中国メーカーからもW-CDMA端末が登場3G World Congress & Exhibition 2004

» 2004年11月18日 11時41分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 2004年後半から欧州各国では、英Vodafoneを筆頭にW-CDMAのサービスが本格的に開始されつつある。これに合わせて、日韓欧米の各端末メーカーが同方式の新製品を投入しているが、中国の端末メーカーからもW-CDMA端末が登場してきている。

 中国メーカーといえば、GSM/CDMA端末では大手メーカーと差別化するため、ローエンドモデルに注力しているのが現状。ただしW-CDMA端末では、大手とほぼ同じスタートラインに並んで市場参入を図ってくるようだ。会場ではZTE、AMOI、HUAWEIの3社が新製品を展示していた。

世界最小のW-CDMA端末も

 ZTEの「F808」は88.5×44.6×24.5ミリ、105グラムと現時点で“世界最小、最軽量”のW-CDMA&GPRS/GSMのデュアル端末。GSM端末と比較しても、遜色ない小ささだ。クラムシェル型で、ヒンジ部分に回転型の30万画素カメラを備えている。

PHoto ZTEのF808。サイズと重さは、同じ形状のGSM/CDMA端末とほとんど変わらない

 搭載する機能は、WAP2.0やeメールなどベーシックなもの。W-CDMAのエントリーモデルといえる。発売時期は現時点では未定。展示されていた製品は、動作可能な製品に近いレベルのものとのことだったが、電源を入れてのデモは行われていなかった。

 AMOIの「WMA9507」も、W-CDMA&GPRS/GSMのデュアル端末。ショーケース内に実機が展示されていたものの、試作機であり端末の重さや通話/待ち受け時間などはまだ確定していないとのこと。

Photo AMOIのWMA9507は、ハイエンドなW-CDMA端末ということもあって注目を集めていた

 メインディスプレーは2インチのTFT26万色、167×220ピクセル。サブディスプレイには有機ELを採用していた。130万画素カメラを搭載し、静止画以外にもMPEG-4形式での動画録画が可能。さらにBluetooth 1.1と外部メモリスロット(TransFlash Card)を搭載するなど、ハイエンドモデルという位置づけだ。発売時期は、来年の3月を予定しているとのこと。

 HWAWEIからは、発表されたばかりの新製品「U626」「U326」そして「E600」の3機種が展示されていた。

Photo (左)ハイエンドのU626(右)入門機となるU326
Photo PCカードタイプのE600

 U626は、W-CDMA&GPRS/GSMのデュアル端末。メインディスプレイはTFT-26万色で、QVGAサイズ30万画素カメラを搭載する。Bluetooth、USB端子も備え、MP3/MPEG-4再生にも対応したハイエンド端末だ。

 U326は、W-CDMAシングルモード端末。サブディスプレイなし、カメラも非搭載にすることで徹底的なローコスト化を図っている。GSMからW-CDMAへの乗り換えを促すための低価格なベーシック端末で、発売されればGSM端末と同程度の手ごろな値段になる予定とのこと。

 E600は、PCカード(Type-II)のW-CDMA&GPRS/GSMデュアル端末。データ速度はアップリング384Kbps、ダウンリンク128Kbps。ヘッドセットを装着することで音声通話も可能だ。

 これら3機種は、実機のデモは行っていなかったものの、すでに海外のオペレーターからの引き合いを受けており、来年の早い時期には発売される予定とのこと。また端末は自社ブランドではなく、オペレーターブランド品としての出荷も考えているという。中国メーカーはまだブランド力が無いため、「自社ブランドにこだわることよりもまずは実績を作る」(説明員)ということのようだ。


 各中国メーカーの端末は、いずれもまだ正式には発売開始されていない。しかしメーカーのブースでは、納期や価格の問い合わせをする来訪者の姿も目に付いた。「品質と価格についての問い合わせが非常に多い」(AMOIの説明員)とのことで、低価格を武器にした中国メーカーのW-CDMA端末は早くも各国から注目を浴びているようだ。

 各メーカー共、販売ターゲットはアジアだけではなくヨーロッパを含む全世界のW-CDMA市場となる。端末のラインナップも、来年からはさらに数機種を増やしたいという。

 中国メーカーからローコストなW-CDMA機が登場することは、ユーザーのW-CDMAへの移行をより容易にする効果が期待できる。一方で大手メーカにとっては将来、強力なライバルになることも予想される。中国メーカーの動向は、今後のW-CDMA市場に少しずつ影響を与えそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  7. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年