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日本BEAシステムズ:2003年はインテグレーションへの取り組みが軸 (2/2)

インテグレーションこそが日本におけるWebサービスの真価となる

ZDNet 2003年の展開はどのように考えられていますか。

 既存システムのポイントツーポイントのインテグレーションからエンドトゥエンドへの変革は、日本でも着実に同じような動きとなることが予想されます。日本は特に代表的な存在であり、大きな変革を迎えようとしているのです。

 この場合の課題は、従来のシステムをJ2EEとXMLによる標準技術でインテグレートしていくという点です。そして、インテグレーションビジネスでは業務における共同体も重要となります。今後はいろいろなシステムをインテグレートする必要性があるため、コンサルタントとの協調が活発になってくるでしょう。

 さらに業界を眺めてみると、エンタープライズの展開として見過ごせないマイクロソフトの.NETがあります。しかし、2003年はまだ具体的な動きが見られないはずです。その理由は、まだ製品群が整っていないことにあり、これはマイクロソフト自身も認めているところです。このため、2003年はJ2EE陣営がよりいっそう猛威をふるうことでしょう。2004年になるとどのような情勢になるかは不透明です。

ZDNet 日本での既存システムの連携についてもう少し詳しく教えてください。

スチーブンソン 日本では、人/月換算されるインテグレーションビジネスが数多く存在してきました。それぞれのアプリケーションは縦割りで構成されており、例えばハガキや注文書からの入力行程ではフルスクラッチの独自システムが使われていたり、経理に回るとピープルソフトが利用されていたりと、横のつながりが考えられていなかったことがほとんどです。

 このようなシステムの改良を行いたい、再編を行いたいと考えた場合、すでにサポートが終了していたり、発注先でシステムを知っている人員が居なくなっていたりと、困難が待ち受けている場合が多いのです。システム再編を兼ねたビジネス指向のIT基盤として、BEA WebLogic Platformの優位性が発揮されるはずです。

「日本では、今後既存システムのインテグレーションがポイントとなります」と語る日本BEAシステムズ代表取締役社長・ロバート スチーブンソン 氏

 またこのような大規模プロジェクトは、従来であれば開発に1年程度掛けていたケースがほとんどですが、現在ではこれが数か月で済むような現状です。BPMのエンジンの優位性は、1つひとつのビジネスロジックを、比較的手軽にインテグレートすることができる点なのです。

 金融システム界で興味深い事例があります。証券最大手での話ですが、四半期のシステムで最後日の日付けが変わる寸前の数秒間に、過去3か月のトランザクションをすべて処理するそうです。この際、この処理が長引いてしまうと他の証券会社に結果を出し抜かれてしまう可能性があり、いかにトランザクションを高速に処理するかがポイントになっているのです。現代における情報のコントロールは、これほどまで高速な必要性があるという事例の1つです。

 一方、ITへの取り組みをされている企業をプルダウンして考えた場合、うちの会社はITには関わっていないという意見が聞かれます。しかし、このような企業でもスピードとコストダウンの追求は、現在の経済状況ではポイントとなっているはずです。生産ラインを見つめ直していただくことも大事ですが、今後のインテグレーションビジネスではニーズを把握した上でコンサルティングを行わなければならないでしょう。

ZDNet 低迷する日本経済ですが、企業再生についてはどのようにお考えでしょうか。

スチーブンソン マクロで考えると見通しが悪くなるのですが、足元をまず徹底的に固めていく必要性があります。企業の中でどこが問題であるかを十分に追求し、情報を整理する必要があるでしょう。

 そして重要なのは、現代ではソリューション提供を一から考えて構築するといった状況ではないということです。成功事例やソリューションを参考にして、良いと思うものは積極的に取り入れていくような決断も必要です。

 1つの試みとして、企業の中でも共通のポータルを構築し社員の間で情報共有を活性化していくという流れも見られます。重要なのは、情報の見通しを良くして問題点を徹底的に洗い出すことです。

2003年、今年のお正月は?
「へたするとないかもしれませんね」。そう語るスチーブンソン氏。その理由は、BEAの場合第四半期が1月末のためだという。しかし……、「そうとはいえ、家族と過ごす時間は作りたいですね。時間を見て家族とマウイ島に行きたいです」。スチーブンソン氏の人柄が感じ取られるコメントをいただく。

関連リンク
▼日本BEAシステムズ
▼2002年新春インタビュー「次はWebLogicをインテグレーション分野の標準に」

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[聞き手:木田佳克,ITmedia]


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