新しい情報が、いつも手帳の中に――ウィルコムが4月15日に発表した「WILLCOM NS(WS026T)」は、インターネット閲覧に特化した端末として登場した。
ウィルコムブランド&プロダクト企画部部長の石川俊司氏は、WILLCOM NSの開発にあたり「人が持ち歩くものという視点で考えた」と説明。同氏は「ケータイとPHSは持ち歩くものとしてはナンバーワンのデバイスだと考える」一方で、自身が電卓や手帳、筆記用具などを持ち歩いていることを例に、「1つの用途に特化したものは個別に持ち歩くことが多い」との見解を示した。
そこで石川氏は、開発の最初のステップとして「情報を持ち歩くための道具」に必要な要素を書き並べ、ケータイやPHSで十分なものを削り、それ以外の要素を抽出した。その作業を重ねるうちに、「ネットワークを文房具のように持ち歩く」というコンセプトが固まっていったという。
「厳選したデジタルの機能と、既存の文房具にあるアナログのよさをマッチングさせた」と石川氏はWILLCOM NSの狙いを説明する。
東芝モバイルコミュニケーションズ社統括技師長の湯嶋彰氏は、「モバイルインターネットのニーズが高まっていること」をWILLCOM NS開発の背景に挙げた。これを踏まえ、「PCには長時間使いたい、どこでも持ち運びたいというニーズ、ケータイには外出先でPCと同じようにインターネットを活用したいというニーズがある」と分析。これらのニーズを満たすデバイスとして、新しいカテゴリーの「MID(Mobile Internet Device)」に着目し、「大画面・高精細液晶(ワイドVGA表示対応の4.1インチ液晶)」「大容量バッテリー(1530mAh)」「持ち運べるサイズ(厚さ11ミリ)」という3つの性能の実現に注力した。
さらに、いつでも気軽にインターネットが使える端末にすべく、「素早い起動(サスペンド&レジューム、画面メモ)」「欲しい情報の自動更新(オートパイロット、RSS)」「定額・低廉な料金」という要素も盛り込んだ。「WILLCOM NSのキーワードは“情報”。欲しい情報をいつでもすぐに引き出せる」(湯嶋氏)
また湯嶋氏は、「携帯端末の需要が下がっている中でも、インターネットに特化した端末の需要は上がっている。文具業界でも手帳の売上は下がっているが、高価なシステム手帳は逆に伸びている。WILLCOM NSはデジタルとアナログの融合を目指した」と期待を込めるとともに、WILLCOM NSが新機軸の商品であることをアピールした。
なお、ウィルコムはNTTドコモのFOMAネットワークを利用した法人向けのデータ通信サービス「WILLCOM CORE 3G」を3月9日から開始したほか、今秋からは次世代PHS(XGP)の試験サービスも始めるが、WILLCOM NSが利用するのは現行PHSのネットワークと無線LANのみ。これについて石川氏は「端末の用途やバッテリーの大きさなどを総合的に判断して、PHS網を利用する端末として商品化した。3Gネットワークには対応しない」と説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.