最後に登壇した弁護士の牧野氏は初めての総会を振り返り、「どんなサービスを目指しているのか、正直まだよく見えない」と感想を述べた。
「すでに我々の身の回りには、さまざまなセンサーやカメラがある。これらがどういう目的で誰が使っているのか、なかなか知る機会は少ない。漠然とした不安感がある。BWAユビキタスネットワーク研究会では、どういった目的で何をするのかをしっかりと見定めたい」と話した。
また“センサーによる情報の爆発現象”が引き起こす影響は単にプライバシーの問題だけでなく、監視されている不安からネガティブな思考になり、日常生活が委縮してしまうなど幅広く影響するとの考えを挙げ、ネットワークに流れる前に個人情報を止める仕組みを提案した。
「先ほど美濃先生は『人類のすべての知識がWebに集まっている』と発言されたが、確かに不要な情報も蓄積してしまっている。膨大な情報から、有用と無用を人力で分けるのは難しい。センサー自体で振り分ける、あるいは、センサーそのものを格付けする工夫が必要ではないか。“休暇モードにしておけば、カメラに写らない”“仕事モードのときは記録され、出張中のログとして残る”ということができるとうれしい。いずれにせよ、監視カメラに関する議論にはさまざまなタブーがある。研究会の活動を通じて、これらに挑戦していきたい」(牧野氏)
会見後の質疑応答では、研究会とウィルコムの関係についての質問が挙がった。
喜久川氏は「BWAユビキタスネットワーク研究会は、ウィルコムだけ、あるいはWILLCOM COREだけのものではない。マイクロセルの更新はめったにないチャンスであり、便利で新しいインフラを提供できるので発起人になった。一理事として意見することはあるが、それ以上のことはない」と回答した。
あくまで目的はBWAの活用にあるため、カメラネットワークの発展のためになるなら、モバイルWiMAXなどほかの通信方式を採用したキャリアの参加も受け入れる考えだ。また、国土交通省のITS(高度道路交通システム)との連携も、効果があるなら検討したいとした。ただし、すべての判断はウィルコムがすることではなく「研究会で民主的に決める」(喜久川氏)という。
またカメラは、全国16万局のすべての基地局に設置されるわけではない。見通しが良い場所など数万局に設置されるという。基地局以外でも、WILLCOM CORE対応の通信モジュールを組み込んだカメラを設置することも検討している。
気になる今後のスケジュールだが、研究会では来秋のWILLCOM CORE全国サービスまでに一定の成果を出したいという考えだ。その後、具体的なルール策定や機器選定などを行いやすいよう、コンソーシアム化を計画しているが、実際のサービスが、いつ、だれ(事業主体)によって始められるかは、未定だという。
以下は、BWAユビキタスネットワーク研究会に参画した企業のコメント。
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