敢えてスタンダードに〜WINの普及担う「W21K」の狙い

» 2004年09月29日 19時03分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「WINの良さをなるべく多くの人に知ってもらいたい。広く、嫌われることなく受け入れられるために、デザインはスタンダードなスマートなものにした」

 京セラ製の1X WIN端末「W21K」をデザインした、同社のデザイナー板野一郎氏は、コンセプトをこのように話す。

1X WINを普及させるための「W21K」

 同時に発表されたハイエンド端末の陰に隠れがちではあるが、W21Kは“WINを普及させる”というKDDIの戦略上、重要な役割を担っている。

 新サービスの普及には、いわゆるエントリーモデルの存在が必須だ。特に「WIN端末はいろいろな機能が入ってきて大きくなる傾向にある」(W21Kの企画を担当した田辺正昭氏)ため、サイズやデザインが重要になってくる。

 W21Kでも「コンパクトなサイズに抑えるのが、重要なポイント」(田辺氏)だったという。そのために、CPU構成もQualcommのベースバンドチップ「MSM6500」のみとした。ハイエンドの「W21S」「W21SA」が、動画専用チップ「T4」やアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」を搭載したのに対し、ワンチップにすることでコンパクトかつ低価格を実現した。

 その結果、115グラムとほかのWINよりも10グラム以上軽く、幅も49ミリと握りやすいサイズを実現。角を落としたくさび形のフォルムの採用により、ポケットに入れたときなどに収まりがよく、25ミリというスペック値以上の薄さ感を達成した。

 表に向いた液晶が回転してダイヤルキーが現れる「リボルバースタイル」など、新たな携帯の形状にも積極的な京セラだが、W21Kでは敢えてスタンダードな折りたたみ型を採用した。

企画を担当した田辺氏(左)と、デザイナーの板野氏(右)

色や塗装に対するこだわり

 スタンダード機だけにキャッチーな仕掛けが難しかったW21Kだが、その分「クオリティ面は底上げした」と板野氏。

 例えば、表面の塗装は通常2層のところ、下地の上に色を載せてクリア層(UV)を重ねる厚膜の3層塗装としている。みずみずしい質感が得られるが、「1層目を塗って、乾いてから2層目を塗る。塗装中にゴミが入ったり、厚く塗るので気泡が入ったりと難しい」(板野氏)。

 カラーのコンセプトは「普段身につけてもらうものだけに、カジュアルにアパレル感覚に」。例えば各色とも内側は色を変えているが、単なるシルバーではなく金色に輝く。「金属感を出さず、布のシルクの光沢を目指した」という。

 ブルーの端末では、「スペクトラリング」という携帯電話で初めて使われる光輝材が使われている。「太陽光に当たると、七色に光る」というものだ。このあたりは、あえてコストをかけた部分だと板野氏は胸を張る。

 十字キーの表面にも、中央から放射線状に細い線が無数に走る旭光模様を採用。高級時計の文字盤などに使われる模様だ。職人が1本1本引いたラインを、転写して作っているという。

充電端子はゴムの先に樹脂を取り付けた。高級感だけでなく、ゴムの劣化による開閉のしにくさも防げる(8月25日の記事参照)

WINは一般ユーザーにどこまで浸透するのか

 KDDIは6月末時点で57万契約を数えるWIN契約者数を、2005年3月には300万契約まで増やす計画だ(7月29日の記事参照)

 W21Kのようなエントリーモデルへの期待は大きいが、現状のau商品ラインアップの中では、販売に苦しむ面もある。「1Xの高機能機と勝負しないといけない。上にはWINの高機能機もある。難しいゾーンにいる」(商品企画係副責任者の矢島孝之氏)。

 現在のところ、ハイエンドのWIN端末「W21S」「W21SA」は発表当初の想定価格よりも安価に販売されており、「W21K」の価格差はそれほど大きくないことも理由の1つだ。

 とはいえ、「店頭で持って、いいサイズ感だな、と思ってもらえること」を重視しただけに、“WIN目当て”ではないユーザーが携帯を買いに行ったときに、W21Kの実力が表れる。

 「キャッチーな部分はないかもしれないが、買った後の満足度は高い」と、板野氏はW21Kの魅力を表現した。

「動く」着せ替えメニュー

 W21Kのソフトウェア面でのポイントは、“動く”着せ替えメニューだ。単にアイコンを変えるだけではなく、基本的なメニュー配置からメニューインタフェースを変更できる。動きを表現するために、BREWを使った。3種類が内蔵されており、京セラのサイトから追加でダウンロードも行える。

内蔵される3種類のメニュー。京セラのWebサイトでは、動く模様をFlashで見ることもできる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月08日 更新
  1. NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 (2026年08月07日)
  2. ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視 (2026年08月06日)
  3. まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説 (2026年08月06日)
  4. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  5. 「NHK受信料の値上げは検討していない」――会長が明言 スクランブル化を求める声絶えず (2026年08月07日)
  6. 楽天モバイルのローミングは「予定通り9月末に終了」 ただし「ルーラル限定で継続」の可能性も (2026年08月07日)
  7. KDDIが値上げしても解約率が低下した理由 au、UQ mobile、povoを循環させ「脱・販促費競争」へ (2026年08月07日)
  8. 元グループ会社が「ドコモの銀行」になった不満を吸収? SBI新生銀行が「SBIの銀行」として最大5.2万円のキャッシュバックキャンペーンを開催 (2026年08月05日)
  9. 東海道・山陽・九州新幹線の「EXサービス」に複数のサービス改訂 「ご利用票」のスマホ表示などを9月から順次開始 (2026年08月06日)
  10. 厚さ約1.2mm、“ほぼ、裸”のiPad Pro(M4/M5)向けケース「The Frost Air」発売 ケースフィニットから (2026年08月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー