総務省は7月11日、「電波政策ビジョン懇談会」を開催。5月30日に出した中間とりまとめ案に対しての意見募集の結果を紹介し、それに対しての総務省の考え方を示した。
特に注目すべきは周波数割り当てに対するグループ性の扱いだ。中間とりまとめ案では「グループ性については議決権だけでなく、資本関係や意思決定、取引関係においても、考慮し判断するのが適当」とした。
これにより、ソフトバンクモバイルとワイモバイル、Wireless City Planning、さらにKDDIとUQコミュニケーションズはグループとして見なされることとなる。
これによって、すぐに影響が出てくるのが、年内にも実施される予定の3.5GHz帯の割り当てだ。当然、ワイモバイルとしても割り当て申請をしたいとエリック・ガン社長(当時、イー・アクセス社長)が主張していたが、今回の決定により、それは難しくなる(ソフトバンクが申請しなければ別だが)。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年7月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
このままいくと、120MHz幅ある3.5GHz帯は、3キャリアに40MHz幅ずつ割り当てられる流れになりそうだ。
ワイモバイルは自社では3.5GHz帯でのサービスは提供できず、ソフトバンクにMVNOするかたちになるだろう(それでも、すでに両社はネットワークを融通し合っており、何ら影響はないだろうが)。
ただ、これからワイモバイルは、ソフトバンクグループとして見なされるとなると、ソフトバンクにとってワイモバイルブランドを維持し続ける意味があるのか、というのが疑問となってくる。
まもなく、ワイモバイルとして、サービスや料金、端末が発表されるようだが、どこまで消費者に魅力的なブランドとして訴求できるのだろうか。
仮にY!Mobileとして、メールサービスやストレージサービスを提供したとしても、すでにAndroidユーザーにはGmailやグーグルが提供するサービスを使える状況にある。
特にメールサービスは、Yahoo!のメールがあまりに迷惑メールが多く、使い物にならなかったこともあり、ほとんどの人がGmailに乗り移った経緯もある。そんな状況で、またYahoo!のメールを使い始めるとは思えない。
正直言って、Yahoo!のサービスを積極的に使いたいと思うユーザーがどれだけいるか、よくわからない。Yahoo!ブランドは、そこまでユーザーに愛されているのだろうか。
イー・アクセスとウィルコムが合併し、ワイモバイルになり、Yahoo!色が全面に出ることで、離れていくプレイヤー、あるいは一緒に商売をしにくいと思う企業も出てくるだろう。
グーグルはその典型であろうし、過去にはOSを手がけ、自社ブランドタブレットを手がける世界的な企業が、イー・アクセス網でLTE対応タブレットを出そうとしたが、話が頓挫したということもあったようだ。
「イー・アクセスが手がけるLTEネットワーク品質を見て、提供を辞めた」という話もあれば「Yahoo!による合併話が持ち上がり、ゴタゴタがあって提供を辞めた」という話もある。
仮に日本でWindowsPhoneが再び発売となるという話が持ち上がったとしても、提供キャリアがワイモバイルになる、と言う可能性は低いだろう。
いずれにせよ、Yahoo!としても、ワイモバイルと組むことで、もはやNTTドコモやKDDIと距離を置かざるを得なくなるし、一方で、これまでイー・アクセスやウィルコムなら組めていたパートナーも、Yahoo!ブランドになることで、離れていく企業も出てくるということだ。
Yahoo!ブランドになることで、どこまでユーザーを引きつけられることができるのか。とても興味深いと言える。
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