ZTE(中興通訊)は、主にローコストなCDMA端末で中国国内のシェアを拡大するとともに、海外事業者にも積極的にOEM製品を供給するメーカーだ。2007年は年間出荷台数1億台を突破し、世界シェア6位にまで上り詰めている。3G端末もヨーロッパの通信事業者に複数の製品を供給するほか、2008年は日本通信にHSDPAモデムが採用され、日本市場にも参入を果たした。
ブースに展示されているモデルのうち3G対応端末の製品数こそはHuaweiほど多くないものの、ブランドとのコラボ端末などもあり、特色のある製品が目だっていた。中でも特筆すべきモデルはVodafone向けの「VF1231」。なんと、QWERTYキーボードを備えたWindows Mobile搭載のスマートフォンだ。残念ながらGSMオンリーの端末であり、3Gには対応しないものの、大手通信事業者にスマートフォン端末が採用されるほど中国メーカーも十分な力をつけてきたと見ることができる。
このほかZTEは、中国国内向けのTD-SCDMA(中国方式の3G)端末にも力を入れており、展示会に合わせてHSDPA対応モデルを発表。中国開発のデジタルテレビ放送方式「CMMB」対応端末も他社に先駆けて投入するなど、コストだけではなく技術力の高さも大きくアピールした。
OEMメーカーのTechFaithブースにも3G/HSDPA端末の特設コーナーが設けられていた。
このうちの1つ「Ginny」シリーズは、一見すると大きな特徴がないベーシックな端末だ。しかし、WG、DG、UCという3種類ものラインアップで展開し、それぞれがW-CDMA2100MHz+GSM3バンドとGSM3バンドのデュアル待受対応、W-CDMA3バンド+GSM3バンド対応、W-CDMA2100MHz+GSM3バンドとCDMA2バンドのデュアル方式対応と、複数の通信方式に対応するのが特徴。このため、多くの通信事業者のバイヤーの目に留まる機会も多かったことだろう。
ここまで多彩な通信方式を1つのシリーズで用意する端末は他社には少なく、やはりOEMメーカーならではといえる製品戦略である。このほか、HSDPA対応のUSBモデムながら、音声通話端末としても利用できる手のひらサイズの小型端末「Jet」や中国メーカーではおなじみのHSDPA対応モデムなども展示されており、特徴的なラインアップが注目を浴びていた。
山根康宏:香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯コレクターとしても知られ、所有する海外携帯電話の数は500台以上。
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