インタビュー
» 2013年12月27日 10時00分 公開

「“買い切り型”の新市場を作り出す」――キーマンが語る「ドラクエ」のスマホ展開(後編)スマホアプリの最前線(2/3 ページ)

[村上万純,ITmedia]

「全タイトルリメイク」は前から考えていた

―― そもそも、スマホ向けアプリを提供することになったのはなぜですか。

三宅氏 みなさんにお手軽にドラクエというゲームに触れてもらえる時期が来たからです。実はスマホゲームなんて存在しなかった時代に、iPodでもゲームが動くんじゃないかと試行錯誤したときがありました。

藤本氏 今のプロジェクトは、3年くらい前から動き出しました。

三宅氏 最初に着手したのは「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」(以下、ドラクエVIII)のスマホ版です。3Dのゲームが動くほど、スマホの性能が進化したのが大きかったですね。

―― 最初から全タイトルをリメイクする予定だったんですか。

三宅氏 家庭用ゲーム機でも1つのハードで全タイトルをラインアップしたいとずっと思っていたんですが、数年で次世代機が登場しますからいつも間に合わなかったんです。でも、スマホだとある程度プラットフォームのフォーマットが決まっているのでそれが実現できそうだと考えました。とはいえ、スマホ市場は入れ替わりも早いので、なるべく短期間で全部配信したい気持ちもありましたね。

スマホ市場で重要なのは「情報の窓口」

―― ポータルアプリがある理由は何ですか。

photo 「ドラゴンクエスト ポータルアプリ」

三宅氏 これは売り方の問題で、ゲームを買い切り型のパッケージで提供する際に、普通に出しても市場的に厳しく、みなさんにもあまり注目してもらえないだろうと。今回のリメイクではモバイルチームとドラクエチームが合体していて、議論しながらポータルアプリという形がいいんじゃないかという話になりました。

 スマホユーザーは能動的に行動するんですけど、結構、限られた情報だけを見てるんです。そんな中で、今後何かやるにしても、こうして取材してもらうこともないでしょうし、我々からみなさんに直接情報をお伝えできるメディアとしてポータルアプリを用意したんです。

藤本氏 スマホ市場では、ユーザーに的確に情報を伝えるための「情報の窓口」が何より重要だと考えました。スマホだと、アプリやWebサイトのトップ画面しか見ないという人も多いでしょうし。

―― ポータルアプリはあっという間に何百万人ものユーザーを抱える巨大プラットフォームとなりましたが、ゲーム以外のコンテンツの展開は考えていますか。

photo 三宅氏は「堀井さんは、ユーザーがつまづきそうな石を拾うのがとてもうまいんです」と話す

三宅氏 いろいろ考えてますが、ファン向けのコアアイテムのようなものは売りづらいかなと。ユーザーさんの声を聞きながら、いろいろとチャレンジしていきたいです。映像コンテンツもやりたいねという話は出るんですが、なかなか難しくて。

―― スマホ向けに提供するにあたり、特に何を意識しましたか。

三宅氏 よく言われるのが、スマホユーザーは、面倒くさいとか分からないとか思った瞬間に操作をやめるということ。その点も堀井雄二さんにはさまざまなアドバイスをもらいましたが、そもそも最初にアプリをダウンロードするところから「もっと分かりやすくしよう」と言われました。

 家庭用ゲーム機だと、ハードとソフトを買って……というそれなりの心構えがあるのですが、スマホはそうじゃないですから。レビューを書いたり、不満の声を発することもない、そういう人たちをいかに離れさせないか、ということを意識しました。なので、分かりやすいということが大事です。

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