2GHz帯の周波数をめぐるある“うわさ”Mobile Weekly Top10

» 2007年12月26日 12時35分 公開
[園部修,ITmedia]

 今週のアクセスランキング、トップを飾ったのは12月3日から9日までの端末販売ランキングを紹介した記事だ。個装箱が巨大な“シャア専用ケータイ”こと「913SH G TYPE-CHAR」の発売タイミングと重なったこともあってか、多くのアクセスを集めた。

 2位は神尾寿氏が端末の販売現場で起きている異変についてリポートした記事、3位は突如発表された2008年版のシャープ製au端末「W61SH」、4位と8位には毎回人気が高い「ドラマで使われるケータイたち」のドコモ編とau編が入っている。

 さて、年内に決まるといわれていた、2.5GHz帯を利用する広帯域無線通信サービスの認定先が12月21日に発表され、KDDI陣営のワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムが認定を受けた。認定先をめぐっては、総務省がヒアリングを開始する前から「KDDIが当確」といった報道があったり、それを受けて公開カンファレンスが開催されたり、その後もウィルコムとソフトバンクの“場外乱闘”が繰り広げられたりと、さまざまな議論を呼んだ。

 中でもソフトバンクが「ウィルコムの次世代PHSはアイピーモバイルが返上した2GHz帯で展開した方がいいのではないか」と主張したことから、2GHz帯の15MHz幅(2010MHz〜2025MHz)の周波数の行方には注目が集まっている。すでにウィルコムは2.5GHz帯の周波数を取得したので、この周波数の獲得に動くことはないと思われるが、今回周波数を獲得できなかった陣営の参加者は、この2GHz帯を獲得することも視野に戦略を巡らせているに違いない。

 総務省は、12月12日にアイピーモバイルが返上した特定基地局の開設計画の認定を取り消すことを決定し、20日には“アイピーモバイル跡地”の技術的条件について審議を開始した。総務省は「国内外の技術の進展及び周波数の一層の有効利用を考慮して、今後の2GHz帯におけるTDD方式を活用した移動通信システムの技術的条件を検討する」としており、現在定められているTD-CDMAやTD-SCDMA以外の方式が使えるようになる可能性が高い。

 ただ、この2GHz帯の周波数は、ソフトバンクが「使いたくても使えない」と発言していることからも分かるとおり、仮にWiMAXが利用可能になっても、利用できない事業者もいる。

 ソフトバンクモバイルは、近くの周波数(1965MHz〜1980MHz)に3G(W-CDMA)用リバースリンク(上り回線)があるため、2GHz帯のTDDバンドとは干渉が起こってしまい、使い物にならないという。同様の理由で、NTTドコモもFOMA(W-CDMA)用のリバースリンク周波数(1945MHzから1960MHz)が近く、使いにくい周波数だといわれる。KDDIはWIN(CDMA2000 1X EV-DO/EV-DO Rev.A)用の周波数として1925MHzから1940MHzを割り当てられているが、こちらはアイピーモバイル跡地の2GHz帯からは離れており、利用に当たっての制限は他の2社に比べると少ないと思われる。ただ、KDDIはすでに2.5GHz帯が割り当てられていることもあり、WiMAX用としては手を挙げられないだろう。

 では、この2GHz帯を有効利用できる事業者はどこなのか。

 一部では、KDDIが獲得に動くのではないか、といううわさがある。前述のとおり、使いたくても使えない事業者がいる現状では、この2GHz帯を有効活用できる選択肢はあまり多くないように思われる。新規参入のベンチャー企業が通信事業を始める難しさは、図らずもアイピーモバイルが実証してしまった。しかしある関係者は「KDDIは、この2GHz帯を活用できる」と明かす。CDMA2000 1X EV-DO Rev.Bを使うことで、この帯域を第2フォワードリンクとして利用できるようになるというのがその根拠だ。

 EV-DO Rev.Bには、既存のFDDのペアバンド(W-CDMAやCDMA2000では、上りと下りの通信にそれぞれ別の周波数を利用する)に加えて、別途帯域を追加し、上り方向の通信をさらに高速化する技術がある。KDDIは、EV-DO Rev.Aのサービスを開始していることもあり、Rev.Bを導入することに技術的なハードルはほとんどない。

 もっとも、KDDIはEV-DO Rev.Bを導入するかどうかをまだ明らかにしていないし、2GHz帯でEV-DO Rev.Bが使えるようになるかどうかも今の段階では全く分からず、憶測の域を出ない話ではある。とはいえ、再割り当て先がどうなるのかは、今後も注視していく必要があるだろう。

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