AppleのiPhone用SIMカード、業界への影響は

» 2010年11月02日 15時06分 公開
[Michelle Maisto,eWEEK]
eWEEK

 米AppleがオランダのSIMカードメーカーGemaltoと共同でiPhone用に独自のSIMカードを開発中との報道があったが、そうしたカードの登場に対する携帯キャリアの反応は今の時点ではまだ分からない、とアナリストは指摘している。この内蔵型SIMカードが実現すれば、欧州のユーザーはiPhoneをAppleのWebサイトか小売店で購入し、アクティベーションはその場で行うか、App Storeからアプリケーションをダウンロードして行えるという。つまり、携帯キャリアの役割が縮小するというわけだ。

 このニュースを最初に報じた米ブログメディアGigaOmによると、この情報は「欧州の複数の携帯キャリアの関係者」から得たもので、「フランスの複数の携帯キャリア」の幹部らがここ数週間の間にApple本社のあるクパティーノを訪れているという。

 ただし、秘密主義で有名なAppleが何かしら詳細を発表するまでは、同社が具体的に携帯キャリアの役割(つまり支配力)をどの程度奪うつもりなのかは不明だ。

 「ユーザーがiPhoneを入手しやすいようにするというのがAppleの狙いであるのなら、それは設定の手間の軽減につながるため、歓迎する通信事業者もいるだろう」とStrategy Analyticsのアナリスト、ニール・モーストン氏はeWEEKの取材に応じ、語っている。同氏によれば、そのほかにも各種のシナリオが考えられるという。

 「もし独自SIMカードを持つことによってAppleが顧客に対する支配力を携帯キャリアから奪おうとしているのなら、困惑する通信事業者も少なくないだろう。あるいはAppleがiPhoneをマルチSIM対応のスマートフォンにしようとしているのなら、通信事業者は顧客に対する支配力を完全に失うことになるため、通信事業者にとってはこれまた問題だ」とさらに同氏は続けている。

 Strategy Analyticsのアナリスト、ケン・ハイヤーズ氏によれば、このモデルは欧州ではうまくいきそうだという。欧州では既に、端末購入時の携帯キャリアの縛りは弱いからだ。

 「欧州では、スーパーや大手携帯電話小売店のCarphone Warehouseに行って端末を購入し、その上で通信事業者から直接SIMカードを購入するのが一般的だ」とハイヤーズ氏はeWEEKの取材に応じ、語っている。「わたしとしては、欧州ではこのやり方がうまくいくと確信している。それにAppleであれば、その気になれば、米国でもこのモデルを成功させられるかもしれない」とさらに同氏は続けている。

 一方、Endpoint Technologiesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は、欧州市場に関しては、このモデルがそれほど過激なやり方ではないとの見方に同意している。

 ケイ氏は今回の報道について、「もしかするとAppleはiPhoneの購入方法をもう少し自分たちで何とかしたいと思っているのかもしれない。iPhoneの購入体験を自分たちでコントロールすることで、全体的により良い体験を提供したいとの考えからだ」と指摘している。

 「何か利他的な願望からというわけではなく、徐々に競争が激しくなる分野において競争力を高めるための追加の手段としてだ」と同氏は言う。

 「ユーザー体験を良いものにすれば、ビジネスは成功しやすい」とさらにケイ氏は続け、次のように説明している。「これは、Androidとの長期的な競争に備えるための1つの方法なのかもしれない。自社のブランドをほかと差別化するための方法にもなる」

 では販売奨励金にはどのような影響が及ぶのだろう? 携帯キャリアは販売奨励金を負担することでユーザーに割引料金で端末を提供しており、こうした販売奨励金はスマートフォンの採用がこれほど急速に加速している大きな要因とされている。

 「端末を販売しないのであれば、携帯キャリアはパッケージ販売をできなくなってしまう」とケイ氏。「もっとも、欧州ではこのやり方が既にうまくいっている。欧州では、(端末とサービスの)バンドル販売はあまり行われていない。米国のユーザーは携帯キャリアのロゴ入りの端末を持ち歩くことに慣れているが、欧州では携帯電話はもっとパーソナルな持ち物だ。端末を携帯キャリアから貸してもらっているように感じることもある米国とは、対照的だ」とさらに同氏は続けている。

 だがStrategy Analyticsのモーストン氏によれば、販売奨励金という選択肢を失うことは携帯キャリアにとって簡単に受け入れられることではないという。

 「iPhoneに販売奨励金を出している成熟市場の通信事業者は、Appleに独自SIMカードを持とうという動きが見られれば、強く反対するはずだ。通信事業者がiPhoneの販売奨励金を打ち切り、小売価格を引き上げれば、高額商品であるiPhoneの売れ行きや利益幅はすぐにも減速するだろう」と同氏はeWEEKの取材に応じ、語っている。

 詳細が明らかになるまでは、Appleファンは代わりに「Verizon対応iPhoneが近く登場」とのうわさを楽しみにしているといいだろう。このうわさは既に何度も出ているものだが、今回はFortune誌がこの端末の発売を確認したと伝えている。

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