北米でGSM加入者が増加〜トレンドはEDGEとUMTS

» 2004年10月25日 20時35分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 CDMAが主流の北米で、GSMが着実に契約数を伸ばしている。この1年でGSM加入者は、北米市場(米国・カナダ)で約85%増、ラテンアメリカで約192%増の拡大を見せたという。英ロンドンで開催された「UMTS Congress 2004」で講演に立った3G Americasの会長、クリス・ピアソン氏が、米国におけるCDMAとGSM/UMTS(UMTSは日本でいうW-CDMA、2003年3月の記事参照)動向について話した。

 携帯通信規格の歴史は、米国と欧州という地域の対立の歴史ともいえる。現在、標準の流れは欧州で誕生したGSM/UMTS、米国のCDMAの2つに集約しつつあり、それぞれが誕生の地で優勢を保っている。ピアソン氏が会長を務める3G Americasは、北米・ラテンアメリカを含むアメリカ地区でGSM/UMTSを推進する団体。CDMAが主流の米国におけるGSM/W-CDMAの進捗状況を紹介した同氏は、北米でのGSM普及について楽観的な見方を示した。

 「技術の競争だ」──と、ピアソン氏は繰り返し強調。今や技術がどこで生まれたのかではなく、技術そのものの戦いであり、技術力でGSMが選ばれている──というメッセージがこの言葉に込められている。

 「GSM加入者はこの1年、米国・カナダの北米市場で約85%、ラテンアメリカで約192%の増加率となった」とピアソン氏は胸を張る。米国では現在、T-Mobile、Cingular、AT&T WirelessらがGSMを提供している(AT&T Wirelessは、この2月にCingularに買収された、2月18日の記事参照)。CingularらTDMAオペレータが3Gへの移行パスとしてGSMを採用したことが、加入者増につながっていると見られる。

GSMの進化形、高速な「EDGE」が人気

 ピアソン氏がフォーカスするのが、GSMの後継にあたる通信方式のEDGE(用語参照)。最大データ伝送速度が384Kbpsと速く、2.75Gともいわれるデータ電送システムだ。現在、76カ国129のオペレータがEDGEを採用、あるいは採用を予定しており、米国ではCingular、AT&T Wirelessらがサービスを提供している。

 端末も、Nokiaなど大手端末メーカーが対応することで揃ってきており、中間層向け端末のほとんどがEDGEをサポートしているという。「当初予想した通り、弾みがついている。オペレータはUMTSへのスムーズな移行のための補完技術としてEDGEを捉えている」とピアソン氏は分析。3Gと併用して立ち上げるケースも多く、世界で27のオペレータがこの“ダブル戦略”を選択しているという。

 米国でEDGEを提供中のオペレータ

CingularがHSDPAのトライアル、本サービスは2005年から2006年に

 第3世代となるUMTSサービスは、今年7月にAT&Tがサンフランシスコなど4都市で開始、さらに2都市を追加した6都市で展開している。Cingularは早くも3.5GといわれるUMTSの拡張版「HSDPA」(用語参照)のトライアルをアトランタで開始、「関係者を驚かせた」(ピアソン氏)。同社はHSDPAを使った3Gの本サービスを2005〜2006年に予定しているという。「HSDPAの商用サービスは、NTTドコモが第1号で(3月3日の記事参照)、第2号はCingularになると予想している」(ピアソン氏)

 “技術の戦い”という点では、下り最大14.4Mbpsを実現するHSDPAがUMTSの決定打になるとピアソン氏。「HSDPAがホームランになる」。

 なおPCが普及している米国では、“モバイル”といえば無線LANを連想することが多い。特にWiMAX(802.16e)(用語参照)は、移動しながらの通信を意識した規格で、携帯電話業界に影響を与えると予想されている。こうした疑問に対しピアソン氏は、「WiFi(802.11x)は補完の関係だが、WiMAXは対抗技術」という見解を示した。「WiMAXの概要がまだ定まっていないという点でわれわれがリードしている。セキュリティはUMTSの大きな強みとなる」。

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