ついに純増2位に浮上、イー・モバイルの実力とは?:神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)

» 2008年11月17日 18時35分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

トレンドにきっちり乗る、たくみなマーケティング

 もう1つの「マーケティング」の部分では、データ通信分野の“トレンドにきっちり乗っている”のが、イー・モバイルの特徴になっている。

 それが顕著に現れたのが、通称“100円PC”と呼ばれたNetbookとのセット販売だろう(参照記事)。これは低廉な超小型PCであるNetbookを(参照記事)、データ通信サービスでの2年間契約を条件に破格で売るというもの。これは携帯電話販売でかつて主流となり、総務省に問題視された挙げ句に廃された「販売奨励金モデル」をそのまま廉価版PCに用いたものだ。

 形を変えた販売奨励金モデルの復活には、むろん是非があるだろう。特に大手キャリア幹部の中には、「今さら、アレ(販売奨励金による100円PC)が許されるのか」という非難の声もある。

 だが筆者は、Netbookを“ゼロから立ち上がる新たな市場”と判断して、躊躇なく販売奨励金モデルを投入したイー・モバイルは、マーケティングのセンスがあると見ている。なぜなら、販売奨励金モデルはまったく新しい市場の創出に向けた端末普及の施策としては極めて有効であり、一概に“悪いこと”とは言えないからだ。販売奨励金モデルの弊害や矛盾が出るのは、普及拡大期が終了し、買い換えが中心で契約者数は増えない循環期に入ったときである。Netbookは普及拡大期の兆しが見えたばかりであり、そこにいち早く布石を打ったイー・モバイルのフットワークのよさは評価できる。

 100円PCは顕著な例であるが、人気のスマートフォン「Touch Diamond」のいち早い投入や、積極的なデータ通信サービスの高速化、“通話ができる面白データ端末”「H11LC」のラインアップなど、イー・モバイルの取り組みは市場トレンドに無理なく“乗っている”。このあたりのマーケティングのたくみさも、同社の強さと言えるだろう。

 かつて、データ通信市場やスマートフォン市場のキャスティングボートを握るのはウィルコムであった。しかし今では、躍進するイー・モバイルがその役割を奪い、成長の土台にしている。

 来年以降、データ通信市場の“裾野の拡大”と、スマートフォン市場の“普及拡大期に向けた取り組み”は、新たな2台目市場の創出に向けて重要性を増してくる。その中で、イー・モバイルがどのような取り組みをしていくのか。それは同社の今後の成長のみならず、業界全体の動向を見ていく上でも、注目すべき要素の1つになりそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月05日 更新
  1. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  2. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  3. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【2026年10月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年10月03日)
  8. 「Androidのマイナンバーカード」は10月20日スタート予定 今の「スマホ用電子証明書」と何が違う? (2026年10月02日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
  10. 免許証画像が漏れると何が“ヤバい”のか タイムズカーで最大約660万件の個人情報漏えいで考えられる「3つのリスク」 (2026年09月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー