携帯電話のハイスペック化も踊り場を迎え、デザインが携帯の差別化の重要点になってきている(2004年12月28日の記事参照)。KDDIがINFOBARに始まる“デザイナーズ携帯”でデザイン重視を打ち出し、ドコモも着せ替えパネル「カスタムジャケット」に対応した「P900i」が大ヒット。競合他社もデザインへの取り組みを進める中で、ボーダフォンが採った戦略は何だったのか。
「単に表層──色域ではなく、その先の質感やマテリアルに(デザインを)広げて、バリエーションを増やしていきたい」(ターミナルマネジメント部の浦元芳浩課長代理)
ボーダフォンはデザインモデル第2弾として「nudio」を発表した際に、“素材感”を打ち出した(2004年10月5日の記事参照)。今回の着せ替え2機種、「V501T」「V501SH」はその究極のモデルだといえる。
V501T向けの“着ぐるみ”の代表例である「ブル」は、携帯に4本の足と角を付けてしまおうという思い切ったものだ(6月9日の記事参照)。「普段から付けて使ってもらえるとは正直考えていない。外観で積極的に遊んでほしい」(浦元氏)
「強くイメージしたのは、合コンなどでふざけているような、インパクトがある、話のネタにできるようなシーン」
一方でV501SHでは、より大人向けの素材感を狙った。クロコダイルやカーボン、メタル、木目などの素材をあしらった「テクスチャーパネル」を用意し、付け替えられるようになっている。「よりさりげない着せ替え。大人としての本物感に訴える、モデルができないか」
ボーダフォンは、8カ月から1年くらい前からこうした携帯の検討を進めてきたという。「新しい素材を使うというコンセプトはクリアだった」(浦元氏)ことから、早いペースで開発を進められた。
こうしたコンセプトのため外部デザイナーの活用も考えていない。「著名なデザイナーのバリューを期待して作ってきたコンセプトとは違っている。ただし、今後プラスアルファの風を吹き込んでもらえる期待は持っている」(浦元氏)
逆に、今回のカバー/パネルともにサードパーティの参入には期待している。「大歓迎です。来てくれればぜひ話をしていきたい」(浦元氏)
いわゆる着せ替え携帯の1つではあるが、牛型の“ブル”はこれまでの携帯デザインの常識を破った。本気で売るとはなかなか考えにくいデザインを、実際に商品化してしまうあたり、携帯に革新をもたらし続けてきた以前のボーダフォンに戻りつつある印象も受ける。
今回のV501T、V501SHは2Gのパケット機エントリーモデルとなるが、次なる期待は当然主力と位置づける3Gへの展開だ。浦元氏は「英Vodafoneでもたいへん注目している」と話す。
少なくとも、同社が海外の動向に振り回されることは今後減っていきそうだ。「初心に立ち戻って、日本のユーザーが何を求めているかに目を向けていきたい。驚きや遊び心に注目し、新しい提案をしていきたい」とターミナルマネジメント部の森一幸部長は、“日本のユーザー”への意識を改めて強調した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.