「理屈ではなく、やりたかった」
2月4日に全国公開される映画「ミラクルシティコザ」で主演を務める俳優の桐谷健太さんは、かみ締めるように出演理由をこう語る。
この映画はコザ(現・沖縄県沖縄市)を舞台に、本土復帰前の1970年代と現在を描いたエンターテインメント作品。コメディーの要素を持ちつつも、当時、米兵たちを熱狂させたロックバンドの視点を通して、沖縄が置かれていた現実を知ることのできる記録映画としても楽しめるように作られている。
桐谷さんは、中学生のころに家族旅行で宮古島を訪れて以来、何度も離島や本島に足を運ぶほどの沖縄好き。自ら三線を弾きながら歌う「海の声」は、紅白歌合戦に出場したこともあって、幅広い世代に親しまれている。このように人一倍、沖縄に対する思い入れは強いが、コロナ禍で何度も制作スケジュールが変更になっても、桐谷さんがこの映画作品を手放さなかったのは、監督の熱意に心を動かされたことも大きい。
監督は平一紘氏。桐谷さんのフィードバックに対して、脚本を何度も書き直した。時には一晩で修正することも。その思いが桐谷さんにも響いたようだ。
実は平監督は、本作がメジャーデビュー。その新人監督をバックアップするのが、制作プロダクションのオフィスクレッシェンドだ。同社では、若きクリエイター発掘の場として、2017年から「未完成映画予告編大賞」という映像コンテストを実施。これは、3分以内の映画の予告編を一般から募集するもので、任意の地域を舞台に制作することが基本条件となっている。
グランプリ受賞者に対して、同社が映画づくりを全面的にサポートするほか、3000万円相当の制作費を提供。もちろん、これだけで全てがまかなえることはないが、資金的に後ろ盾のない新人にとっては大きな助けとなる。
グランプリの第1回は「高崎グラフィティ。」、第2回は「猿楽町で会いましょう」。そして第3回はこの「ミラクルシティコザ」が獲得した。
オフィスクレッシェンドはなぜこのようなコンテストを立ち上げたのか。ビジネス的な狙いは何か。その真意を同社の神康幸副社長に聞いた。
オフィスクレッシェンドは1987年に設立。ドラマやバラエティを中心としたテレビ番組や、映画、ミュージックビデオなどを手掛けている。社長で映画プロデューサーの長坂信人氏を筆頭に、映画監督の堤幸彦氏や大根仁氏など、日本を代表するクリエイターが経営陣に名を連ねる。もちろん神氏もその一人として数々の作品をプロデュースしてきた。
神康幸 エグゼクティブプロデューサー、オフィスクレッシェンド取締役副社長COO。「未完成映画予告編大賞〜MI-CAN」事務局リーダー。音楽雑誌の編集者を経 て映像の世界へ。主なプロデュース作品に、映画『包帯クラブ』(2007/堤幸彦監督)『ツナグ』(12/平川雄一朗監督)、『くちづけ』(13/堤幸彦監督)、『悼む人』(15/堤幸彦監督)、テレビドラマとしては、「あぽやん〜走る 国際空港」(13)、「スターマン・この星の恋」(13)、「視覚探偵 日暮旅人」(17)などそんな同社が未完成映画予告編大賞の企画を進めた理由の一つに、「地域」とのつながりがある。
「地方には魅力的な場所がたくさんありますが、何度も同じところでロケをするかどうかは分かりません。だったら、地方の人が企画をつくって、僕らがそこから可能性を探るほうが、広がりが生まれるのではないかと常々考えていました。単純に3分以内で予告編をつくってもらうだけでも良かったのですが、日本中の知らなかった風景が見られるのは面白いのではとなったわけです」
また、地域を絞ったほうが作品の独自色を打ち出せることもあった。例えば、オフィスクレッシェンドが過去に関わったテレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」や「木更津キャッツアイ」「下北サンデーズ」などからも証明されている。
加えて、全国に点在する優れたクリエイターを見つけ出すという思惑もある。
「僕らはどうしても東京中心に動いているので、地方のクリエイターと出会う機会が少ない。でも、北海道や九州にも埋もれた才能がいるに違いないという確信めいたものがありました」
ウォルト・ディズニー・ジャパン社長が明かすSVOD戦略 Disney+で日本アニメを配信する狙い
「日本でリメークしてほしい韓国ドラマ」 4位『愛の不時着』、2位『梨泰院クラス』を抑えて1位になったのは?
「これさぁ、悪いんだけど、捨ててくれる?」――『ジャンプ』伝説の編集長が、数億円を費やした『ドラゴンボールのゲーム事業』を容赦なく“ボツ”にした真相
上場企業の「想定時給」ランキング、3位三井物産、2位三菱商事 8000円超えで「ぶっちぎり1位」になったのは?
「年商1億円企業の社長」の給料はどれくらい?
ホリエモンが「テレビはインターネットに完敗した」と断言する、これだけの理由
堀江貴文が語る、ジャニーズ事務所「新時代の海外戦略」――“嵐×Netflix”はテレビ主役時代の「終わりの始まり」
「この企業に勤める人と結婚したい」ランキング トヨタ自動車、任天堂をおさえての1位は?
NEC森田社長に聞くDXを推進する「3つのキーワード」 指針は「長期利益の最大化、短期利益の最適化」
NEC「新卒年収1000万円」の衝撃 年功序列の廃止か、「3流国への没落」か
ワークマン土屋哲雄専務が、社員の平均年収を700万円に上げた理由
ヤマト運輸が舵を切るデータ・ドリブン経営 “DX請負人”の中林紀彦執行役員を直撃
富士通「年収3500万円」の衝撃 ソニー、NECも戦々恐々の「グローバル採用競争」
上場企業の平均給与ランキング 三菱商事や伊藤忠を抑えて1位になったのは?
たばこマナー、守っていても「吸っていいと思わない」 非喫煙者の16.8%
「おとなのジャンプ酒場」開店! 集英社が仕掛ける「居酒屋ビジネス」の勝算
2位渋野日向子、3位羽生結弦、4位大谷翔平 「2019年度に注目されたアスリート」ランキング1位は?
住友商事・南部智一副社長に聞く「DXによる再生の道筋」 社内の構造改革を強力に推進
上半期のトレンドランキング、10代の「推しアーティスト」3位はYOASOBI、2位はAdo……1位は?
3月期の流行調査、3位「うっせぇわ」、2位「鬼滅の刃」 1位は?
動画配信ランキング 3位「鬼滅の刃」、2位の「僕のヒーローアカデミア」、1位は?
アニメ、ゲーム、マンガ作品の認知度調査 3位「鬼滅の刃」、2位「ドラゴンボール」、1位は?
動画配信サービスの利用率3位はNetflix、2位はTver、1位は?
上半期の動画配信ランキング 3位『進撃の巨人』、2位『鬼滅の刃』、1位は?
「鬼滅の刃」を超える勢いのテレビアニメは? 視聴傾向を分析
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編、全世界での興行収入が約517億円に 海外でヒットした要因は?
バンダイ、「鬼滅の刃」我妻善逸の武器を再現した「日輪刀」を発売 狙いは?
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 「第3村ミニチュアセット」展示の舞台裏を聞く
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は興収60億円を突破 海外で人気の「エヴァグッズ」1位は?
「鬼滅の刃」遊郭編、2021年テレビアニメ化 動画配信サイトの“争奪戦”も
大学の“教育力”ランキング 3位東大、2位東工大 1位は?
首都圏大学ブランド・イメージランキング トップ3は?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング