――そういう観点では、地方創生とITの活用は切っても切り離せない関係にありそうです。
家入: インターネットテクノロジーの本質って、あらゆることを民主化していくことだと信じています。クラウドファンディングも、資金集めを民主化しています。今回のスペースポートも、宇宙港を開かれたものにしていく。これまで、宇宙事業やロケット事業に一般の人が関わる手段ってなかったと思うんですよね。これもある種の民主化だと思っているんですよ。
堀江: すごく良いこと言いました。投資型のクラウドファンディングなどを通して関わり方が増えてきて、宇宙開発もより民主化していくと思います。民主化、分散といったテーマで思考すると、面白い正解が生まれてくると思いますね。
以上が記者発表でのインタビュー内容だ。大樹町とSPACE COTAN、CAMPFIREは10月1日に、クラウドファンディングを活用した地域づくりと宇宙のまちづくりを目的としたパートナーシップ協定を締結した。第1弾の取り組みとして、11月30日までのクラウドファンディングも開始している。集めた資金はHOSPOのPR、営業や商品開発などに活用する狙いだ。
金額は1口5000円のコースからで、最高額は10億円のコースで「LC-1でロケットを打ち上げる権利」といったリターンも用意した。さまざまな形での関わり方を提示することによって「宇宙の民主化」を進める。
また、SPACE COTANの取り組みとして、10月にHOSPO施設や滑走路のネーミングライツの募集も開始し、11月15日まで募集している。権利期間は22年4月からの5年間で、企業名でも個人名でも設定可能とした。こうしたネーミングライツをビジネスにする取り組みは増えている。高知県出身の坂本龍馬を冠した「高知龍馬空港」や、『ゲゲゲの鬼太郎』にちなんだ鳥取県「米子鬼太郎空港」など、空港のネーミングライツ募集も出てきた。
同社は11月5日に帯広市で開催される「北海道宇宙サミット2021」の様子を「北海道スペースポート公式YouTubeチャンネル」から配信する。宇宙ビジネスのキーマン25人が登壇するサミットの配信を通し、日本の新たな成長産業となる宇宙ビジネスについて対外的にアピールする狙いだ。
大樹町の酒森正人町長は、ビデオメッセージで「CAMPFIRE社のノウハウ、知見を大樹町の地域づくりと掛け合わせることで、地域事業者のクラウドファンディング活用を促進し、新たな街づくりの芽を育てていくことに期待をしたい」と述べた。
企業と地域、そしてその支援集めの手法にも変化が生まれている。「宇宙」の存在が身近になり、関わり方にも変化を持たせることによって企業は次のステージに向かおうとしている。その一方で堀江氏は、実際に移住をする際の生活コストや楽しむ場づくりの面ではまだまだ課題も残されていると、イベント後の単独取材で述べた。
産業の創造と、町の暮らしの両面に向き合う産官学の取り組みは、堀江氏が指摘するように、「次の次の世代」にまで視点を広げる必要がありそうだ。
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