“なし”の生活には戻れないモノが増えた2008年ITmediaスタッフが選ぶ、2008年の“注目ケータイ”(編集部園部編)(1/2 ページ)

» 2008年12月31日 17時00分 公開
[園部修,ITmedia]

 個人的な2008年を振り返ってみると、身の回りにあれこれと手放せないものが増えたように思う。1つは間違いなくアップルの「iPhone 3G」。今やこれなしの生活は考えられない。電話やメールはほとんどiPhone 3Gを使うようになったし、Webアクセスもケータイサイトを見る必要があるとき以外はほとんどこれだ。

 もう1つは特定の機種ではなく「おサイフケータイ」。もちろん、これまでもずっと持ち歩いてはいたのだが、使える場所が飛躍的に増えたため、休日などに持ち歩く端末を減らして困ったことが何度となくあった。

 そして3つ目はイー・モバイルの「D02HW」。職場のPCの持ち出し規制が始まったことや、Windows Vistaでは社内のネットワークに接続できないことなどの理由から、いつでもどこでも同じ環境で原稿を書いたり、編集作業をしたりするためのノートPCを導入し、合わせてEMモバイルブロードバンドサービスを利用するようになった。

 そのほか番外編として、これからはデジカメなしですむシーンが増えるかも、と思えた「SH-01A」、密かに期待していた「インターネットマシン 922SH」、結局買ってしまった「フォンブレイバー 815T PB」、忘れられない端末「W54SA」も挙げておきたい。

これは使える、と思った「iPhone 3G」

Photo 今や手放せなくなった「iPhone 3G」

 すでに何人もの人が“2008年を代表する機種”としてiPhone 3Gを挙げていることからも分かるとおり、情報通信業界で「年度代表馬」や「カーオブザイヤー」に相当する「ケータイオブザイヤー」を選定するとすれば、おそらくiPhone 3Gで異論は出ないだろう。それだけ業界に対するインパクトも大きかったし、話題性も豊富だった。

 ただ、個人的にiPhone 3Gを今年もっとも注目した機種として挙げたい理由は、その話題性や先進的なユーザーインタフェースに驚いたからだけではない。自分で購入して使ってみて、当分の間は“次の機種”に目移りしなさそうだと感じたからだ。使っていて楽しいだけでなく、この先何年かにわたってそこそこ快適に使い続けられることが保証されている点は、ケータイの購入が“安い買い物”ではなくなった昨今において、とても重要な要素だと思う。

 既存のケータイやスマートフォンではできなくて、iPhoneにはできること。それは「ソフトウェアのアップデート」だ。iPhone 3Gは、発売後何度かソフトウェアのアップデートを行っており、そのたびに機能が増えたり、不満点が解消されたりしてきた。これはつまり、次のバージョンのiPhoneが登場したとしても、それとほぼ同等のソフトウェアが現行のiPhone 3G向けにもリリースされる可能性が高いということ。ケータイのように、新しいサービスが、同時に発表された新機種でしか利用できないという心配が少ないわけだ。機能に対する不満があっても、端末を買い換えることなくその機能が改善される可能性もある。

 例えば“よく落ちる”ことで知られるWebブラウザのSafariだが、ソフトウェアのアップデートを重ねるごとに安定性は向上しているように見える。Safariでの情報収集は、電車などでの移動中には欠かせないものとなっており、パケット通信料は毎月2段階定額制の満額を支払っている。

 またiPhoneは、アプリケーションを自由に追加できる点も魅力だ。配信の可否に関するすべての判断をアップルが行うという方法については、議論の余地はあるものの、今までなかった機能などを簡単に増やせるのはうれしい。また、そのプラットフォームの上で新しい機能を開発し、全世界に配信する方法を用意したことも評価したい。今やiPhoneアプリは1万本以上が一カ所に集約されており、何か実現したい機能があるとき、App Storeで探せば何かしらのアプリが見つかると言っても過言ではない。

 このアプリケーションのおかげで、iPhoneはさらに手放せないものになりつつある。個人的によく使っているのは、家計管理ソフトの「iXpenseIt」、新着アプリや値下げされたアプリを簡単に調べられる「AppSniper」、調べ物に便利で、知的欲求も満たしてくれる辞書「大辞林」「Wikiamo」、ふと思いついた企画や文章などをまとめておくのに便利なテキストエディタ「ToFU Editor」、暇つぶし用の爽快シューティングゲーム「SPACE DEADBEEF」、見せびらかし用の楽器アプリ「Pocket Guitar」「Finger Piano」など。最近は開発者も慣れてきたのか、クオリティの高いアプリが続々と登場している。きっとこれからもユーザーを驚かせてくれるだろう。

