「宇宙飛行士部」が発足したのは、宇宙飛行士を13年ぶりに募集することをJAXAが検討しているからでもある。JAXAでは今後、5年ごとに宇宙飛行士を募集することを予定している。その理由を、JAXAの岩本人事部長がイベントで次のように説明した。
「宇宙飛行士として活動する場所は、現在は宇宙ステーションの運用が中心ですが、将来的には月や火星など幅広い場所に広がります。2040年には、1000人ほどが月に住んでいるのではないかと想定しています。
日本としては、宇宙で人々が暮らせるような施設や設備を作り、宇宙を次世代につないでいける人を選んでいきたい。建物を作る大工さんや、料理を作る人も必要になるかもしれません。今後は多種多様な人が宇宙に行く必要があると思っています。一緒にベースを作る人の参加を期待しています」
実際に、宇宙の開発や、宇宙を活用したビジネスは、米国を中心に世界中で活発化している。9月には米スペースXが世界初となる民間人だけの宇宙旅行に成功。衛星のデータを活用した技術などは、今や生活に身近なものになっている。
ただ、日本における宇宙ビジネスのマーケットは拡大傾向にあるものの、規模としてはまだまだといえる。マーケットを広げるためにも、宇宙に関わる人材を増やすことが求められている。岩本氏はイベント終了後のインタビューで、次のように語った。
「JAXAも宇宙業界全体も、圧倒的に人が足りないというのが正直なところです。現状、ロケットや衛星のような宇宙技術の専門家自体も十分ではないですが、今後、多くの人が宇宙で暮らすようになれば、宇宙技術の専門家はもとより、宇宙技術以外のいろいろな専門性を持った人たちも宇宙に関わる必要が出てきます。
JAXAでは企業と協定を結んで、人材だけでなく技術も含めて流動性を高めていますし、ベンチャー企業から研修にも来ていただいています。どんどん人を育てて、宇宙で仕事ができる人を増やしていきたいですね」
宇宙飛行士部では「めざせ!未来の宇宙飛行士講座」を月に1回開催。1年間で11回のカリキュラムを組んでいる。レッスンは宇宙飛行士試験の最新情報に沿って実施する予定で、宇宙飛行士を目指すことを身近に感じられる講座にするという。
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