先を見据えた企業理念とトップの理想を──通信事業者トップが新入社員へメッセージ理念なくして成長なし

» 2013年04月01日 18時04分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク4社(ソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB、イー・アクセス)は、4月1日に、それぞれの新入社員に対して、代表取締役社長、または、グループ代表がメッセージを送った。2013年度春の新入社員は、ドコモが411名、KDDIが251名、ソフトバンクが974名、イー・アクセスが51名となった。2011年、2012年の新入社員に対する各企業トップのメッセージは、東日本大震災による影響とその対策にウエイトを置いた内容が多かったが、2013年度のメッセージでは、企業理念やトップの理想を訴える内容が目立っている。

クラウド連携でスピーディーなサービス提供を──NTTドコモ 加藤氏

NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏

 NTTドコモ 代表取締役社長の加藤薫氏は、スマートフォンの急速な普及、Google、Amazon、Facebook、LINEなどによるグローバル規模の競争激化という移動体通信事業を取り巻く変化を述べた上で、「ドコモグループは使命と夢の会社」という就任以来繰り返し伝えている言葉の意味を新入社員に説明した。

 加藤氏は、ドコモの使命とは、通信・コミュニケーションを確保する社会的使命と定義づけ、スマートフォンの利用が拡大するユーザーのニーズと、東日本大震災でその重要性を再認識した「安心安全の確保」のために、大ゾーン基地局の設置や基地局の無停電化、バッテリー駆動24時間化といった災害対策を1年間で完了したことを挙げ、現在も重要施設の分散化やグリーン基地局などの災害対策を進めていることを紹介した。

 また、ドコモが2020年の企業ビジョンとして掲げた「スマートイノベーションへの挑戦−HEART−」の説明では、中期ビジョン2015で設定した「モバイルを核とする総合サービス企業への進化」を実現する取り組みとして、スマートフォンと「ドコモクラウド」の連携による新サービスのスピーディーな提供、そして、スマートフォンとユーザーの生活領域との融合推進を挙げている。特に、重点分野として健康サービスを取り上げ、日常生活から取得するヘルスケアデータを蓄積し、食事、運動、睡眠、そして、保険や医療に関するアドバイスをユーザーに提供するという機能を説明した。

 加藤氏は、自らの経営キーワードである「スピード&チャレンジ」も新入社員に示し、変化の激しいモバイルの世界でスピード感を持って熱い心で新しいことに挑戦し、ユーザーに魅力的で使いやすい端末やサービスの提供を求めている。また、ユーザーの満足度を向上するために、一人一人がユーザーのために何かをしたいという思いを形にすることが必要であることも紹介した。

 さらに、社会人としての心構えとして、何かを成し遂げるためには上司や同僚と力を合わせることが重要で、たとえ、自分の希望に合わない場合でも精一杯チャレンジすること、そして、チャレンジの源となる好奇心を持ち続けることを訴えた。

ユーザーに期待以上の感動を──KDDI 田中氏

KDDI代表取締役社長の田中孝司氏

 KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、2013年の新入社員挨拶の冒頭で「成長を確固たるものにする」という2013年度の会社方針を掲げ、営業利益が2ケタ成長していくスタートの年にするため、全社員が一致団結していくことを求めた上で、同社が新たに定めた企業理念と思想(フィロソフィー)を紹介し、その意味を文節ごとに解説することで、KDDIの社員として求められる行動を説明した。

 KDDIの理念は「KDDIグループは全従業員の物心両面の幸せを追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」だが、田中氏は、ほかの企業理念が、ユーザーに関する目標を冒頭に置くのに対して、KDDIでは社員の幸せを最初に示していることについて、全従業員が経済的精神的に幸せになることで、全身全霊で仕事に打ちこむことができ、ユーザーの期待に応えることができると説明している。その上で、ユーザーが期待する以上に感動を実現することでユーザーに愛される会社となり、テレコミュニケーション事業を通じて社会の進歩と発展に貢献していくという、理念の具体的な意味を紹介した。

 また、田中氏はKDDIの数あるフィロソフィーから、特に「高い志を抱き、具体的な目標を立てる。絶対に達成するという強烈な願望を持ち、成功するまであきらめずにやりぬく。そして、達成した喜びを分かち合う」という一節を新入社員に示し、物事を始める上で、高い志と具体的は目標の設定の重要性を説き、あきらめなければ必ず達成すること、そして会社という組織で仕事をすすめるチームのみんなで成果と達成した喜びを分かち合うことの大事さを訴えた。

情報革命を起こす熱い情熱を──ソフトバンク 孫氏

ソフトバンク代表の孫正義氏

 ソフトバンク代表の孫正義氏は、新入社員に「(君たちは)成長のエンジンであり、活力の源」と呼びかけ、現代で進みつつある「情報革命」において、情報産業が頭脳、知恵、知識の源泉となり、あらゆる産業を進化させる、人々のライフスタイルの中心になる時代が来ると述べた。

 孫氏は、パッケージソフトの流通から始まったソフトバンクの事業において、当時から「マイクロコンピュータはパソコンだけでなくあらゆる電化製品につながり、通信により、世界中の人々が一瞬で知恵を共有し合える時代がくる」と考えていたことを紹介し、ビジネスで重要なのは、中長期のビジョンをしっかり持ち、いずれ、その分野の日本一、世界一の企業集団になるという思いを持ち続けることと語った。

 孫氏は、下積み時代の経験を生かすこととあらゆる物事を前向きに捉えることが成功への大きな鍵になると語り、何もないところから始まったソフトバンクが、今では、約960社のグループ企業がアメリカ、中国、インド、シンガポールなど世界中に存在していることを紹介し、競合他社に負けない「情報革命を起こすという」という情熱によって、困難や試練があっても成長を続けられると主張した。

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