KDDIは11月30日、米Apple製タブレット「iPad mini」「iPad Retina ディスプレイモデル(第4世代)」のWi-Fi+Cellularモデルを発売した。
2機種ともWi-Fi専用モデルはAppleが11月2日から販売を開始。30日に発売されたWi-Fi+Cellularモデルはさらに3Gと4G(LTE)の通信が利用でき、国内ではKDDIとソフトバンクモバイルが取り扱う。
30日朝に東京・渋谷の「KDDIデザイニングスタジオ」で行われたカウントダウンセレモニーには、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏が出席。iPad miniと第4世代iPadは同社が初めて販売する3G/4G対応のタブレットでもあり、auモデルの優位性をアピールした。
「家ではPC、外ではスマホを使っていたが、それぞれでできることが違い、シームレスなネット利用は難しかった。特にWi-Fiだけのタブレットは、家と外でやることが分断されてた」という田中氏は、少し前からiPad miniを使用。PCとスマホのやりたいことが1台のiPad miniでできるようになり、「ようやく(利用シーン)がつながった。これならうまくやれる、バッチリだ」と自信を見せた。
また3G/4G対応のタブレットを快適に使うには「利用シーンだけでなく、家と学校の間でエリアもつながっていないとイヤですよね」と述べ、auとしてLTEの地下鉄エリア対策をこの日に合わせて強化したことを明かした。
「関東においては、12月末に99%の駅をLTEでカバーする。もう1つは、2013年3月末までに駅間のトンネルも、9割はLTEのエリアとしてカバーできる。これならばシームレスに家と会社・学校がつながり、真の意味で“ネットワークが付いたタブレット”の力が発揮できる」(田中氏)
タブレットを利用する生活導線に沿ってKDDIのインフラを強化する一方、サービスや機能面でも独自性を打ち出した。その1つが、auのキャリアメールに対応した点。ケータイやスマホと同じように「〜@ezweb.ne.jp」のアカウントを持つことができ、もちろんプッシュメールも行えるほか、すでに持っているauのケータイやスマホのキャリアメールをauのiPadから利用するマルチデバイスにも対応した。
「iPhoneとiPadなら、両方の(キャリア)メールが同期させることができる。同じメールをiPhoneとiPadで受け取ったから、途中まではiPhoneで、その後はiPadでと連続して利用できる。シングルアカウント・マルチユースをこれで実現できる」(田中氏)
イベントにはタレントの重盛さと美さんも登場し、田中氏と一緒に午前8時の販売開始をカウントダウン。iPad mini/第4世代iPadの発売に華を添えた。
iPadユーザーだという重盛さんはiPad miniを手にすると、「iPadはちょっとおっきいなぁとか、重いなぁとか思ってましたので、iPad miniはちょうど欲しいと思っていた大きさです」とコメント。さらに、au版iPadがキャリアメールに対応し、スマホやケータイと同期するなどのメリットを田中氏から説明されると「すごい、えらい」と歓声を上げていた。
またLTE対応で通信速度が向上したことにも触れ、「サクサク使えるので、今まで2日に1度だったブログの更新が1日1回になると思います」と話すと、すかさず「ほんとに? じゃあ、今日のことアップしてね」と田中氏がリクエスト。さらに重盛さんが「これ(iPad mini)くれたらちゃんと書きます」とおねだりすると、「完璧。あげます」(田中氏)と、1台進呈される一幕もあった。
イベント後に報道陣の取材に応じた田中氏は、「日本のタブレット市場はすごい小さく浸透率も低い。私も家でiPadのWi-Fiモデルを使っているが、外に持ち出すのは大変だと感じている。今後7インチクラスでネットワーク付きなら、外で持ち出すシーンが増えるだろう。それに合わせて、地下鉄のLTEインフラを強化するなど生活導線に合わせたエリア対策を行っている。今後はタブレットを外に持ち出してのシングルアカウント・マルチユースが進むだろう。(iPad全体では)2割がネットワーク付き、8割がWi-Fiモデルと聞いているが、今後逆転すると思う」とコメントした。
またソフトバンクモバイルもiPad miniと第4世代iPadを販売することについては、「地下鉄のLTE対応もそうだが、auとしてはマルチネットワークも訴求している。iOS向けのスマートパスも充実させ、タブレットで利用できるゲームやコンテンツも増える予定。またちょっと遅れているが、来年の早い段階にはiOS向けのビデオパスもお届けできるだろう。現在はタブレットの市場そのものが立ち上がっていないと思うので、まずは使い方を訴求したい。あえて他社は見ない」と説明。発売時点でau版iPadを取り扱う店舗が少ないことには、「最初はなかなか配備ができなかった。これからどんどん広げていきたい」と述べるにとどめた。
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