防水の先にある“新しいスタイル”を見せる──「SO902iWP+」の使命開発陣に聞く「SO902iWP+」(コンセプト編)

» 2006年06月28日 00時44分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 防水携帯といえば思い浮かぶのが、4年ぶりに復活を果たし、大きな注目を集めたカシオ計算機製のau端末「G'zOne TYPE-R」。アウトドア派を意識したデザインや機能で人気を博したのも記憶に新しい。2006年にはその後継機となる「G'zOne W42CA」を発表し(記事一覧参照)、「都会的、未来的」をテーマに若者層の取り込みを狙うとしている。

 防水携帯が注目を集める中、ドコモが満を持して投入するのが、ソニー・エリクソン・モバイル製の防水FOMA「SO902iWP+」(記事一覧参照)。防水+タフネスで攻めるカシオ計算機とは異なり、“防水にフォーカスしたコンパクトなFOMA”という方向性を打ち出した端末だ。

 SO902iWP+を生み出すにあたって開発陣は、端末にどんな思いを込めたのか。プロダクトマネジャーの今崎氏、商品企画を担当した西村氏、ハードウェア設計を手掛けた森西氏に聞いた。

Photo コンパクトな防水ハイエンドFOMA「SO902iWP+」


Photo 左からプロダクトマネジャーの今崎氏、商品企画を担当した西村氏、ハードウェア設計を手掛けた森西氏

防水のニーズは、“身の回り”にあった


 「次にどんな機能が欲しいか──という独自調査をすると、いつも音楽やテレビといった機能より上に来るのが“防水”だった。そこで、何でこれほどまでに防水のニーズが強いのかを把握するところから始めた」。開発の出発点を、西村氏はこう振り返る。独自の調査を行う中で見えてきたのが、“防水のニーズは、身の回りにある”という点だった。

 「防水というとまず、“アクティブ”“海辺”“プール”“キャンプ”といった活動的なイメージがついてくる。これはまさにカシオさんのG'zOne TYPE-Rの世界。一方で、『実際に水回りで携帯を使ったことがありますか』という質問に対する回答から見えてきたのが、日常の生活の中でいかに防水のメリットを享受できるシーンがたくさんあるかということだった」(西村氏)。

 濡れた手で携帯を触った、雨の中で使った、お風呂に入っているときに電話に出てしまった、半身浴中にタオルで拭きながらメールを打った──。こうしたユーザーの声を聞く中で方向性が固まったという。「まず、日常生活の中で、きちんと防水携帯として使えること。902iシリーズの高性能をベースに、デザインと防水を融合させた、ソニエリらしい防水携帯を作ろうということになった」(西村氏)

狙いは“一見すると普通のFOMA、でも防水”

 「デザイン的に、防水であることを強調するような端末にはしたくなかった。街中で持っているところは普通の携帯、でも、よくよく見たら防水だったというような」──。こう話すのは、プロダクトマネジャーの今崎氏だ。

 普通の生活の中で違和感なく使ってもらうためには、普通の携帯と同じくらいのサイズに収めることが重要だという考えから、タフネス性能は搭載せず、防水にフォーカスした。

 それでも防水性能を付加すると、ベースモデルの「SO902i」(記事一覧参照)に比べて大きくなることが予想されたといい、実際、コンセプト段階のモックアップは、最終製品より二回りくらい大きかったと西村氏。「多くの端末は、モックから製品に落とし込むときに、大きくなるのが普通。それが今回は、防水という機能を搭載しながら、当初のモックアップより小さくできたという、極めてまれなケースだった」

Photo ベースモデルのSO902i(右)とさほど変わらない大きさに仕上げた

 G'zOneのような方向性になりがちなところを、「ソニエリらしいアプローチにしよう」と、開発陣が意識を共有し続けたことが、小型化につながったという。

 「モックの時点では、防水携帯を開発するのは初めてということもあって、サイズ感が読めなかったが、“(モックは)大きいかな”という感覚もあった。どうせやるなら『もうちょっと攻めよう』という話になって、厚みについてはがんばった。もう少しマージンを取っておいたほうがいいかな、というところをぎりぎりのところまで絞った」と、ハードウェア設計を手掛けた森西氏は話す。

 今崎氏と森西氏は、ソニエリの超小型ムーバ「premini」を手掛けるなど、メカニック面でチャレンジングな端末を開発した実績があるコンビ。「かっこよく使ってもらいたいというコンセプトに合わせて、“それならもっと小さく”というところを、この2人が牽引して実現してくれた」(西村氏)

機能を付けたその先にある、“新しいスタイル”を見せる

Photo

 ハイエンド機能と防水性能、デザインにフォーカスした端末開発をする中で、開発陣が心がけたのが、「足し算ではなくかけ算の魅力がある端末にしよう」という点だったという。

 「お風呂で使える、海辺でプッシュトークできるといったさまざまな付加価値を、足し算ではなくかけ算の効果がでるような形に仕上げようと考えた。携帯も毎日の生活もアクティブに楽しんでもらえるような、新しい使い方が広がるような、そんな端末を作ることが使命だと思っている」(西村氏)

 それは例えばソニーが、ワイヤレス液晶テレビ「エアボード」用に「お風呂ジャケット」(2004年1月)を開発したことにも通じるものだ。「お風呂にテレビという機能を持ち込むことで、スタイルを変えるというアプローチを図ったように、“機能を付けたことで、その先に何をしてもらいたいか”というところを見据えている」(西村氏)

 こうした「携帯の新しい使い方や利用シーンを創り出したい」という思いから生まれたのが、ソニエリ流の防水携帯SO902iWP+というわけだ。

きっちり閉まっているけど開けやすい──背面のリアカバー

 中にSIMカードやバッテリーが入っていることから、端末背面のリアカバー部分は、しっかりネジ止めされている。簡単に開いてしまわないよう、付属のねじ回しを使う仕様だ。

 ただいったん、ネジを回しきってしまうと、リアカバーは簡単に外れる。ネジをある一定のところまで回すと、リアカバーが浮き上がる仕様になっているからだ。「あとは爪で引っかけて押し上げれば、リアカバーが外れる」(西村氏)



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