KDDIは4月30日、2014年3月期決算を発表した。連結業績は営業収益が前期比18%増、営業利益が同29%増の増収増益を果たした。同社の田中孝司社長は、「2014年3月期〜2016年3月期は、基盤事業や3M戦略に基づき、本格的な利益拡大を図る」という方針を示し、2015年3月期も同様に連結利益で2桁成長を目指すと語った。
モバイルでのARPU(端末1台当たりの利益)は第4四半期で上昇し、純増数も281万を達成した。スマートフォンの割合は49%に達し、その中でLTEが占める割合も35%と拡大を続けている。auスマートバリューの浸透率も22%にまで成長した。
また、今期からARPUの算出方法を変更し、データ通信端末などを除くフィーチャーフォンとスマートフォンの2要素のみを盛り込む方針を示した。田中氏は成長の鍵となるファクターとして「ARPUとID(ユーザー数)」の2要素を挙げたが、「IDの実態を図る指標としてフィーチャーフォンとスマートフォンが該当する」と変更の背景を説明している。
auは2014年3月14時点で、「au 4G LTE」エリアである800MHzのプラチナバンドで実人口カバー率99%を国内で達成したが、「今後もLTEエリアをさらに拡大し、エリアのキャパシティを上げていく」と田中氏は意気込む。さらに、「3Gは終えんに近づいてきているという認識なので、LTEを維持できないエリアをいかに減らすかのプライオリティを高めたい」と説明した。
また、移動通信だけでなく固定通信も展開するKDDIは、フィーチャーフォンやスマートフォンだけでなく、タブレットなども含めた「マルチデバイス化」を促進するほか、通信料以外の付加価値サービス収入を増やしていく。「個人が複数の端末を持てるように、魅力的なデバイスとマルチデバイスの利用ケースの両方を訴求していきたい。これからは価格訴求ではなく、価値訴求で戦う」と田中氏は話す。
サービスや通信面では、2014年夏から導入する電子マネーカード事業「au WALLET」や、LTE-Advanced技術の1つである「キャリアアグリゲーション」を使った下り最大150Mbpsのサービスについて触れたが、「詳細は5月8日の夏モデル発表会で改めて」(田中氏)と明言を避けた。
質疑応答でドコモの音声定額プランについて尋ねられたところ、田中氏は「あまり過激なことは言えないですが、そんなにびっくりしたわけではない」と語り、「ユーザーは実際にどう思っているのか、我々は様子を見たいというのが本音」と話した。
MNPのキャッシュバックが減額されたことによるスマートフォン販売への影響について問われると、「4月は確かにスマートフォンの販売が多少落ち込むが、キャッシュバックの影響でキャリア3社の競争環境が変わったとまでは思わない。年間販売台数で見ると前年比でそこまで変わらないのではないか」(田中氏)と説明した。
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