リスクを取ることに、過度に臆病なサラリーマン:年収1000万円の貧乏人(3/3 ページ)
住宅を購入するとき、ローンを組むか、コツコツと貯金して現金で一括で買うか――、あなたならどちらを選びますか? 実は、金融機関のトレーダーでさえ、自分のお金を運用できないほど、人はリスクに対して憶病なものなのです。
「リスクを取る」とは損失を覚悟すること
私が証券会社でトレーディングの仕事をしていたとき、相場を張る(投資をする)ときにはいつも「損切ポイント」を決めていました。
仮に「これから相場が上昇する」と予測します。そうしたら、上昇すると儲かるように、「買い」でポジションを取る(リスクを取って投資する)のですが、自分の予測とは逆方向に相場が動くことがあります。そこで、「買い」でポジションを取る前に、あらかじめ「1000円まで相場が下がってしまったら、そこでポジションを全部清算する(売る)」と決めるのです。このときの「1000円」が「損切ポイント」です。
当然、そうなった場合「250万円の損失になる」というのが予測できますが、事前にそのことを頭の中でシミュレーションするのです。そして、実際に1000円まで相場が下がったら、250万円の損失を確定して損切らないといけないのです。
このシミュレーションができていないと、実際に相場が下がったときに損切ができず、「ずるずると損失を拡大させる」という事態になってしまうのです。
損切では、最悪のケースを想定して覚悟を決めます。「250万円の損失を被る」と腹をくくるのです。
この感覚がないと、相場を張るのもリスクを取るのも危険です。
一方で、そこまで覚悟するからこそ投資対象について真剣に調べますし、感覚が鋭くなってくるのです。
心配ばかりしてリスクを取らないサラリーマン
「ゴールドリバー」をつくるために「不動産投資で収入を得よう」「自分のビジネスを持とう」という話をすると、多くのサラリーマンに言われることがあります。
「会社の副業規定に当たるんじゃないですか? そんなことはできません」
自分のビジネスをもつことや起業することは副業に当たる。不動産投資でも、資産管理会社を設立して物件を購入する場合、資産管理会社の代表取締役になる必要があるので副業に当たる、という理屈です。
私がサラリーマン時代に不動産投資を始めて資産管理会社をつくったときも、彼らと同じような疑問をもち、弁護士の元へ相談に行ったことがあります。弁護士の意見は「大々的にやって会社にバレなければいいのでは。万一バレたら、そこで会社と話し合いをすればいいでしょう」という見解がほとんどでした。ある弁護士は「『会社の業務と同じ業務を行って競合になる』『会社の仕事を利用して副業にする』『風俗などの副業で、会社の評判を落とす』『副業の影響で著しく会社の業務に支障をきたす』などでない限り、会社も強く反対はできない」という意見でした。
不動産投資で資産管理会社をつくることも、大きな障壁とはならないことが分かりました。そもそも株式会社はすでにたくさん設立されているので、法務局で1つ1つ調べないと分かりません。だから、資産管理会社の取締役に就任しても、本人の口から言わないかぎり会社には分かりません。
実際に副業について調べれば調べるほど、いかにサラリーマンという地位や雇用が労働基準法で守られていることや、思ったよりリスクが少ないことが分かるのです。
それでも当然、リスクはあります。最悪の場合、会社をクビになる可能性もゼロではありません。ある程度腹をくくって行うしかありません。
腹をくくってリスクを取る──。サラリーマンをしていると、この感覚がほとんどありません。
盲目的に会社や上司に従属する生き方を否定するつもりはありませんが、最後は会社も社員を守ってはくれません。買収されたり、買収したりで会社そのものの組織形態が変わるかもしれませんし、ソリの合わない上司の下で働くことになったり窓際に飛ばされたりするかもしれません。
会社という組織も、社員が思っている以上にドライな対応をしてきます。その前に自分自身がある程度の投資力やビジネス力を身につけて、稼ぐ力を磨いていくことが重要なのではないでしょうか。
(年収1000万円の貧乏人=終わり)
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