アイデアマラソンで思いついた発想をブラザーの「SV-100B」で見る樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

1984年から始めたアイデアマラソン。毎日の発想はどんどん溜まってすでにノート364冊分、どのように電子データとして保存するか、レビューするか、ずっと悩んできたのである。保存についてはScanSnapだった。レビューには、ブラザー工業のドキュメントビューワ「SV-100B」を試してみた。

» 2009年04月27日 10時00分 公開
[樋口健夫,Business Media 誠]

 1984年から始めたアイデアマラソンで、毎日出す発想の記録は、どんどん溜まってすでに364冊になった。多数のノートを、どのように電子データとして保存するか、そしてレビューするか、ずっと悩んできたのである。

 2004年に商社を定年退職した時、PFUドキュメントスキャナScanSnap」を購入。数週間かけて、当時280冊のノートをすべてスキャンした。スキャンデータは、PCの内蔵HDDと3つの外付けHDDに保存。万が一の際の保護のために、別々のところに分けて置いている。

 全てPDF形式で保存したスキャンデータを精査すると、アイデアマラソンによる筆者の発想は、ちょうど30万個に達しつつある。

ドキュメントビューワ「SV-100B」

 このタイミングで画期的な製品が現れた。一般向けの電子ペーパーである。すでに電子ペーパーは、海外や国内でも一部の業者向けに提供されていたが、今年は個人向けの製品が国内でも流通し始めている。

 この3月に、ブラザー工業がドキュメントビューワ「SV-100B」を発表した。発売予定は6月。価格はオープンプライスで、実売価格は13万9800円前後になる見込みである。

モノクロ液晶ながらクリア、反応は早く、見やすい

モノクロ液晶ながらクリアな表示
電源をオフにしても電子ペーパー上には表示が残るのもうれしい

 ノートの研究が筆者のライフワークの1つだから、これを見逃すわけにはいかない。筆者はさっそくブラザー工業からSV-100Bを入手した。すでにPDF化してある364冊のアイデアマラソンノートをSV-100Bで閲覧するためである。

 まずPCにSV-100Bの付属ソフト「SV-Manager」をインストール。ソフトを起動し、PDFファイルをSV-Managerで変換すれば、SV-100Bで見られるようになるのだ。

 SV-100Bでは、2GバイトのmicroSDを使って約1万ページ(A4サイズ)まで閲覧できる。筆者のアイデアマラソンは全部で8Gバイトなので、2GバイトのmicroSDなら4枚ほど必要ということになる。SDHC対応などもっと大容量のmicroSDが使えるようになれば、筆者のノートは全部電子化できるわけだ。A5サイズをひと回り大きくした本体サイズ(237×247×15.5ミリ)、重さ600グラムのSV-100Bで持ち運べるメリットは大きい。

 9.7型(202.8ミリ×139.4ミリ)のディスプレイで、表示解像度は約150dpi(1200×825ドット)。4階調のグレースケール表示に対応する。電源スイッチを入れると、パッと表示。白黒ながらクリアな表示である。反応は早く、見やすい。約83時間(5000ページ表示)の連続駆動時間も見逃せないポイントだ。

編集したり、書き込んだりしたい!

 ただ、もっと改良してほしい点もある。1つはファイルの変換。Adobe AcrobatのようにPDFファイルをそのまま編集したり、作成したりする機能がセットになってもいい。というのも、既存の書類をスキャナなどで取り入れる場合、PDF形式でさまざまな修正を加えることが必要だからだ。それらをSV-Managerで、SV-100Bで読み込める形式に変更するのは結構面倒。できればPDFをそのまま読み込んで、編集したいと思った。

 もう1つは上記と似ているが、もっとに自在に書き込める機能。現在でも、しおりは挟めるが、メモを自由に書き込んだり、付せんを付けるようなことができない。手描きの絵や文字を書き入れられれば理想的なノートになるはずだ。

 わがままかもしれないが、カラー化もお願いしたい。せめて文字の濃淡を調整できるようにしてほしい。現状では白黒だから、元のノートが黒色の字なら見やすいが、青色の字だとかなり見にくいことが分かった。コピーと同じで、青色のペンの利用は問題がある。


 今までのアイデアマラソンで生まれた発想を常時携帯するのが筆者の夢だった。いろいろお願いを書いたが、SV-100Bのおかげで正にこの夢が実現したと言えよう。

 筆者としてはこれから、8Gバイトの発想をできるだけ精選する作業に入る。30万個の発想を約1万個程度のリストにするのだ。よい発想だけを選択して、それらの発想をできるかぎり実現しようということである。

 この“発想選択計画”は、ゆっくりと進めていたが、途中経過としてみると、筆者が気に入った発想は、当初の予想よりもはるかに多かった。30万個をレビューしていても3万個を超えるのではないかと推測している。

今回の教訓

 今度は富士通フロンテックの「FLEPia」(フレッピア)も試すよ。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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