初代ウォークマンケータイの「W42S」はATRAC3のみの対応だったが、「W52S」はATRAC3plusの再生にも対応した。内蔵メモリやM2メモリカードにATRAC3plusのデータをそのまま保存して再生可能だ。筆者が確認した限りでは、ATRAC3plusは最も圧縮率の低い352Kbpsのデータまで内蔵メモリに転送して再生できた。ATRAC Advanced Losslessは転送時に自動変換されてしまったが、もともとウォークマンでもHDDしか対応しておらず、携帯には対応しなかったのだろう。
W52Sで再生可能な音楽フォーマットはあくまで着うたフル、LISMO(au Music Port)、ATRAC(ATRAC3plus含む)のみ。対応フォーマットはATRAC3plusに対応した点を除けばW42Sと大きく変わらない。
ただし音楽関連の機能は、W42Sから変わったところもいくつかある。1つは「au Music Player」での着うたフル、LISMO、ATRACの管理が一元化され、シームレスに再生できるようになった点だ。
もう1つは、従来モデルからサポートされていた「Sonic Stage」でのMP3からATRAC3への変換に加え、「au Music Port」がiTunesでエンコードしたAACデータの変換/転送に対応したことから、PC内に保存した多くのフォーマットの楽曲をW52Sで楽しめるようになった点。MP3もiTunesのAACも端末に内蔵されるプレーヤーで再生できないのはW42Sと変わらないが、PC側で変換して転送すれば、元データがMP3でもiTunesのAACでも端末内蔵のプレーヤーで再生できる。
W52Sは、M2とmicroSDが両方使える仕様になっているが、microSDは独自の「SD変換アダプタ」に装着して利用するため、M2と同時には利用できない。なおmicroSD用のアダプタはW52Sの製品パッケージに同梱される。
ちなみにメモリカードスロットには、microSD用の端子が手前に、M2用の端子が奥にある。
W52SがmicroSDに対応した理由は、旧機種から有償ダウンロードコンテンツを移行する際の利便性を考慮したためだと思われる。microSDも利用できるなら、これまでmicroSDスロット搭載機を使っていたユーザーがソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末に乗り換える際、コンテンツの移行で困ることもない。着うたフルはPC経由の移動に対応しているので、PC−携帯間の接続環境を持たない人への配慮ともいえる。KDDIにmicroSDを搭載した理由を聞いたところ、「乗り換えユーザーへの配慮」(KDDI)という回答を得た。
au携帯では、ソニー・エリクソン端末以外は外部メモリにmicrosSDを採用しているので、対応せざるえなかったという事情もありそうだ。なお、ドコモ向けのソニー・エリクソン携帯ではすでに、「SO903i」がminiSDとメモリースティックDuoのデュアルスロットを採用し、「SO703i」にはmicroSDを採用した実績がある。
なお、ソニー・エリクソンのW52S製品サイト内にある「FAQ」に(1)再生制限のあるデータ(2)著作権保護されているEZムービー(amc、3gp)/着うた(3gp)/ボイス(qcp以外)/フォトミキサーのテンプレート/フォトミキサーの作品/フレーム/スタンプ はmicroSDに保存できず、記録されていても表示されないと記載されている。
この点をKDDIに確認したところ「W52SでmicroSDに保存できなかったり表示されたかったりするのは、地デジなどで使われる著作権保護技術CPRM SDの再生制限がかかっているコンテンツ。au公式サイトが提供しているコンテンツでCPRM SDの再生制限がかかっているものは、現状ほとんどない」とのことだ。
ATRACデータは著作権保護機能の「Open MG」に対応したメモリカードにしか転送できない仕様で、著作権保護機能が異なるmicroSDへの転送には対応しないと思われる。W52Sの試作機で転送を試みたが、やはりmicroSDには転送できなかった。
※今回の検証および確認はあくまでも開発途上の端末によるものなので、製品版では仕様が変わる可能性もあることをご了承いただきたい。
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