INFOBAR 2は「au design projectの集大成」──KDDIの高橋誠氏

» 2007年09月26日 16時41分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 「INFOBAR 2」の仕上がりに胸を張る、KDDI コンシューマ事業統括本部長の高橋誠氏

 「au design projectの集大成」──。KDDI コンシューマ事業統括本部長の高橋誠氏は、4年の月日を経て戻ってきたINFOBAR 2をこう表現した。

 初代INFOBARは、デザイナーの深澤直人氏とauのコラボレーション端末として生まれ、2001年5月にコンセプトモデルの「info.bar」として初披露された。2003年10月には1X端末の「INFOBAR」としてデビュー。折りたたみ型が主流で、機能ばかりが重視されていた当時の携帯電話の世界に、デザインという概念を取り入れたことが注目を集め、端末は売り切れが相次ぐヒット端末となった。

 しかし初代INFOBARは、当時のトレンド機能をすべて搭載することはできず、外部メモリを利用できない点やWIN端末ではない点、メインディスプレイがQVGA対応ではない点、カメラ性能があまり高くない点などを惜しむ声もあった。またデザインについても、コンセプトモデルにはなかったアンテナが付くなど、オリジナルと全く同じデザインというわけにはいかなかった。

 端末自体の完成度は高く、多くのユーザーから支持される端末に仕上がったが、こうした点で「もう一歩、届かなかった」と高橋氏は当時を振り返る。そこで新しいINFOBARには、最新のトレンド機能を盛り込むことを決めたという。「こだわりを最終点に導くべく構想し、コンセプトモデルそのままに最新の機能をすべて搭載したのがINFOBAR 2」(高橋氏)。セカンドモデルの登場に4年もかかったのは、「明らかに進化したと分かる形で出したい」と考えたからだ。


Photo ボディカラーは4色。初代INFOBARで人気を博したNISHIKIGOIをはじめ、シボ加工したマットな手触りのMIDORI、「溶けた飴」というコンセプトを端的に表現した「SILVER」、暖かな色合いの「WARM GRAY」の4色をラインアップする

 満を持して登場したINFOBAR 2は、2006年10月に発表したコンセプトモデルそのままのボディデザインに、おサイフケータイや音楽プレーヤー機能、ワンセグなどのトレンド機能を搭載。デザインの命ともいえる丸みを帯びたボディラインを損なわないよう、ワンセグ用のアンテナは端末に内蔵した。

 なだらかなカーブを描くフロント部に納められた2.6インチのワイドQVGA有機ELの表面は、細心の注意を払わないと画面がゆがんで見える恐れがあるなど苦労したところだと高橋氏。初代INFOBARに続き、INFOBAR 2の開発も手がけた鳥取三洋電機の技術陣が、アクリルをうまく曲げて仕上げたことで、製品化を実現できたという。

 ボディデザインだけでなく、ユーザーインタフェースにもこだわったと話すのはデザインを手がけた深澤氏だ。動画やFlashなどを使った動くメニューがトレンドと言われる中、情報がはっきり伝わることを中心に考え、あえて分かりやすい操作に徹したメニューをデザインしたという。アイコンは、普段の表示はシンプルなラインを基調とし、カーソルを合わせるとリアルな表示に変化する仕様だ。「遊びを排除し、機能に徹したメニュー。操作の思考に逆らわないような誘導を目指した」(深澤氏)

 直線的なボディの初代から、4年の歳月を経て“角がとれて丸くなった”INFOBAR 2。初代のイメージを踏襲しながら、時代の変化に合わせて進化したこの端末が、市場にどんなインパクトをもたらすかに注目が集まる。

Photo 深澤氏が手がけたメニュー画面はシンプルで分かりやすいものに(左)。デザインのじゃまになりがちなスピーカーやカメラもデザインにうまくなじませている(中)。有機ELは輝度が従来比30%向上したパネルを採用し、きれいな画面でワンセグを楽しめるという(右)。調光センサーも装備され、環境光に合わせてディスプレイの明るさが変化する

Photo 流行に左右されないデザインを提案する「ACE 60」がキャリングケースをデザイン(左)。イタリアの建築・デザイン大学院の「ドムスアカデミー」は、INFOBAR 2と人、空間のコミュニケーションを考えた20のアイテムを提案(中、右)。うち、いくつかは製品化する予定だという


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