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「年収やスペックでフィルターをかけない」 マッチングアプリTinder Japanの女性トップを直撃「ニューノーマル」な出会いを提供(3/5 ページ)

» 2021年10月30日 10時38分 公開
[武田信晃ITmedia]

BIGO LIVEの日本法人代表

――チョウさんはTinderの前はBIGO LIVEの日本法人代表を務めていましたが、その時はTinderをどのように見ていましたか?

 米国に「Sensor Power」というモバイルアプリの調査会社があります。20年3月ごろ、BIGO LIVEがノンゲーミングの世界売り上げランキングでベスト10入りしたのです。 

 その時の1位がTinderで、注目するようになりました。20年夏、BIGOのオフィスの周りに(Tinderブランドアンバサダーを務める)水原希子さんのポスターがたくさん貼られていて、面白いキャンペーンをやるなと思いました。米国のBIGOでもマッチングアプリを出したのですが、参考事例としてTinderを調べました。その時に、「シンプルさという点で勝てない。スワイプという直感的な操作ができるのはすごい」と思いました。

Tinderブランドアンバサダーを務める水原希子さん

――Tinderの一番の特徴は何なのですか?

 「フィルター」をかけないということです。ほかのサービスでは年収、身長、星座、血液型などスペックでフィルターをかけて検索をします。一方、Tinderはスペックでフィルターをかける機能がないので検索はできません。ほかのアプリは年収の入力欄があったり年収証明を提出しないといけなかったりしますが、Tinderはプロフィールの記入に一定のフォーマットがないので自由に自分を表現できます。

――では、Tinderは今後も年収を書かせるようなことはないわけですね?(笑)

 はい。昨年のSwipe Nightにしても、1つの体験を共有して、何かを選択することでマッチングをしてもらいました。このように各々が価値観を表現する場であるべきだと考えています。

 写真だけの平面的な2Dの世界ではなく、3D的にこの人はこういう価値観で、こういうバイブスを持っているという価値観を見る方法によって、人と人との出会いをデザインしているのです。それが10年間も業界でトップを走れている理由だと思います。

――次のTinderを作っていく上でどんなビジョンを持っていますか?

 例えば婚活アプリは「相手を見つけるため」「マッチングを成立させるため」にデザインされているアプリですが、Tinderは自分の性的指向と性自認を自由にプロフィールに表示できます。フィルターをかけないのが特徴なのですが、そもそも、自分は男性か、女性かというカテゴリーで分類されたくない人もいます。

 また、恋愛相手を探すのは可能性の一つとしてありますが、ほかに同性や異性の友達を探すケースもあるのです。「可能性は無限大」なのです。今回の(水原希子さん出演の)CMについてSNSを見ると「同性同士でも探せるんだ」という反応がありました。

 実はTinderをApp Storeで探すとき、ほかのマッチングアプリはSNSのカテゴリーになるのですが、Tinderはライフスタイルのカテゴリーに分類されています。Tinderは1つのライフスタイルだと思ってもらいたいですね。

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