本文で紹介したiPhoneアプリへのリンク

 以下に本文中で紹介したiPhoneアプリへのリンクを用意しておく。リンクをクリックするとiTunesが立ち上がり、アプリの解説画面が表示されるので参考にしてほしい。それと、宣伝を1つ。iPhoneアプリの情報を集約した「ITmedia App Town」を12月に開設したので、興味があればぜひのぞいてみてほしい。


「おサイフケータイ」なしでは生活できない

Photo おサイフケータイには必ず付いているロゴは「PFマーク」という。意外とその名は知られていない

 メディアに身を置く関係もあって、最新のアプリやサービスは可能な限り早く申し込んで体験するようにしているが、中には全く使う機会がないものもある。それは、サービス自体が使い物にならないというのではなく、環境がまだ整っていなかったり、世の中の意識に対して“先進的すぎる”からだ。そのため、機会があれば使えるように準備はしているのだが、結局使わないまま時がたってしまうものが結構ある。おサイフケータイも、立ち上がってすぐはそんな状態だった。

 しかし2008年は、個人的に“おサイフケータイ依存”になった年だ。電車での移動は、地下鉄も含めてもちろん「モバイルSuica」。バスに乗るときもモバイルSuica。タクシーに乗るときは「iD」が使える東京無線タクシーかチェッカーキャブ、日の丸交通を優先的に選び、見つかればSuicaが使える国際自動車か日本交通、Edyが使える中央無線にする。コンビニで買い物するときもiDか「Edy」(セブン・イレブンは「QUICPay」)で支払い、マクドナルドはかざすクーポン+iD。仕事が忙しいときなどは、1週間現金を一切使わないことすらある。打ち合わせで喫茶店に入ったところ、財布に現金が少ししかなくて恥ずかしい思いをしたこともある。それ以来、店に入る前に電子マネーやクレジットカードが使えるかどうかはそれとなくレジなどをチェックする癖が付いた。

 目下の最大の問題は、iPhone 3GにFeliCaが載っておらず、載る見込みももちろんないこと。メインのケータイをiPhone 3Gにしても、絶対にサブケータイとしておサイフケータイが必要になる。以前「iPhone 3Gの裏にVIEW Suicaカードを貼っておけばいいのでは」というネタがあったが、おサイフケータイは単なるFeliCaカードではなくて、いつでもどこでもチャージできること、複数のサービスに対応できることが魅力。当分は3台持ち状態が続きそうなので、2009年は薄いおサイフケータイを使いたい。

常に同じ環境で仕事をするために導入した「D02HW」

Photo ノートPCを買い換えてからとてもお世話になった「D02HW」。2009年はぶら下がらない「D21HW」にしようかともくろんでいる

 今年、手放せなくなったモノの3つめはイー・モバイルのデータ通信端末、D02HWだ。Huawei製のUSB端末で、Windows PC、Macを問わず接続できることから重宝している。

 D02HWを導入したのは、前年から始まった職場でPCの持ち出し規制がきっかけだ。厳密には、持ち出しが禁止されているわけではないので、所定の手続きさえ踏めばいいのだが、その手続きを省略したい衝動に駆られたのである。2年前に会社から支給されたノートPCでは快適に仕事ができなくなってきていたこともあり(かといって壊れてもいないのに買い換えてはもらえず)、自腹でPCを購入して、原稿整理や執筆が快適にできる環境を作った。その際に、イー・モバイルのD02HWを導入し、家でも職場でも、もちろん取材先でも、同じ環境で仕事ができるようにした(もちろん社内でないとできない業務用に、会社支給のPCは会社に常駐)。

 当初はイー・モバイルで果たしてどれだけ実用的に仕事ができるのか不安な部分もあったが、使い始めると思った以上に問題が少なかった。当然のことながら、有線接続や無線LANの環境から移行すると、まだ「ブロードバンド」と呼べるほど通信速度は速くないので、シーンによっては不満を覚えることもある。しかし、日常の記事制作作業には支障はあまりない。

 ただ、仕事柄写真をアップロードするような作業もあるため、現状のHSDPAではつらいこともある。年明けには、アップロードの通信速度も高速なHSUPAに対応した「D21HW」の導入したいと思っている。

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