尾上氏はまた、スーパー3Gが着実に具体化するのと平行して、4Gの標準化も活発化してきていると指摘した。
まだ“未来の技術”というイメージが強い4Gだが、2007年に開催されたITU-R(International Telecommunication Union Radiocommunications Sector/国際電気通信連合 無線通信部門)のWRC-07(World Radiocommunication Conference/世界無線通信会議)で、4Gで使う周波数の方針が打ち出され、技術的提案を募集する「サーキュラーレター」が発布されたことで、具体的な検討が始まった。
4Gは、IMT-Advancedという名で呼ばれる、高速移動時100Mbps、低速移動時1Gbpsのピークデータ転送速度を実現する通信技術だ。3GPPでも4GのStudy Itemが承認され、LTE-Advancedという名称で2回のワークショップも開催されているという。周波数帯は、WRC-07において3.4G〜3.6GHz、2.3G〜2.4GHz、698M〜806MHz、450M〜470MHzの計428MHz幅が決定され、この中から各国が利用したい周波数で実現していくことになっている。
基本的に、4Gでは100MHz以上の広い帯域幅を使って通信を行うことが必須とされている。ただ使える周波数帯や周波数幅は地域によって変わってくるため、利用する帯域はスケーラブルにしておく必要がある。また、技術はLTEの発展系のものをベースにしておくことも重要だ。そしてなにより、LTEより性能が高くなくては意味がない。
こうした状況を踏まえてドコモでは、アップリンクとダウンリンクの通信速度を非対称にすることも含めて技術的に検討する必要性や、スケーラブルな帯域を実現するための具体的な方策、パフォーマンスを向上させるため、いかにして直行性を持たせた技術にしていくか、といった提案をしていることを紹介した。
ドコモは古くから4Gの研究開発を行っており、すでに実証実験も行っている。2002年に室内実験で100Mbpsのデータ転送に成功したのを皮切りに、2005年5月にはフィールド実験で1Gbps、2005年12月には2.5Gbps、2006年12月には5Gbpsでのデータ転送に成功した。5Gbpsでのデータ通信は、100MHz幅の周波数を使って、12×12のMIMOを活用したもので、開発が順調に進んでいることをアピールした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.