「WF-1000X」はソニーが初めて商品化したオーディオ用完全ワイヤレスイヤフォンだ。コーデックはAAC/SBCまでの対応となる。LDACやaptXへの対応が見送られた背景には「電池寿命とのトレードオフ」があったからだと大庭氏は話す。
装着性はロングタイプのイヤーピースを採用して向上を図るとともに、耳元から落ちにくいようアレンジされている。同梱品としてイヤフォンの「XBA-N1」にも採用したトリプルコンフォートイヤーピースが付く。サイズはS/M/Lから選んでフィット感をアレンジできる。
リモコンは左右のイヤフォンそれぞれに搭載するボタン式。左側は電源、およびNC、外音取り込みのオン・オフになる。外音取り込みのモードはボイスとノーマルの2種類を選べるが、ペアリングしたスマホのアプリから設定を切り替える仕様。右側のボタンは主に音楽再生のコントロールを担う。
本体左右の音声伝送はNFMI(近距離磁気誘導)ではなく、Bluetoothを使っている。その理由について大庭氏は「検討はしてきたが、アプリによるカスタマイズ機能やデジタルノイズキャンセリングと両立した上での小型化が難しかった」としている。ただしBlueooth接続のアンテナの配置などに工夫を凝らして、左右信号のドロップは極限まで抑えているという。に音声通話については左右信号の遅延が発生してしまうため、ボイスプロンプトと同様に左側のイヤフォンからのみ聞こえる仕様にした。
付属のケースはややサイズが大きめ。充電器を兼用しており、イヤフォンは取り出すだけで本体の電源が自動でオンになり、収納するとオフになる。L/Rの接続も自動で完了する。ケースの底面にNFCのタッチポイントがあり、NFC搭載のスマホやウォークマンなどのプレーヤーをかざすだけでペアリングが完了する。Bluetooth接続の煩わしさを軽減するための計らいだ。
3機種それぞれデモ機を使ってIFAの賑やかなブースでデジタルNCの性能を試してみたが、やはりMDR-1000Xでも実感した驚きの消音性能だ。持続的に響く低音のノイズだけでなく、周囲でざわつく人の声もきれいにシャットアウトされて音楽に集中できる。
WH-1000XM2の音質は上品でバランスが良く、中高域の鮮鋭感に富む。ネックバンドイヤフォンのWI-1000Xは各帯域のバランスが非常に気持ち良く整っていて、ボーカルの声のディティールに余すところなくフォーカスが定められる。完全ワイヤレスタイプのWF-1000Xは他の2機種に比べるとデジタルNCによる消音効果はやや控えめではあるものの、イヤーピースによるパッシブな消音効果が自然で、再生音にむやみな色づけをすることなくリアルな音像を浮かび上がらせる。日本での公式発表も楽しみに待ちたい。
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