使い勝手を大きく左右するものとしては、日本語入力環境も大きなポイントだ。京セラはW44Kで辞書の容量を向上させ、好評を得た。W53Kでも変換辞書の容量を、変換基本辞書、標準予測辞書ともアップさせている。また、変換候補のリストから選択するときにはカーソルを今までの上下に加え、左右にも動かせるようにして、素早く選択できるようにした。日本語入力システムは「Advanced Wnn V2 EX Pro」を採用しており、日本語入力エンジン自体も進化している。
「文字入力は、満足度で大きなウェイトを占めると認識しています。“文字入力は京セラが一番使いやすい”と評価されるまで、努力する意気込みです」(宮坂氏)。今後も、連文節の一括変換など、日本語入力システムの強化に取り組んでいくという。
W44Kは、auの2006年を代表するスタンダードモデルとして評価された。「W53Kでは、2007から2008年のスタンダードモデルとしての地位を確立したい」と開発陣は意気込む。
W53Kのボディデザインは「時計やアクセサリーのように、身近なところで生活を彩っている小物」をイメージしている。W44Kのよいところを残しつつ、華やかさや上品さをプラスした。強化ガラス製のメインディスプレイと背面パネルや、ハーフミラー状の背面パネルといった要素はW44Kを踏襲しているが、中央の帯と外側部分をあえて別カラーにすることで、単色では出せない華やかさを表現した。
W53Kのメインカラーは一段と華やかなパッショネイトレッド。シャンパンピンクはゴールドと組み合わせ、化粧品のボトルのような華やかさを出した。「同系色のピンクを使うとかわいらしいイメージになるが、W53Kのピンクは大人の女性にも持ってもらえるピンク」(播磨氏)。パッショネイトレッドは、やや紫色がかった赤と組み合わせたり、黄色い文字を使ったりしながら、少しずつニュアンスを変えることで濃密な赤を表現した。社内調査では30代男性の購入意向が強かったという。また、イメージキャラクターの井川遥さんもパッショネイトレッドがお気に入りだとか(2007年11月の記事参照)。
華やかさの演出として、サブディスプレイのイルミネーションも一役買っている。一見、ランダムに並んだ8つの文字が単語を作り、着信を通知する。「単純にアイコンを表示させるのではなく、あえてこういう見せ方にしています。知的な文字遊びっぽい雰囲気を出しながら、実用的でもある。デジタル時計にこういったものがありますが、そんな遊び心を表現したかった」(播磨氏)
さらに不在通知も文字で表示する。例えば電話のときは「CALL」、メールの時は「E MAIL」や「C MAIL」と表示される。アイコンやLEDの点滅などで知らせるモデルが多い中、ユニークな取り組みだ。「テキストでのアプローチもアリではないかという提案です。消費電力の問題もあったのですが、やりたくて無理をいって取り入れました」(宮坂氏)。
W53Kで気になる点はおサイフケータイに対応していない点だ。W44Kでもおサイフケータイ対応を求める声があったが、スタンダードモデルにFeliCaはいつ搭載されるのだろうか。
宮坂氏は、「おサイフケータイは一度使うとやめられない便利なサービスです。ただし、まだすべてのケータイユーザーにとってなくてはならない機能にはなっていない」と話す。「W53Kはあくまでスタンダードモデル。おサイフケータイは、ユーザーの生活圏内に対応する店舗や交通機関が必要で、日本全国どこでも使えるサービスというわけではない。また、ICカードを使うという代替手段もあります」(宮坂氏)と説明する。開発陣は、W53Kを“おサイフケータイはいらないが、ワンセグは使ってみたい”という層の受け皿にしたいという。
「近いうちにスタンダードモデルでもFeliCaを搭載しなくてはいけなくなるでしょう。例えそうなって“具だくさん”になっても、ベストスリムゾーンはキープしなくてはならないですね」(宮坂氏)
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