地デジを見据え〜ドコモとKDDI、携帯向け燃料電池CEATEC JAPAN 2004

» 2004年10月05日 13時35分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 携帯キャリアが音頭を取って、携帯向け燃料電池開発に乗り出した。CEATEC JAPAN 2004の展示ブースでは、ドコモとKDDIが携帯向け燃料電池を展示している。

 「地上デジタル放送開始が、1つのきっかけ」と話すのは、KDDIの技術開発本部ユビキタスネットワークグループの入内嶋洋一課長補佐だ。「地デジ放送を携帯で受信すると、今は2時間程度でバッテリーが終わる。リチウムイオン電池では補えなくなるのではないか」。

 リチウムイオン電池の容量増加が頭打ちになってきているのを受けて、ドコモは富士通と(9月30日の記事参照)、KDDIは日立製作所および東芝と協力して(7月14日の記事参照)、携帯向け燃料電池の開発を進めている。

 ドコモは2005年を目処に、外付け型を商用化。KDDIは2004年度中に外付け型、2005年度末までに内蔵型の試作機を開発する予定だ。

ドコモは充電台型の燃料電池を試作。CEATEC会場でも実際に動作させて見せた。KDDIはイメージモックのみ。「ドコモに先行されてはいるが、性能はあまり変わらない」(KDDIの入内嶋氏)

燃料電池で性能はどこまで伸びるのか

 既に試作機が動作しているドコモの場合、22ccのメタノール燃料で3Whのエネルギー密度を持つ。だいたい、現在のリチウムイオン電池2つ分の容量だという。

 ドコモはこれを2倍以上に伸ばしていく意向だ。燃料電池は小型発電機であるため、燃料を増やせばその分動作時間が伸びる。

 富士通製となる試作機では、メタノール濃度25%〜30%の燃料を使っており、この濃度を100%近いところまで高めることで容量増加を狙う。濃度を高めると、メタノールが燃料電池の膜を通過するメタノールクロスオーバーという現象が起きるのが課題だが、膜の改善で対処していく。

 KDDIは詳細を明かさないが、「最終目標は1週間連続駆動」だと言う。日立製の試作機は46%濃度、東芝の試作機は100%濃度の燃料を使っているという。

燃料電池内蔵型の課題

 現在のところ、ドコモはクレードル型、KDDIは充電器型での展示だが、将来の形状はどうなるのか。「オールイン型を目指している」(ドコモ)、「2005年には内蔵型の試作評価機を作る」(KDDI)と、両者とも最終的には携帯電話に内蔵することを目指している。

 問題は、燃料電池はあまり出力が安定せず、最大出力が小さいところにある(2003年3月14日の記事参照)。「携帯は通常は1Wあればいいが、ゲームなどをすると2〜3Wに増える。パワーに余裕がないと微妙」だとドコモ。

 ドコモの場合、現状、燃料電池セル6つを直列につなぎ3.6V(DC-DCコンバータで5.4Vに昇圧)、700mAを出力する。Wに換算すると3W少々となる。携帯の最大負荷時には少々足りない。そのため、間にキャパシタやリチウムイオン電池などを挟む必要があるという。

燃料電池における、キャリアの役割とは

 携帯向け燃料電池を実用化する際に、大きな課題となるのが燃料の供給をどうするかだ。現状は、開発メーカーによって燃料を納めたカートリッジの形状が異なるだけでなく、燃料の濃度も違う。メーカーごとに違う燃料を販売することになりかねない。

 現在のところ、どの技術がデファクトスタンダードになるかは分からず、キャリアも富士通、日立、東芝に限らず広く燃料電池の開発を進めるという。燃料販売に関する問題は最後まで残りそうだ。

 また、1つの燃料電池を異なったメーカーの端末に接続できるかどうかも課題の1つ。携帯の充電器が端末メーカーごとに違っているように、今のところ電圧・電流などの仕様は統一されていない。

 ドコモはこの冬に発売する予定の901iシリーズから、充電仕様を共通化。5.4V、700mAの入力に統一する。FOMAメーカー全社で同じ充電器が使えるようになるほか、燃料電池も全端末メーカーの端末に接続できるようにする。KDDIは、充電仕様の統一にはまだ手を付けていないという。

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