これまでハイブリッド車や燃料電池車(FCV)などとの組み合わせが求められると主張し続けていたトヨタ自動車が2021年、電気自動車(EV)の世界販売台数を2030年に350万台とする目標を発表した。EVへの慎重姿勢を一気に払拭(ふっしょく)したい狙いが垣間見える。
米テスラをはじめとして世界の自動車メーカーは一気に「EVシフト」を進めている。10年にEVの先駆けである日産リーフを発売した日産自動車。未来の自動車産業をどう見ているのかを取材した。
日産は21年12月に、日産グローバル本社ギャラリーで、リアルとバーチャルを駆使して同社が描く最先端の電動化技術を体験できるイベント「Nissan Futures」を開催した。会場では、日産の電動化の歴史がよく分かるように展示されていた。
過去のゾーンでは、1947年に製造された「たま電気自動車」の展示があった。これは戦後、GHQが飛行機の製造を禁じたことにより、後のプリンス自動車である立川飛行機が、多摩にあった工場を借りて製造したものだ。当時はGHQの統制下であり石油が市場に出回らなかったことから製造された。後にプリンス自動車は日産と合併するのだが、日産のEVのDNAがここにあったことが分かるようになっていた。
イベントではその後、EVがどのような構造になっているのか説明があった。日産リーフは、高性能の蓄電池機能を生かして電源としても活用できるという。特に地震などの災害により停電が発生した際にも、パソコンや携帯電話の充電、エアコン、照明などに使える非常用電源として3〜4日間は機能することを紹介した。
そして、現在売られている2021‐22年の「カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した「ノート」「ノートオーラ」のほか、e-POWER搭載予定車両として中国で販売されているエクストレイル、欧州で売られているキャシュカイといった海外車両を展示。JAXAと日産が共同研究をしている「月面ローバ(月面探査機)」(試作機)も展示されていた。
未来の車の形を提案するコンセプトカーとしては、新開発したEVプラットフォームを採用した軽自動車のEV「ニッサンIMkコンセプト」を紹介。これは「水引」模様をデサインに取り入れるなど和を意識したモノにもなっている。また、次世代のクロスオーバーEVである「NISSAN CHILL-OUT(チルアウト)」というコンセプトカーが舞台の上に展示された。これは「日産が提案するこれからの時代のEV」だという。
「Concept Car Virtual Stage」では、モーションキャプチャーとCGを駆使して2030年の車が目の前に現れるような体験型の企画もあった。その他「ARIYA Single Seater Concept」という未来のEVレーシングカーのスタイリングを考慮したモデルの展示などさまざまな仕掛けがいくつもある。
イベントを開催した狙いについて、日産のグローバルブランドエグゼキュ―ション&エンゲージメント本部の青山真理子主担は「長期ビジョンとして『Nissan Ambition 2030』を掲げました。その核となるのが電動化です。イベントを通して日産の挑戦の歴史を体感してもらいたいというのがポイントです」と話す。
若者の車離れが進んでいるといわれて久しいが、EVを含めて車をいかにして若い世代に訴求していくのかを問うと「移動のための道具ではなく、移動時間と空間を楽しむ体験をしてもらうことが大事だと思っています」という。「インターネットにつながる車で、自分の体験をシェアできるようになっていくはずなので、お客さまのニーズに応えていきたい」とも話した。
猪瀬直樹が日本の自動車産業に警鐘 「テスラとではガラケーとスマホくらい違う」
最終赤字6700億円でも「手元資金は十分」とうそぶく日産 問われる内田社長のリーダーシップ
「この企業に勤める人と結婚したい」ランキング トヨタ自動車、任天堂をおさえての1位は?
上場企業の「想定時給」ランキング、3位三井物産、2位三菱商事 8000円超えで「ぶっちぎり1位」になったのは?
ホリエモンが明かす「民間ロケットとLinuxの共通点」 宇宙開発で今、切実に足りていない人材とは
「年商1億円企業の社長」の給料はどれくらい?
トヨタ自動車がソフトウェアエンジニアの採用を強化する理由 キャリア採用増やし、働き方や風土を変えていく
ホリエモンが北海道で仕掛ける「宇宙ビジネス」の展望――くだらない用途に使われるようになれば“市場”は爆発する
堀江貴文に聞く インターステラテクノロジズと民間宇宙ビジネスの現在地
堀江貴文氏「正直、機体の動作はパーフェクト」 インターステラテクノロジズ「ねじのロケット」が同社2度目となる宇宙空間の到達に成功
ホリエモンが斬る「ビットコインで大損した人たちを笑えない事情」
ホリエモンが「次の基幹産業は宇宙ビジネスだ」と断言する理由
堀江貴文氏「積み重ねが結果に結びついた」 インターステラテクノロジズ「TENGAロケット」が宇宙空間に到達
インターステラテクノロジズのロケット「えんとつ町のプペル MOMO5号機」、打ち上げ実施も宇宙空間に到達ならず
ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由
インターステラ稲川社長が語る「SpaceXの偉業を支えた“天才技術者”」 民間による有人宇宙飛行成功の原点とは?
宇宙開発は製造業からインフラ・情報産業へ――インターステラテクノロジズとアクセルスペースが描く宇宙ビジネスの展望
インターステラが今夏に「ねじのロケット」を打ち上げ 花キューピットのバラを宇宙空間へ
ホリエモン出資のロケット「MOMO5号機」が5月2日に「打ち上げリベンジ」 新型コロナの影響で無観客打ち上げ
新型コロナで苦渋の決断――ホリエモン出資の宇宙ベンチャー・インターステラ稲川社長が“打ち上げ延期決定前”に明かしていた「人材育成と成長戦略」
ホリエモンとの出会いが人生を変えた――インターステラ稲川社長が語る「宇宙ビジネスの未来」
ホリエモン出資のロケットを開発、インターステラ稲川社長が目指す夢「早期に小型衛星ビジネスに参入」
ホリエモンが北海道“ロケットの町”で次の一手 「堀江流レストラン」開業に奮闘
僕の足を引っ張らない社会を作る――ホリエモンが演劇をアップデートする理由
超小型衛星4機を打ち上げ アクセルスペース中村友哉CEOが語る「民間宇宙ビジネスの未来」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング