まん延する“違法着うた”の実態(2/3 ページ)

» 2007年01月26日 17時26分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 (2)のサイトは、コンテンツにたどりつく前に広告を大量に見せたり、着うたダウンロードにパスワードを要求し、「パスワードは以下のリンクをクリックすればどこかに出てくる」などと数十もの広告リンクを踏ませたりしている。

 パスワードを広告入りメールマガジンを登録したユーザー限定で知らせるケースも。広告閲覧ごとにポイントを付与し、集めたポイントに応じて着うたダウンロードさせる仕組みのサービスもある(※注2)。広告の内容は、音楽やデコメール、ゲームなどのコンテンツのほか、出会い系や消費者金融、「やせる」と銘打った健康食品、アダルト系が多い。


合法な「無料カバー曲」サイト

 (※注2)ただし、ポイント制のサイトには、合法に運営している業者もある。例えば「チャッカーズ」は、メール広告をクリックしたり、友人を招待して一定ポイントを貯めれば、着うたを無料でダウンロードできる。JASRACに許諾を得ており、合法にサービス運営しているという。

 ただチャッカーズで着うたを演奏しているのはオリジナル歌手ではない。人気楽曲のカラオケをオリジナルで作成し、インディーズアーティストが歌を吹き込んでカバーしているのだ。

 運営元のGNT担当者によると、CD音源を使わないこのスタイルなら、JASRACに利用料を支払うだけで配信でき、レコード会社とのライセンス契約(原盤権の利用許諾)が不要なため、制作・配信コストが着信メロディとほぼ同じ程度に抑えられ、無料モデルでも運営できるという。

 オリジナル歌手の着うたが無料とうたっているサイトもあるが、「レコード会社は公式サイト以外に楽曲提供する習慣がない上、ロイヤリティが高額。原曲の着うた配信は、無料ではまずペイしないのではないか」(GNT担当者)

 ちなみに2005年春、大手レコード会社5社が、レーベルモバイル以外に着うたを提供する事業者に対して、正当な理由なく原盤権の利用許諾を行わなかったとして排除勧告を受けている(解説記事)



画像 パスワード探し(「鍵探し」と呼ばれる)用の大量な広告リンク。記者は39のリンクすべてをクリックしてみたが、パスワードはどこにもなかった

 着うたコンテンツを保有していないのに「無料着うた」の文字でユーザーを引きつけ、広告をクリックさせる“騙し”サイトも多数ある。

 そういうサイトでは、「パスワードはこちら」と書かれたリンクをいくつクリックしてもパスワードが出てこなかったり、アーティスト名や楽曲名をクリックしても他の広告サイトに飛ばされたり――延々と広告リンクをめぐる羽目になる。これは一部のアダルトサイトと同様な仕組みだ。

急増は昨夏から

 日本レコード協会によると、違法着うたが目立ち始めたのは2005年夏ごろから。パケット料金の定額制が普及し、大容量の音楽ファイルも抵抗感なくダウンロードできるようになってきたことや、携帯サイト向け検索サービスが増え、勝手サイトでないサイトにもアクセスしやすくなったことなどが背景にある。

 こういった環境の変化は、合法な着うたビジネスの発展ももたらしている。総務省が昨年7月に発表した統計によると、着うたビジネスの2005年の市場規模は562億円で、前年の201億円から約2.8倍に伸びた。

 CD売り上げの低減が続くレコード会社にとって、着うたビジネスは数少ない成長分野。ライセンス料がJASRACにしか入らない着メロと違い、着うたはレコード会社直接の収益になることもあり、各社とも違法サイト対策を急いでいる。

 ソニー・ミュージックエンターテインメントは、違法着うた対策を行う専任スタッフを1人配置。違法サイトをチェックし、1日あたり30〜40件の削除要請を行っているというが「新しいサイトがどんどん出てきていたちごっこ」という。

違法サイト利用の背景 「無料だから」だけではない

 違法着うたサイトで手に入る着うたは、合法な着うたよりも音質が悪いことが多い。楽曲情報も整理されておらず、楽曲の長さもまちまち。それでもユーザーが違法着うたを利用するのはなぜだろうか。無料だから、という理由ももちろんあるが、それだけではなさそうだ。

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