(C) 2008 映画「おくりびと」製作委員会 |
モントリオール世界映画祭グランプリや報知映画賞作品賞を受賞したほか、アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた「おくりびと」が、3月18日にDVD化される。特典は撮影風景から大ヒットロングランまでの軌跡をたどったメイキング映像、舞台挨拶、モントリオール受賞会見、未公開映像などを収録している。
チェロ奏者の道を断念し、妻の美香(広末涼子)を連れて故郷の山形へ帰ってきた大悟(本木雅弘)。「高額保証!旅のお手伝い」と書かれた胡散臭い求人広告に飛びついた大悟は、その会社に面接に行く。すると、風変わりな社長(山恕W努)から思わぬ業務内容を告げられる。それは亡きがらを清め、化粧し身づくろいしてひつぎに納め、故人の「旅立ち」をサポートする納棺師という職業だった。最初は戸惑っていた大悟だったが、社長に見込まれ、次第にその世界にのめり込んでいく……。
納棺の儀式を進めるプロ、納棺師に興味を抱いた本木雅弘の企画で、それを自ら演じるという力の入れよう。彼の所作ひとつひとつが美しく、死に装束の着物の衣ずれの音まで心地良く耳に響く。いつまでも、この儀式を見ていたいと思わせる。
脚本を担当したのは、映画は初めてという放送作家の小山薫堂。監督は「バッテリー」「壬生義士伝」の滝田洋二郎。納棺師の仕事や、誰にも避けられない死というものを、ユーモアと涙を交え、じっくり丁寧に描く。
納棺師に対する世間の目は冷たい。妻も納棺師という仕事が理解できず、家を飛び出す始末。だが、主人公はそれに果敢に立ち向かい、さまざまな死と向き合っていく。
印象的なのが、山崎努がフグの白子焼きやローストチキンを何ともおいしそうに食べるシーン。この社長、一見、ひょうひょうとしているが、死を厳粛に受け止め、納棺師という仕事に誇りを持っている。物事の本質を瞬時に見極め、実に侮れない。魅力的な男である。
国内では昨年9月に封切られ250万人動員、興収30億円突破のロングランヒットを記録。日本映画がアカデミー外国語賞にノミネートされたのは「たそがれ清兵衛」以来5年ぶり。受賞すれば1955年の「宮本武蔵」以来となる。余計なセリフやシーンがなく、こんなにも心洗われ、美しいと感じた日本映画は久々。ぜひともアカデミー賞で本木雅弘のスピーチを聞きたい。
関連サイト:http://www.okuribito.jp/(公式サイト)
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