携帯フルブラウザを阻む2つの“壁”──ACCESSBREW 2005 Conference

» 2005年06月03日 21時22分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 フルブラウザ、フルインターネットという言葉が、携帯電話機能のキーワードとして急速に広まっている。KDDIがOperaブラウザを搭載した「W21CA」「W31CA」「W31T」を用意し、ドコモも「M1000」「N901iS」にフルブラウザを搭載する。

 携帯インターネット向けのブラウザから、フルインターネットが扱えるフルブラウザへ。「どちらが主流になるかは分からないが、フルインターネットへの流れは避けては通れない」。そう話すのは、iモード向けブラウザで知られるACCESSマーケティング本部の大石清恭本部長だ。

携帯フルブラウザを阻む、2つの壁

 携帯電話で動くフルブラウザの登場に当たって、各ブラウザベンダーの争いが始まっている。しかしACCESSの大石氏は、各社のブラウザは乗り越えなくてはいけない壁があると説く。

 Operaをはじめ、MicrosoftのInternet ExplorerやNetscapeはPCのデスクトップ環境出身のブラウザだ。機能は豊富だが、一方でリソースの限られた“携帯電話”に組み込みエンジンとして対応させることに壁がある。

 一方で、au端末が採用するOpenwaveやNokia、Telecaなどは携帯向けブラウザとして始まった。WAPから、フルインターネットに必要なDynamicHTML、DOMなどに対応するためにアーキテクチャー的な壁を乗り越えなくてはならない。

 「2つの壁を乗り越えるのではなく、最初からその内側にあるのが、ACCESSのNetFront」だと大石氏。そもそもが組み込みのフルブラウザを指向してきた同社の場合、iモードスタート時から“WAPではなくHTML”を目指し、ドコモと共にC-HTMLを推し進めてきたという経緯がある。

端末メーカー、オペレータとの包括契約が主戦略

 組み込みブラウザとしてのACCESSの強みは、携帯向け各プラットフォームにいち早く対応し、端末メーカーやオペレータに包括的なサービスを提供できることだ。

 同社は2004年11月に韓国Samsungとブラウザ提供について包括的な契約を結んだ。当初は、Samsungが海外向けiモード端末を開発することが主眼だったが、現在ではそのほかのSamsung端末にもACCESS製ブラウザが載ってきている。

 Qualcommチップを使ったW-CDMA端末「SGH-Z130」に、BREW上で動作するNetFrontが採用されたのがその例だ。中国TCLの「TCL1688」へのBREW版NetFront搭載に続く第2弾となる。

 「端末メーカーはさまざまなオペレータに端末を提供しなくてはならない。しかし(各オペレータに合わせて)搭載するブラウザのベンダーが増えると開発コストがかかる。ACCESSでは、各オペレータ向けプロファイルを準備しており、(BREW、Symbian、Linuxといった)下のプラットフォームも各種に対応している。全世界向けに端末を提供しているSamsungには、2重、3重にメリットがあったということだろう」(大石氏)

 BREW、Symbian、Linuxといったハイエンド向けのプラットフォームだけでなく、エントリー向け端末に使われるリアルタイムOSへの対応も進めている。SonyEricssonとも2004年12月に包括契約を結んでおり、Ericsson Mobile Platform(EMP)のリアルタイムOS向けにもNetFrontを搭載していく計画だ。

 端末メーカーとだけでなく、携帯キャリアとも包括契約を進めている。ドコモとFOMA向けブラウザを共同開発しており(2002年9月10日の記事参照)、初の搭載機となる「N901iS」も発表済み(5月17日の記事参照)。2月には仏Bouygues Telecomとも戦略的提携を発表した。「オペレータとの包括契約は、我々の目指すメインラインだ」(大石氏)

 端末メーカー、携帯キャリアとの協業は順調に進んでおり「死角はだんだんなくなってきた」と大石氏。ともあれ、「本当の戦いはこれから。フルブラウザで対決して勝たないことには仕方がない。重要性は認識している」(大石氏)。

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