上司が大変そうに見えても、実は部下のほうがもっと大変未来の人事を見てみよう(3/3 ページ)

» 2012年10月12日 12時00分 公開
[調祐介,Business Media 誠]
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神経科学の観点から見た、ストレス緩和に効く5つの要素

 この調査を踏まえて、神経科学(neuroscience)とリーダーシップを研究しているDavid Rock氏は「神経科学の知見がこの状況の打破に寄与するだろう」と述べています(「Being the Boss Isn't So Stressful After All:結局上司になることは何らストレスにならない」)。

 現在の神経科学の最新の研究も、この上司のストレスに関する研究を指示するものだそうで、

One of the big ideas that has emerged out of the connection between neuroscience and leadership is that leaders are largely motivated by what we've come to call the SCARF model.

 神経科学とリーダーシップとの関連において新たに出てきた重要なアイデアの1つは、我々がSCARF(スカーフ)モデルと読んでいる要素によって、リーダー人材が大きくモチベーションを高められるというものだ。

 このSCARFモデルとは、脳に対して大きな危険(threat)もしくは報酬(reward)をもたらす「5つの社会性ある経験のこと」だそうです。先ほど「コントロール性を部下に付与すべき」という話がありましたが、このSCARFの5要素をうまく提供していくことで、部下のストレスを効果的に減らしていくことができるかもしれません。

  • Status(地位/ステータス):金銭よりも高い地位に伴う尊敬の念などが幸福感をもたらす
  • Certainty(確実性/必然性):長期保証された契約や高い報酬に伴った自信の増加
  • Autonomy(自主性/自律性):上記のようなコントロール性による裁量の拡大
  • Relatedness(関連性):(筆者注※これは記載なしでした)
  • Fairness(公平性):ビジネスで成功しているからこそ感じる公平感

 ちょっと今回の話題から見るとこじつけ感もありますが、Autonomyつまり裁量の観点は入ってますね。このモデルの詳細を知りたい方は、こちらのPDF(英語)をどうぞ。

 ちなみに冒頭で上司の白髪を気にしていた人は、結局このような結論に至っていました。

This could explain the renegade gray hairs I found on my chin stubble this morning.

 この(調査)結果で、今朝無精ひげの中に見つけた反抗的な白髪の理由が分かったよ……。

 ストレスを感じていたのは、上司ではなく自分だったんですね……。以前上司の必要性や効用に関する記事を紹介しましたが、それぞれのポジションをうまく機能させる人材マネジメントを、取り入れていきたいところです。

 ご一読感謝!

※この記事は、誠ブログ「未来の人事を見てみよう:上司が大変そうに見えても、実は部下のほうがもっと大変」より転載、編集しています。

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