ対応をアピールして、セルフオーダーシステムを普及させたい考えだ。

Photo キッチン用モニターやフロアスタッフ用端末にもiPadを活用

セルフオーダーにiPadやAQUOSを活用――シャープ

Photo シャープもセルフオーダー端末としてiPadを活用するデモを展開。デモでは居酒屋チェーン「養老乃瀧」からデータ提供を受け、メニューをアプリ化して表示していた

 シャープは、同社が提供するオーダーシステムに対応させたiPadとAQUOSを参考出展している。

 iPadには居酒屋チェーン「養老乃瀧」のメニューデータを使ったオリジナルのオーダーアプリがプリセットされ、ピンチ操作による画像の拡大やタップによるメニュー選択など、iPadのUIを生かしたメニュー操作を試せる。

 AQUOSはリモコンを使ってオーダーする仕組み。1画面に12のメニューが表示され、来店者はチャンネルボタンを押してメニューを選択。カーソルキーで数量を選び、決定ボタンを押して注文を確定する。カラーボタンにメニューのジャンル選択や精算画面の表示を割り当てるなど、使いやすくするための工夫を施しているのもポイントだ。

 説明員によると、最近ではテレビを入れる居酒屋が増えており、シャープとしては店舗が導入したテレビを注文用端末としても利用できる仕組みを用意することで、システム導入のハードルを下げたい考えだ。

 いずれもシャープのオーダーシステムを導入している店舗への提供を検討していると説明員。居酒屋チェーンは、追加オーダーをどれだけ取れるかが売り上げアップのポイントになるとし、いちいち店員を呼ぶことなくオーダーできるシステムや使いやすい端末を提供して、飲食店の効率的な運営をサポートしたいと話す。

Photo AQUOSを活用したセルフオーダーシステムを参考出展

Photo シャープのオーダーシステムと組み合わせて利用する

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