キャリアアグリゲーション対応でバッテリーは大丈夫なのか――電池寿命問題にようやく本気になり始めたKDDI:石川温のスマホ業界新聞

» 2014年05月16日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 KDDIが、夏商戦スマホでキャリアアグリゲーションに対応してきた。ネットや一部コンサルタントからは「2つの周波数を束ねるキャリアアグリゲーション対応になってバッテリー消費が増えるのではないか。ドコモの150Mbps対応に比べると、バッテリー消費において見劣りがするのではないか」という指摘があった。

 確かに「2つの電波を受信する」と聞くと、真っ先にバッテリーの不安が頭をよぎる。しかし、実際に担当者に聞いてみると、それは杞憂のようだ。

 田中社長も囲みで語っていたが、昨年、韓国で開始されたキャリアアグリゲーションでは、端末のバッテリー消耗が問題になっていた。

 KDDIによれば、当時のCA端末は、WTR1605という受信専用RFチップを2個搭載して2つの周波数帯をつかんでいたため、バッテリー消耗が激しかった。

 しかし、今夏のKDDIスマホでは、小型化・電力効率化されたWTR1625に加え、受信専用のRFチップであるWFR1620を搭載することで、従来のシングルRFチップスマホと変わらないバッテリー寿命を実現しているとのことだ。

 また、スマホの通信においては、送信時にバッテリー消耗が激しくなる。従来は、送信信号の強弱に関わらず、一定の電圧をかけていたため、無駄にバッテリーを消費していた。

 しかし、夏モデルスマホでは送信信号の強弱をリアルタイムに検出し、それに応じた電圧をかけるようにしたため、送信時でも電力効率が高まっているのだという。

 また、KDDIでは、今夏モデルからユーザーの利用状況にあったかたちで、バッテリー寿命時間を計算し、表記するように改めたという。

 KDDIでは、2013年12月17日〜24日にかけて、Androidユーザー1000人に調査協力を依頼。様々な機能やアプリをどれくらいの時間、利用しているかを調査できるアプリをインストールしてもらい、ユーザーの利用状況をはじき出したという。

 調査によれば、スマートフォン1日の使用時間の目安は180分になるという。内訳で見ると、ブラウザなどに約42分、メールや電話が約30分、ゲーム、音楽、動画が約72分、その他(アラームなど)が約36分とのことだ。

 KDDIでは、この調査結果をベースに、今夏モデルとなるスマホ6機種を計測したが、全機種で3日間以上の実使用時間を達成することができたという。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年5月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


 ちなみに、NTTドコモでも、かなり前から「3日間以上」というフレーズをアピールしているが、実は、NTTドコモの調査基準はKDDIとは異なる。NTTドコモでは1日の使用時間の目安を約80分と設定(内訳はブラウザなどが40分、メールや電話が20分、ゲーム、動画、音楽が約15分、その他・アラームなどが約5分)しており、KDDIよりもかなり「甘い基準」とされているのだ。

 しかし、この「基準が甘い」というのは、NTTドコモが数値を発表した当初から、実はソフトバンク関係者がしきりに指摘していた。

 今回、KDDIがスマホのユーザー利用実態調査をしてバッテリーの利用時間を測定したとアピールしているが、こうした取り組みにおいては、ソフトバンクのほうが、遙かに先に実施していたのだった。

 基準が甘ければ、それだけ長時間、利用できるというスペックを公表できるわけで、この手のデータを使うと言うことは、それだけ「正直者は馬鹿を見る」ことになる。

 そこで、まじめにやっていたソフトバンクは、NTTドコモのデータを見て、怒り狂ったのだった。

 実は、正直者だったソフトバンクに、ちょっとずるいデータを使っていたNTTドコモ、正直者だが取り組みのが遅すぎた感のあるKDDIという3社の違いが見て取れるのだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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