インタビュー
» 2008年12月20日 01時20分 公開

開発陣に聞く「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」:タッチだからこそ“親指文化”にもこだわった――「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」誕生秘話 (3/3)

[田中聡,ITmedia]
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バッテリー残量を正確に知らせるバッテリーメーター

 931SHは大型ディスプレイを備えるだけあり、バッテリーの持ちが気になるが、「基本機能はあらゆる面で省電力対策をしている」(澤近氏)という。

 「カタログスペック(W-CDMAエリアの連続待受時間は約340時間)は従来機種と変わらないレベルを達成しましたが、931SHではモバイルウィジェットを利用できるのが大きな違いです。ウィジェットは一定時間通信をするので消費電力が増えますが、ウィジェットごとに更新頻度を設定できるので、ある程度は抑えられると思います」(澤近氏)

 省電力に直結するわけではないが、931SHは、バッテリー残量の目安を「%」と時間で表示する「バッテリーメーター」を搭載した。バッテリーメーターの表示で30%を切ると、残量アイコンは「2」、10%を切ると「1」になる。

 「これまでのバッテリー残量アイコンは、残り3つと2つの差があいまいでしたが、残量をできるだけ正確に表示するために搭載しました。バッテリーメーターは、リアルタイムに消費電流を計算しながら残量を表示していますが、正確に数字を出しすぎると使う機能などによって急激に残量表示が増減するので、違和感のないよう調整しています。メーターを見て『すごい早さで減っている』という声もいただきましたが、バッテリーの残量を正確に知らせることが重要だと思います」(澤近氏)

photophotophoto バッテリーメーターは%と時間で表示される(写真=左、中)。拡大表示も可能だ(写真=右)

iPhoneが実現した心地よさに、931SHならではの操作性を融合

 同じキャリアから発売されたモデルということもあり、931SHはiPhone 3Gと比較されやすい。「iPhone 3Gは画像ビューアーの評価がかなり高かったので、データフォルダの開発スタッフにはかなり発破をかけました」と澤近氏が話すように、多かれ少なかれ、iPhone 3Gを意識して開発をしていたようだ。

 もちろん、931SHはiPhoneを目指して開発したわけではなく、「iPhoneが実現した心地よさや快適さ」をうまく融合させることに主眼を置いた。「私たちが目指す日本のケータイでは、心地よさと操作性のよさを両立させたかった」(澤近氏)という考えから、931SHには物理キーを搭載した。iPhone 3Gや930SC、X04HTはダイヤルキーのない全面タッチパネルを採用したが、「日本人が使うケータイにはダイヤルキーは必須」というのがシャープの考えだ。

 「親指だけでタッチパネルを入力できて、物理キー並みの操作性を実現できれば、タッチパネルのみの形状もありでしょう。ただ、現状では物理キーの操作性がベストだと考えています」(澤近氏)

 澤近氏が「日本のケータイには“親指文化”や“メール文化”があるので、物理キーは従来モデル以上にこだわって開発しました」と話すように、931SHではタッチパネルだけでなく、物理キーでも快適に操作できるよう工夫を施した。

 931SHでは、スライドの移動量が「921SHの57.5ミリよりも2.5ミリ長い60ミリに伸びている」(澤近氏)という。これにより、ダイヤルキー側の面積が増え、「各キーのサイズを大きくできた」「一番下のダイヤルキーを、より上に設置できた」という2つのメリットが生まれた。さらに、各キー列にU字型のラインを施した「アークリッジスリムキー」を採用し、押しやすい形状にもしている。

 「一般的に一番下のキーが最も打ちにくいのですが、931SHでは下段のキーをより上に設置することで、打ちやすくなりました。キーの位置はコンマ数ミリ違っても人間の手では分かります。実際に触った人から『キーが打ちやすくなった』という声はよく聞きます。キーの『大きさ』『位置』『形状』を工夫したことで、従来モデル(921SH)よりも圧倒的に操作しやすくなりました」(澤近氏)

photophoto 左が931SH、右が921SH。931SHのほうが各キーが大きく、下段のキーが上にあることが分かる(写真=左)。ダイヤルキーには、U字型のラインを施したアークリッジスリムキーを採用(写真=右)

 文字入力は物理キーのほうが操作しやすいのは確かだが、「オマケで付けたものではない」と澤近氏が話すように、ソフトウェアキーボードもこだわって開発した。

 「横画面でブラウズ中に検索ワードを入力する場合、ソフトキーボードを使えば本体を開かずに文字入力できます。文字入力画面を2回タップすると改行、3回タップすると範囲選択ができるようにしました。

 2、3回クリックして操作をするというのはPCではよくある手法ですが、ケータイではあまり見られません。操作感は物理キーにはかないませんが、新しい操作法を知る楽しみを提供できたと思います。また、物理キーで文字入力をしてソフトキーで選択をするといった、ソフトキーと物理キーの組み合わせも便利です。片手で物理キー、もう片手でソフトキーと組み合わせで入力するのが一番速いと思います」(澤近氏)

 タッチパネルは確かに便利だが、タッチパネルだけでは日本のケータイとしてベストな形状とは言い難い。タッチパネルという先進的なデバイスを搭載しつつも、日本のケータイとして、物理キーの使い勝手もしっかりと確保する――。931SHはまさに、シャープが掲げる「半歩先」を行く戦略を体現したモデルといえる。

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