連載
» 2007年06月13日 21時10分 公開

第4回 NTTドコモ 辻村清行氏──「ドコモ2.0」はWeb3.0のドコモ版石川温・神尾寿の「モバイル業界の向かう先」(2/2 ページ)

[房野麻子(聞き手:石川温、神尾寿),ITmedia]
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サービスはサーバ型に

神尾 私は携帯にスケジュールやアドレス帳を入れているんですが、いろんな情報がだんだん携帯に集中し始めていて、今、PCで得られる自分の情報と携帯に入っている自分の情報を比べると、携帯の方が多くなってきたなという感じを受けているんです。今後、どれだけその人の情報が携帯に集約されていくか、携帯がどれだけ自分の分身になるか、というところを興味深く見ています。

端末本体に入るという形もありますし、サーバ上に自分のパーソナルデータがあって携帯経由で利用する、という形もあると思います。自分の身の回りの情報がどれだけ携帯に集約されるか、このあたりをどうご覧になっているかお聞きしたいんですが。

Photo

辻村 方向としては、身の回りの情報はますます携帯に入れていくことになると思うんですが、携帯というのは広い意味での携帯で、おっしゃったように、私は携帯とサーバの再配置みたいなものはあると思いますね。情報はなるべくサーバに載せていったほうがいいわけですよ。端末に入れて、なくしてしまうリスクを背負う必要はない。誰かと撮った、もしかしてもう2度と撮れないかもしれない写真というのは、絶対アップロードしておきたいはずです。そして見たいときにサーバからダウンロードする。そのダウンロードスピードが、自分の許容度を超えていなければかまわないわけですよね。電話帳にしても写真にしても、サーバにミラー的な意味で取っておくというのは、起こってくるだろうと僕は思います。

神尾 そうですよね。自分のパーソナルスペースをどこかから、例えばドコモからもらって、そこにあらゆる情報、PCの中のものも携帯の中のものも全部預かってもらって、必要に応じて同期できるというのが理想かなと思うんですが。

辻村 そうそう。そういう方向になっていくと思いますね。

神尾 PCにデジカメで撮った写真を入れておいたら消えちゃった、という消失リスクがすごく高くなっているという話ですし。

辻村 それはサーバに入れておけば安心ですよね。あとは面倒くささとかリテラシーの問題ですよね。

神尾 何も考えなくてもバックアップというか、バックグラウンドで同期してくれるのが一番理想です。しかも、新しいPCを買ってきたときに、じゃあこれは自分のPCだから自分のサーバと同期して、となって、例えばFeliCaをかざしたら自分のものだと認識されて、サーバに自動的につながるとか……そこまで簡易になるとすごくいいなと思います。

辻村 そんな風になっていくと思いますね。

神尾 ドコモもサーバ型のサービスの比率が高くなってくるのでしょうか?

辻村 そういうサービスは出てくるんじゃないですか。Googleがやっている「Gmail」なども、サーバ側でなるべく預かっちゃいましょうという方向ですよね。我々の「電話帳お預かりサービス」もそうだし、そういう動きはどんどん強まってくるのではないでしょうか。

神尾 携帯に入っている電話帳で固定電話をかけたいことがよくあるんですね。今だと手で移し変えますが、これが例えば、NTTの「ひかり電話」を使っていれば、家の電話からサーバにある携帯の電話帳を使って簡単にかけられる、というようなことができるといいなと思っているんです。

辻村 今後、お客様からいただく料金というのは、そういう方向に移っていくだろうと思うんです。というのは、いずれ「Skype」かそれと同じような技術が入ってきて、パケットで音声や映像が通っていくようになり、Skypeのビデオ通話のようになっていきますから。もちろん通信料は定額の世界ですよね。そうすると、我々は今申し上げたようなストレージも含めた付加料金をいただいていくようなビジネスをするようになっていくのではないでしょうか

