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» 2012年04月18日 11時00分 公開

説明書を書く悩み解決相談室:そのグラフは数字が持つ意味を表せていますか? (2/2)

[開米瑞浩,Business Media 誠]
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 とはいえ、グラフを見ているとこんな仮説も浮かんできます。

 「全体として安いものへ流れている」解釈と、「低価格品の中での主役交代が起きている」という解釈では市場の読み方、打ち手が違ってきます。結局のところ他人の解釈を頼りにせずに自分で考えなければならず、そのためにはグラフを書くのは非常に役に立つわけですね。

グラフの数字が示す意味を考えよう

 現在では表計算ソフトで簡単にグラフが作れてしまうため、チョチョイっとデータを放り込んだ「取りあえず作ってみました」的な安易なグラフがよくあります。でも、取りあえずじゃダメなんですね。そのグラフが示す意味は何か? を考えて、その意味を表せているかどうか? を確かめることを習慣にしましょう。

 グラフが示す意味をはっきり示そうとすると、グラフの形式を適切に選んだりデータの並び順を変えたり注釈を付けたりと、考えなければいけないことが増えます。そしてそれをやっていると「あれ? 本当に安いものへシフトしているんだろうか?」と、最初の解釈に疑問を感じるような場合もよくあります。

 新聞記事にはよくこのような解釈付き報道がありますが、単にグラフを書いてみるだけでその解釈に疑問が出てくるケースもまた多いものです。疑問というのは人が問題を理解するために非常に重要なきっかけで、疑問を持って考えたことについては理解が深まります。

 グラフを書かないと解釈付き報道をそのまま何の疑問も持たずに信じ込んでしまいがちですが、グラフを書いてその解釈を明示するように工夫してみると疑問が生まれるので、それを手掛かりにして人は成長していけるわけです。

 というわけで、数字が出てきたらグラフにしてみましょう。その際、数字が持つ意味が明確になるようにグラフに一手間加えることを習慣にするとなお良いです。それは単に読者にとって分かりやすくなるだけでなく、自分自身が問題をよりよく理解するためにも大事なことなのです。


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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』、『頭のいい「教え方」 すごいコツ!』


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