「ドラクエ」関連アプリが快進撃、スマホはゲーム市場の“主役”となるのか?佐野正弘のスマホビジネス文化論(2/2 ページ)

» 2014年01月06日 18時48分 公開
[佐野正弘,ITmedia]
前のページへ 1|2       

スマートフォンが“壁”を崩し、逆の流れを作り始める

 だがそうした“壁”も、スマートフォン向けゲームの人気が高まったことによって、低くなってきたといえる。“アプリ”の存在によって開発の自由度が高まり、本格的なゲームを提供しやすくなったことから、シンプルなゲームだけでなく、ゲーム性の高いタイトルが受け入れられるようになってきた。

 その動きを象徴しているのが、パズル&ドラゴンズの人気であろう。“合成”や“ガチャ”などモバイルソーシャルゲームの要素を踏襲しながらも、スマートフォンアプリならではのゲーム性を取り入れつつ、手軽に遊べる内容を実現。このことがモバイルのゲームプレイヤーだけでなく、コンシューマーのゲームプレイヤーにも受け入れられる要因につながったといえる。

photo ニンテンドー3DS向け「パズドラZ」のパッケージ

 同タイトルのヒットが影響してか、従来のようなゲーム性のある内容のタイトルが、モバイルでも受け入れられるようになった。それゆえ従来モバイルを苦手としていたコンシューマーゲームメーカーが技術を生かせるスマートフォン市場に積極的に参入し、高い人気を得るケースも増えてきている。「チェインクロニクル」や「ぷよぷよ!!クエスト」などでスマートフォン市場で存在感を高めているセガが、その代表的な存在と言えるだろう。

 さらに面白い動きとして上げられるのは、従来とは逆に“モバイルからコンシューマーへ”という動きが見られるようになったことだ。最近ではモバイルで高い人気と売上を上げた企業が、コンシューマーゲーム機のゲーム以上にテレビCMを打つなど、積極的なプロモーションを実施。これにより人気と注目の度合いを高めたゲームをコンシューマーゲーム機向けに横展開し、人気を獲得するケースが出てきているのだ。

photo セブンイレブンなどとのコラボレーション企画におけるゲーム画面 (C)GungHo Online Entertainment, Inc All Righits Reserved.

 その傾向を顕著に示したのが、パズル&ドラゴンズをニンテンドー3DS向けにして提供した「パズドラZ」である。2013年12月に発売された同タイトルは、パッケージ版の国内出荷数が累計100万本を突破するなど、大ヒットを記録した。無論、パズル&ドラゴンズとパズドラZは全く同じ内容という訳ではないのだが、スマートフォンから派生したタイトルがコンシューマーゲーム機でもヒットを生んだというのは、非常に大きな意味を持つ出来事だったといえるだろう。

スマートフォンが“真の主役”になるには?

 実はパズドラZ以前にも、モバイルから派生したゲームが人気を獲得するケースが、ダウンロードコンテンツでは増えつつあった。例えば「拡散性ミリオンアーサー」は、2013年4月にPlayStation Vita向けにも提供され、10万を超えるユーザーを獲得したという。またフィーチャーフォン向けのインディーズゲームとして誕生した「チャリ走」(スパイシーソフト/LIRENEO SOFT)なども、ニンテンドー3DS向けに「チャリ走DX」「チャリ走DX2 ギャラクシー」を配信し、売上ランキングの上位に入るなど高い人気を獲得している。

photo 「チャリ走」シリーズの最新作となる、ニンテンドー3DS向けの「チャリ走DX2 ギャラクシー」 (C)LIRENEOSOFT/(C)Spicysoft Corporation

 モバイルのゲームがコンシューマーゲーム機向けに横展開できるようになった背景には、やはりフィーチャーフォンからスマートフォンに移行したことで、ゲーム機に匹敵するゲームを提供できるようになったことが大きい。それだけに今後、モバイルでヒットしたゲームのユーザー層拡大を狙い、特に同じ携帯性のある携帯ゲーム機向けを中心に、横展開していく流れは強くなっていくだろう。

 もしコンシューマーゲーム機とスマートフォン、双方の主従関係が逆転するようになれば、ゲームの主役という座も変化する可能性が高い。現在のコンシューマーゲーム機の礎を築いた任天堂の「ファミリーコンピューター」も、発売当初は「ドンキーコング」などアーケードゲーム機のゲームが家庭で遊べることを売りとしており、アーケードゲームが“主”、コンシューマーゲーム機が“従”という関係にあった。だがファミリーコンピューターが家庭に広く浸透してコンシューマーゲーム機の市場が広がり、家庭用ゲーム機ならではのヒットタイトルが生まれていったことで、その後の両者の関係は大きく変化した。

 スマートフォンも当時のファミリーコンピューターと同様、すでに裾野の広いユーザー層と高い市場性を獲得しており、主役の座を獲得するための素地は整ってきたといえる。それだけに“スマートフォンで人気のタイトルをコンシューマーゲーム機に展開”という流れが強まり、それがユーザーに望まれるようになれば、スマートフォンがゲーム市場において真の主役を奪うことになるのかもしれない。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月07日 更新
  1. “Suicaが使えない”クレカ・QR専用改札機に賛否 「問題なく運用できる」「交通系ICの方がスムーズ」 (2026年08月05日)
  2. 元グループ会社が「ドコモの銀行」になった不満を吸収? SBI新生銀行が「SBIの銀行」として最大5.2万円のキャッシュバックキャンペーンを開催 (2026年08月05日)
  3. SNSで多発する「無料であげます」投稿の正体 “お涙ちょうだい”で偽サイトやLINEへ誘導するカラクリ (2026年08月06日)
  4. まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説 (2026年08月06日)
  5. Rakuten Linkに「AI通話要約機能」、楽天モバイル契約者は追加料金なしで使える (2026年08月05日)
  6. ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視 (2026年08月06日)
  7. 工事不要で14畳まで冷房可能「タンスのゲン スポットクーラー 79800020」がタイムセールで10%オフの5万3999円に (2026年08月05日)
  8. スマホの「エアコン冷却」がダメなワケ 猛暑日にやりがちな“水没”の危険性と正しい冷やし方 (2026年08月06日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【8月6日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年08月06日)
  10. 厚さ約1.2mm、“ほぼ、裸”のiPad Pro(M4/M5)向けケース「The Frost Air」発売 ケースフィニットから (2026年08月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー