歴史は「つなげて」、会計は「シンプルに」――難しそうな勉強も図解でやってみるすべての勉強は図でうまくいく

つなげて、まとめる、というシンプルな図解式勉強法。今回は「歴史」や「会計」といったちょっとむずかしめな勉強に応用してみます。

» 2012年11月20日 19時45分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 つなげて、まとめる、というシンプルな図解式勉強法。前回までは、その基本的なルールを紹介しましたが、今回は「歴史」や「会計」といったちょっとむずかしめな勉強に応用してみます。

歴史年表――時間とエリアのつながりを同時に示す

 歴史は、まさに事件の年表です。歴史を学ぶ場合には、カテゴリー上、日本と世界の歴史を別々に学ぶわけですが、実際には日本とアジア、日本と欧米のつながりなくして歴史は理解できません。

 どんな歴史を学習するにせよ、歴史の全体像を把握しておかないと、細かい部分に理解が及ばないのです。したがって、国やエリアごとの歴史を学ぶ前に、全体を俯瞰(ふかん)する図を作成するといいでしょう。

 具体的には、縦軸に時間、横軸にエリアを設定し、イベントが起こった年代に合わせて書き込んでいきます。とりあえず世界の流れを理解するために、あえて個別事件の発生年など細かい情報は取り除いています。

 「国連発足」のようにエリアを横断して起こったイベントは、横に串刺し状に記入します。エリアを越えて影響を与えた事件やトレンド同士も線で結びましょう。

例えば、アジア・アフリカの列に記入した「朝鮮戦争」は日本に大きな「特需」をもたらしましたので、朝鮮戦争から特需に矢印マーク(→)を追加します。

 このように大きな時代のくくりをひとまとめにして頭に入れておけば、細部を勉強するときに芋づる式に記憶が引き出しやすくなります。

膨大な情報を頭にスッキリ収めるコツは、全体→個別、概要→詳細という順序でインプットすることです。そのためにも、まずは全体年表を頭に入れましょう

難しい会計用語――大まかなブロックをかみ砕いて再分解

 会計や簿記は用語や概念が難しいので、敬遠する人も多いでしょう。しかし、図にするとシンプル。例えばB/S(貸借対照表)が表わしているのは「持ち物(資産)」は「他人の持ち物(負債)」と「自分の持ち物(資本)」のどこかに属する、ということだけです。実にシンプルですね。

 さらに負債は「すぐに返す、すぐにお金になるもの(流動資産・負債、と言います)」「すぐに返さない、すぐにお金にならないもの(固定資産・負債、と言います)」に分かれます。これらをすべてB/S(貸借対照表)の左右に配置していけば、1つ1つの用語の意味や会計上の意図がよく分かります。

 実際に描いてみると、単純なブロックを積んでいるだけのものであると気づくでしょう。会計のルールは「左右が同じ高さになる」というだけです。大事なのは、各々の絶対額というよりは、左右のバランスです。会社の規模ではなく、プロの会計士が最初に見るのは「資産」と「負債」のバランス、アンバランスです。

 つまり「すぐに返せ!」と言われたときに「すぐに返せる」かどうかを見ているわけですね。これらも図にしていれば、ブロックの高さを見れば、ひと目でチェックできます。

 次回は、数字や統計データを含む内容を、どうやって図解で覚えやすく、分かりやすくするかをご紹介します。

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 勉強が苦手な人、覚えたり、まとめたりするのが苦手な人でも「図解式勉強法」を身に付けることで、理解力と記憶力が驚くほど向上! これまでの辛い、退屈な勉強法とはおさらば。新しい学習方法は、あなたに新しい人生の扉を開いてくれることでしょう。


目次

  • 第1章:「図解」を使うと、なぜ頭がよくなるか?

 これまでの学習方法がうまくいかない理由と知識を構造化する図解のメリット

  • 第2章:「図解」の基本はたった“これだけ”!

 理解力、記憶力が劇的に深まるキーワードをつなげて、まとめる方法

  • 第3章:「図解」の応用で成果が10倍アップ!

 6つの情報整理箱で学習効果が見違えるほどに

  • 第4章:まとめノートの作り方

 自分専用必勝教科書ができる

  • 第5章:実力を飛躍的に高める習慣

 プラスの循環が始まる法則

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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