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バンダイナムコ独自の役職“チーフガンダムオフィサー”を直撃 目指す未来戦略とは1500億円規模に成長(2/4 ページ)

» 2021年09月13日 19時18分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

海外でガンプラ需要急増

――海外展開をしていく上で、ガンダムIPのどこに需要を感じていますか。

 まさにガンプラに需要があると思っています。プラモデルの事業全体でいうと、海外の比率が高いです。ここ数年で一気に市場として大きく成長してきていて、特に昨年、おととしぐらいから北米で一気に広がっているんです。

――北米で一気に広がった要因は何だったのでしょうか。

 それまでガンプラは現地の模型専門店にしか扱ってもらっていませんでした。ところが、米国のチェーンストアであるターゲットやウォルマートでも扱ってもらえるようになり、一気に広がった感じです。

――模型専門店から誰もが足を運ぶチェーンストアに置かせてもらえるようになるまで、どんな展開をしていたのでしょうか。

 ずっと地道に、現地のコミックコンベンションをはじめとしたイベントに積極的にガンダムのブースを出展し続けていました。出展するだけでなく、並行して動画配信を含めて映像を現地に届ける活動もこの10数年やってきました。

 その過程で、着実に認知が広がりました。同時に出展イベントでは無料でプラモデルの体験会も開き、商品に触れる機会を増やしてきました。ガンダムシリーズは40年以上にわたって展開していますから、今や一般企業の決裁者、管理職にも理解のある方が増えてきています。

――企業の意思決定者にもガンダム好きな人がいるわけですね。

 特に日本では多いですね。いま横浜でやっている「動くガンダム」を進めるにあたっても、いろいろな企業にご協力いただきました。その中で全ての企業さんに共通していたのは、みんなガンダムが好きだということなんです。ですからビジネスで付き合っているというよりも、ガンダムだから一緒にやる部分が実際にあったんです。

――1500億円規模の売り上げを達成するにあたっては、やはりガンプラという既存事業を中心に伸ばしていく考えでしょうか。

 そうですね。海外はもちろんですが、国内においても、ガンプラが普及している地域には格差が結構ありますので、まだまだ伸び代はあると考えています。一方でガンプラ以外にも、まだ当社がやれていないガンダムの事業もこれから生まれてくると思っています。

――21年3月期のバンダイナムコグループのIP別売上高を見ると、一番実績をあげているのがドラゴンボールの1274億円で、ガンダムは2番目という立ち位置になります。グループの中で、ガンダムというIPを、どう位置付けていますか。

 ガンダムは「創通」という版権管理をしていた会社が20年にグループ入りをしたことで、版権についてもグループで運用できる自社のキャラクターになったわけです。そういう意味ではビジネスとしての可能性も広がりますし、40年間やってきたことにおける世界的なファンも多いことを考えると、ガンダムをもっと大きくしていくのが当社の使命だと思っています。

2021年3月期のバンダイナムコグループのIP別売上高

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