ドイツテレコムのブース内に出展したNokiaは、「街」をモチーフとしたジオラマを用いた、一風変わった展示で来場者の注目を集めた。ジオラマでは「Nokia Storeでのショッピング」「ベンチに寝転がってのワイヤレス充電」「NFCスピーカーによるライブステージ」といったシーンが表現されていた。
他メーカーは、テーブルに設置した什器にスマートフォンを並べるというシンプルな展示だったのに対し、NokiaはLumiaシリーズがもたらす世界観を分かりやすく表現したという印象を受ける。なにより、見ていて楽しい展示となっているのは明らかだ。
CeBITにおけるHuaweiブースは、スマートフォンやタブレット端末を全面に押し出したMWCとは大きく様変わりし、通信事業者やエンタープライズ向けの展示が大部分を占めた。もちろん最新のスマートフォンはブースの片隅に展示されていたものの、ここではHuaweiがドイツ国内で使用している製品カタログに注目したい。
この製品カタログでは、2013 International CES(以下CES)で発表した「Ascend D2」やMWCで発表した「Ascend P2」といったハイエンドAndroid機ではなく、ローエンド寄りのWindows Phone 8端末「Ascend W1」が起用されている。その理由についてブース担当者は「ドイツ国内でWindows Phone 8を積極的に展開していくため」と語った。Ascend W1は4月中にもドイツで発売される見込みとのことだ。
CESの取材では、Ascend W1に続く、よりハイエンド寄りのWindows Phone 8端末の投入も期待できる情報を得られた。残念ながらMWCおよびCeBITで新端末の発表はなかったものの、ブース担当者は「Windowsタブレットの開発も進めている」と明かした。Windows 8かWindows RTかといったOSの種類や、具体的な投入時期については明言されなかったが、Android機ではフルHDの「MediaPad 10 FHD」や低価格の「MediaPad 10 Link」が存在しており、これらのWindows版という可能性もある。
ミュンヘンを拠点とするドイツの出版社「Medialinx AG」は、Windows Phoneユーザーを対象とした専門誌『Windows Phone User』を発行している。CeBIT用に作られた特別な雑誌ではなく、一般の書店で販売される月刊誌となっている。価格は5.9ユーロ(ドイツ国内)で、ドイツ・オーストリア・スイスなどヨーロッパ主要国で販売されている。
対象読者はWindows Phoneの初心者からパワーユーザーまで幅広く、端末の紹介、アプリやゲームのレビュー、Tipsといった記事で構成されている。Windows Phone 8向けに提供された小規模なOSアップデートに関する記事もあり、かなり細かい話題まで扱っているという印象だ。Windows 8の話題も一部含んでいるものの、基本的にはWindows Phoneが中心となっている。誌面のデザインも、Windows PhoneやWindows 8で採用されるModern UIをモチーフにしているのも興味深い点だ。
Windows Phone User誌は、紙の雑誌とPDF形式の両方の形態で販売されている。とはいえ、ある程度の販売部数を見込めなければ、紙で印刷することは不可能だろう。これはドイツ語圏におけるWindows Phoneユーザーが、一定数に到達した証拠と考えてよいのではないだろうか。
このことから、Windows Phoneのエコシステムが拡大するにつれて、さまざまなビジネスが立ち上がり、それがさらに好循環を生み出していくことが分かる。ドイツでもWindows Phoneが長く低迷した時期はあるが、それでも粘り強く販売を続けたからこそ、専門誌の発行が可能になるほどの市場規模に成長したといえる。
一方日本では、Windows Phone 7.5の後が続かず、一度はWindows Phoneを手にしたユーザーが続々と他OSに乗り換えることで減少傾向にあるという。たしかにドイツと日本ではキャリアの事業環境などが異なるため、一概に同じ方法が通用するわけではない。しかしエコシステムを育てるには、まず継続することが重要といえるのではないだろうか。
Windows Phoneに関するニュースやアプリ、開発者向け情報を扱うブログ「ななふぉ」(http://nanapho.jp/)管理人。Tipsやハックに加え、Marketplaceの分析や海外取材も好評を得ている。Twitterは@tezawaly。ななふぉのFacebookページ(https://www.facebook.com/nanapho.jp)も公開中。趣味は自転車旅行。
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