 また携帯向けの広告は、販促も含めてそれなりにインパクトがあると思います。先日、電通総研が発表していましたけれど、モバイル広告はどんどん伸びていますよね。Googleさんも、携帯でAdWords、AdSense的なものをやっていこうとしています。携帯だと非常にセグメント化、特化された情報を流せますよね。石川さんだったら石川さんが欲しい情報を流せるわけで、テレビとは違う。それをどうやって進めていくのか、小さい画面を傷めずにできるか、この辺をマクドナルドのトルカやCRMと合わせて研究していきたいと思っているんです。これも全く新しい世界ですね。

神尾 検索と広告とGPSがからんでくるとすごく面白いなと思っています。ユーザーが求めるものに対して、あまりノイズにならない広告が出せるようになってくると、モバイル広告はいいと思いますね。

ドコモ2.0はWeb3.0のドコモ版

辻村 検索の話に関連したところだと、ちょっとあるところにお願いしていることがあります……。例えば足の不自由な方やお年寄り、妊婦さんなんかは、レストランを検索しても階段のあるところは嫌ですよね。やっぱりエレベーターがあるところがいい。そういう検索ができないかなと思っているんですよ。

ITmedia そういうニーズはありそうですね。駅にエレベータがあるかどうかとかも。

辻村 そうそう。そして、まさに自分の携帯なんだから、そういう情報を入れておいて、例えばラーメン屋でもフランス料理屋でも居酒屋でもいいですから、自分が選んだらそういうところが出てくる、みたいな検索エンジンができないかな、と。

神尾 確かに携帯はパーソナルなものなので、あらかじめフィルタリングをかけることはできますね。今はいわゆるGoogle型検索が増えてきて、検索するとたくさんリストアップされるんですが、そこから絞り込むのがすごく大変になってきていると感じます。

辻村 (検索結果は)1万件も10万件もいりませんよ。ほんの数件でいいわけです。携帯だったら僕は2件か3件でいいと思う。だけど、自分のニーズにきちんとマッチしたものを最初から出してほしいわけです。

神尾 なるほど。そのあたりはドコモさんとしても研究開発されている分野なんですか?

辻村 ええ、今いろいろとやっています。そうやって考えると、やることはまだたくさんある。Web2.0なんていう言葉がありますが、PCのWeb2.0と携帯のWeb2.0とでは、やるべきことは全然違いますよ

神尾 よりパーソナルですし、より接触時間が長いわけですからね。

辻村 たくさん個人の情報が入っているし、ロケーションがわかっているし、24時間持っているし、ということで、PCとは全然違うわけです。

神尾 昨年の「HP World Tokyo」のときにWeb3.0というお話がありましたけれど、そういう要素もドコモ2.0に含まれている感じなんですね。

辻村 そうですね。ドコモ2.0イコールWeb3.0のドコモ版だと考えていただければ。

石川 なるほど。

神尾 では、いわゆるインターネット世界のWeb2.0よりも、先に行くようなことをドコモ2.0はやっていきたいということですか?

辻村 先かどうかはわかりませんが、Web2.0のモバイル化ですね。携帯がPCになる。PCに光通信がつながっていたら、動画が自由に使えるわけです。我々もいずれ近いうちにそうなるし、PCじゃ逆立ちしてもできないような、例えばFeliCaを使ってマクドナルドでハンバーガーを買ってeクーポンも取れる、みたいなことができます。ということで、私は可能性はものすごくあると思っています。成熟感だとか頭打ち感なんて全然考える必要はない。

神尾 そういうことが1つ1つ形になってきたら、市場的にも携帯でできることが増えて、目新しさも出てきますよね。

辻村 そして深みができると思うんです。我々だけがやっているわけじゃなくて、交通系も流通系も食品系も、みんなが使い出すわけですから、社会構造全体にインパクトを与えられる。我々とそれぞれの業界の方々と一緒に作っていけばいいわけです。

ITmedia ケータイの未来にはまだまだ期待できそうですね。本日は大変興味深い話をありがとうございました。

(完)

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