KDDI向け「HTC J Butterfly」で再起を狙う台湾HTC━━MediaTek製チップセットでSIMフリー市場への再参入はあるか:石川温のスマホ業界新聞

» 2014年09月05日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 8月19日、HTC NIPPONはHTC J Butterflyの発売イベントを開催した。イベント終了後、HTC North Asiaのジャック・トン社長、HTC NIPPONの村井良二社長の囲みが行われた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年8月30日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


━━ 前機種発売から1年が経過するが、その間に何があったのか。

トン社長 商戦期ごとにKDDIと商品を出してきたが、この間、HTC J Oneというグローバルモデルを出して、日本の消費者に試してもらっていた。日本のマーケットのリアクションを見ていまして、今後とも続けてHTC J Butterflyを出していき、日本の消費者にお届けしなくてはいけないという考えになった。そこで、ここで新たにHTC J Butterflyを投入することになった。

村井社長 補足をさせていただきたいと思いますが、確かにHTC J Oneは発売時には我々は期待していた、グローバルヒーローであった。

 しかし、日本のお客様にはあのメタルの質感だとか、日本の機能である防水がないとか、メガピクセルでいうと、ウルトラピクセルというどちらかというとカメラのやり方を変えた。グローバルで今それは続けているが、説明機能になってしまった。残念ながら時間がかかって、なかなかお客様からのレスポンスが獲れなかった。

 それ以降、KDDIさんと話し合いは続け、双方が納得するかたちで商品化するタイミングはあった。

 ただ、両社がこれだったらイケるねというところまでは至らなかった。何度かその間にモデルを出すという意向はお互いに強かった。

 しかし、デザイン、スペックなどでディテールに我々自身もKDDIもこだわるメーカーであり、キャリアである。

 そこで、きちんともう一度、HTC J Butterflyを全くリニューアルして、商品化しようというのに予想以上に(時間がかかった)。我々はもうちょっと早く出したかった。

 我々としては全然、後悔はしていない。この時間はお互い、ラーニングの時間であった。今回、改めて強いモデルを出すことができたと思っている。

(★ まぁ、HTC J Oneは日本ではイマイチだったということですね。特にカメラは画素数で勝負しなかったこともあり、見劣りしたという点が敗因だったかも)

━━ そうなると、グローバルモデルをそのままに近い形で日本市場に出すと言うことはもうやらないのか。

トン社長 KDDIと共に提供している商品が、ベストインクラスの商品だと思っている。デザイン、スペック、イノベーション、テクノロジーにおいても本当にベストだと思うし、日本機能を盛り込んだ形で導入すべきだと考えている。

 市場の反応を見てみると、HTC J Butterflyは販売が上手くいき、2013年度には台湾でもフラグシップモデルとして、ナンバーワンの製品となっていた。

村井社長 将来のことはわからないというのが正直なところ。日本のマーケットも次第に変わってきている。その時に、セグメントにおいてはむしろフルフル(の機能)よりも、どこかに特化した製品が出てくることも、ケータイの進化ではありえる。

 すぐ近い将来にはないと思いますけど、手頃な価格のモデルのセグメントが大きくなれば、将来的にはグローバルの資産を生かして、チャンスを見いだす可能性があると思う。

 ただ、いまはその時期ではないのかな。変わりつつあると思いますが、日本のマーケットも。

(★ KDDI向け商品はしばらくハイスペックモデル路線は変わらなそう。それ以外のルート(MVNOやSIMフリー)であれば、グローバルモデルを持ってくるというのはあり得るが)

━━ SIMロックフリー端末を出したいというリクエストが日本から台湾側にあがっていたりしないのか。

トン社長 グローバルのスマートフォンにおけるトレンドはダイナミックに変化している。日本のマーケットはグローバルのマーケットのなかでも、若干、異なるトレンドを示している部分がある。

 HTCは常にスマートフォンのテクノロジーにおけるトレンドを作ってきている側だと思う。将来的に、日本においても、イノベーション、テクノロジー、ベストなパフォーマンス、プレミアムなデザインの製品を提供しつづけると同時に、もっと廉価なものもサプライヤーから入ってくる。

 現時点ではSIMフリーも含めて、今後、どういったトレンドになるか、コンシューマーも含めて、私たちもそのような流れを観察している最中である。

(★ HTCは、まだMVNOがさほど盛り上がっていないタイミングでSIMフリーモデルを投入して痛い目を見たメーカーだからな。先走り過ぎていた感は否めない)

━━ MWCでMediaTekを採用した製品も発表したが、あれは低価格帯のラインナップを強化するという狙いでいいのか。あの商品群を日本に持ってくる可能性はあるか。

トン社長 現在、日本のマーケットはSIMロックでプレミアムな商品に焦点が当たっていると思う。将来的に日本のキャリアにおいても、ミドルレンジの商品に対する需要が出てくるかも知れない。消費者側からミドルレンジの商品へのニーズが出てくれば、我々としては準備が整っている。

━━ 御社のラインナップでMediaTekを積んだ商品は増えていくのか。

トン社長 テクノロジーのパートナーにはMediaTekとかクアルコムとかあるが、彼らはフルレンジのチップセットを提供している。このフルの部分で競争力のある価格帯が出てくれば、私たちも提供しなくてはいけないと思っている。

 もっともコスト競争力を提供してくれるものなのか、特にミッドからローにかけてのレンジで使うにはどの技術がいいのか、適切に評価していく必要がある。

(★ HTCはクアルコムとも友好な関係を築いていることもあり、MediaTekとの関係性をどう持って行くのか気になるところ。でも、価格で中国メーカーに対抗するのは難しそうな感じ)

取材を終えて

 いまの格安スマホ市場では単に安いというだけで、聞いたことのない中国メーカー製がもてはやされているが、やはり品質面を考えると、グローバル規模で流通し、しかも日本のキャリアともつきあいのある韓国や台湾メーカーあたりの製品が無難だと思われる。ここで、HTCがSIMフリースマホを持ってくると、結構、面白いポジションになれるような気がするのだが。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年10月10日 更新
  1. 資産3000万円以上が対象 MUFG「エムット」最上位サービスと“年会費無料”アメックス・プラチナの魅力とは (2026年10月08日)
  2. 「iPhone 18 Pro Max」を試して分かった進化と課題 想像以上に“使えた”可変絞り搭載カメラ (2026年10月09日)
  3. ダイソーで1100円のノイキャンイヤフォン「TWS009」を試す 騒音カットの効果は実感も電池持ちに課題か (2026年10月09日)
  4. 楽天モバイルの「ローミング継続」条件は本当に「エリア外」だけ? 2社のマップから見えた“食い違い” (2026年10月08日)
  5. ソニーが小型マイク「ECM-AX10」発表 スマホに挿して立体的で臨場感のある音の収録を (2026年10月09日)
  6. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  7. 10月1日から楽天モバイルの「au 4G LTEエリアローミング」が縮小も意外と残っている件 (2026年10月10日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. 富裕層向けカードの潮流が変化 アメックス、三井住友、ダイナース、ラグジュアリーカードが狙う“特別な体験価値”とは? (2026年09月22日)
  10. 楽天グループ、1億件超の会員情報流出説を否定 「情報漏えいが発生したという事実は確認されておりません」 (2026年10月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー