トップインタビュー

バンダイナムコ独自の役職“チーフガンダムオフィサー”を直撃 目指す未来戦略とは1500億円規模に成長(3/4 ページ)

» 2021年09月13日 19時18分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

他のアニメとのコラボも

――海外ではアジア地域が中心とのことですが、具体的にどの国に可能性を見いだしているのでしょうか。

 中国や東南アジアが中心となっているわけなのですが、全てにおいて伸び代があると思っています。特に中国には大きな伸び代を感じています。まだ取り組めているのは上海や広州の沿岸部だけなのが現状です。上海を含めて沿岸部は情報の発信はありますが、中国のマーケットを考えると内陸部にも大きな可能性があります。

 今後は内陸部にも積極的に展開していく考えです。ただ、当社は内陸部における商流をまだ確立できていないところもありますので、今後はそこに注力していきたいですね。規模として、中国が圧倒的に大きいマーケットになりますし、やれることはまだまだあると思います。

――貴社が開催した「ガンダムカンファレンス」では、ガンダムというキャラクターをIP(知的財産)からSP(社会的アイコン)にしていくと話していました。既にアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」では、背景としてお台場のガンダムが登場するなど、他作品に登場する動きもあります。SPになるということは、今後こうした動きが加速するということなのでしょうか。

 「ラブライブ!」では、ガンダムと同じサンライズが制作するアニメというのもあり登場しましたが、今後もこうした動きはあると思います。今のところ具体的に決まっているわけではないですが、こうしたコラボ展開を制限するつもりもありませんので、広くガンダムを認知してもらうことにおいて、他のアニメとのコラボレーションは今後出てくると思っています。

――バンダイナムコグループ以外のアニメ作品や、実写のドラマ作品などでも背景などにガンダムが登場することも考えられるということでしょうか。

 そうですね。今後はこうしたコラボも積極的に進めていきたいと思います。そうした積み重ねをもとに、ガンダムをSPとして育てていきたいですね。

――「ガンダムカンファレンス」ではサステナビリティについても語られていましたが、SDGs(持続可能な開発目標)の切り口などで、ガンダムで何か具体的な施策を進めていく考えはありますか。

 持続可能な取り組みとして17のテーマがありますけれども、ガンダムを通じて地球の環境問題を広く啓発していければと思います。ガンダムという作品はいろいろな切り口がありますが、地球環境を考える上でも重要なメッセージがたくさん盛り込まれています。

 これからのSDGsを世界的に推進していくにあたり、ガンダムというキャラクターを使うことでそれをより加速させるのであれば、どんどん使ってもらっていいと思います。そしてそのためのきっかけ作りを大切にしていきたいと思っています。

――従来のキャラクターライツビジネスでお金を稼ぐというところから、SPとしてより公益的にもステップアップしていく形ですね。

 そうですね。そういうことはこれから必要になってくると思います。バンダイナムコグループだけで何でもできればいいというわけではありません。ガンダムというキャラクターをもっと社会的に大きくしていくにあたって、当社が手掛けていない事業でも広くガンダムを生かしてもらう必要があると考えています。そうすることで、よりガンダムのファンが増えていけば、それは非常に良い環境づくりだと思っています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.