『西郷南洲遺訓』――西郷隆盛によるリーダーシップ41カ条とは藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

明治維新の立役者である西郷隆盛がリーダーシップと国家運営について語り残したのが『西郷南洲遺訓』。「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るもの也」。この名言からあなたは何を感じるだろうか。

» 2009年09月18日 08時30分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]
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 西郷隆盛がリーダーシップと国家運営について語り残したのが『西郷南洲遺訓』である。41カ条あるといっても、20ページほどの小編であってすぐに読める。現代訳もインターネット上に落ちているが、経営者などリーダーを目指すならば、ぜひ原文を読んでおきたい。

西郷隆盛が考えたリーダー像とは

 自分のエゴを捨て去ることを西郷はリーダーに求めた。「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るもの也」。この西郷による名言は、遺訓第三十カ条からの抜粋である。働きぶり、生活ぶりが市民から見て気の毒に見えるほどであるべき、と語る。本を読むにしてもその精神の体験が必要であり、知識だけでなく真心がなければ世の中をスピーディに動かせないという。

 国家運営では、必要最低限の施策をとるべきと考えた。財政が苦しいから安易に税金を上げれば、役人と国民は敵対し国は分裂する。税金はできるかぎり安くおさえ、歳出は収入の範囲内に留める。未来への教育、現在を守る軍備と農業に関する政策を最優先すべきとした。

現代の西郷はどこにいるか

 政府にせよ国にせよ、西郷が描いたリーダー像・国家像とはかけ離れつつあるように見える。明治維新時に西郷隆盛は40歳だったから、30代にして幕末を駆け抜けた。次世代を見据える現代の西郷は、今の20代から30代にいるかもしれない。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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