昨今、スマートフォンと連携する腕時計型の活動量計などが話題ですが、やはり大人として「腕時計」で個性を表現するなら、魅力的なデザインの時計を付けたいもの。その点、活動量計はまだデザイン面で改善の余地があるように感じます。
また、Android WearやApple Watchのように、スマートフォンの持つ機能の一部を腕時計型デバイスで実現しようという動きもあるものの、こちらもまだどこまで実用的かは未知数です。特にスマートウォッチと呼ばれる製品は、バッテリーの持ちがあまり良くないので、基本的に毎日充電する必要があるのもネックです。
このような、ちょっと未来を先取りしたような機能よりも、もうちょっと現実的に分かりやすく時計としての完成度の高さと、スマートフォン連携機能の便利さを追求したバランスのいい製品が、カシオ計算機のEDIFICE EQB-500です。
EDIFICE EQB-500のスマホ連携機能は、竜頭(りゅうず)やボタンの操作ではやりにくい時刻の調整、ワールドタイムの調整、アラームの設定などができる、ちょっと気の利いた便利さが特徴です。またスマートフォン側の新着メールの有無を確認したり、見当たらなくなったスマートフォンから音を出して探せたりする機能もあります。もちろん、ソーラー充電システムを備え、普通に使っていれば意識して充電する必要がない快適さも、イマドキの腕時計としてしっかり押さえています。
EDIFICE EQB-500の特徴の1つは、9時側のインダイヤルに12時間制のワールドタイムクロックを備える点です。中央のホームタイムと異なる時間をセットすることで、現在地とは別の場所の時間が一目で確認できます。例えば海外旅行や海外出張の際に、現地の時間をセットしておけば、日本と連絡を取る際などに便利です。ちなみにホームタイムとワールドタイムはEDIFICE EQB-500の右上のボタンを長押しするだけで入れ替えられるので、渡航中は日本時間と現地時間を入れ替えることも容易です。
ディスプレイのない腕時計の場合、ワールドタイムの設定を本体だけでやろうと思うと操作が煩雑になりがちですが、「CASIO WATCH+」というスマートフォンアプリを使うことで、簡単に設定ができるのが大きなポイントです。アプリはiOSとAndroidに対応したものがそれぞれ用意されているので、App StoreやGoogle Playからダウンロードすればすぐに使えます。
対応スマートフォンはiOS 7以上を搭載したiPhone 4S、iPhone 5、iPhone 5s、iPhone 5cと、Android 4.3以上を搭載し、Bluetooth SMARTに対応した製品のうち、カシオ計算機が動作確認をして公開している機種。iOS 8とiPhone 6、iPhone 6 Plusには対応予定となっています。
CASIO WATCH+で利用できる機能は大きくは7つあります。
このうち、ワールドタイムの設定機能を使うことで、都市を選ぶだけでワールドタイムの変更ができます。サマータイムも自動的に判断してくれるので、悩む必要はありません。
自動的に時刻を補正してくれる機能もあります。CASIO WATCH+接続時に、スマートフォン側の時間と時計の時間がずれていた場合は、自動的にスマートフォン側の時間に同期します。例えば海外に行ったときに、スマートフォンの時刻が自動的に現地時間に補正されたら、EDIFICE EQB-500を接続したときすぐに同じ時間になります。
またEDIFICE EQB-500は電波時計ではありませんが、毎日決まった時間に、スマートフォン側で基地局などから得られる正確な時間と同期してくれるので、気付いたら遅れていた、といった心配がないのも安心です。アナログ時計ではありがちな、月またぎの日付処理が不要なフルオートカレンダーを搭載する点も地味に気が利いていて、9月30日の翌日には31日ではなくちゃんと1日になります。アラームの設定も、アプリ側から時間を指定して送信するだけなので楽です。
ストップウォッチ機能は、スマホと連携できるからこそ可能なログの作成機能が役立ちそうです。EDIFICE EQB-500のストップウォッチは、ラップタイムを1000分の1秒単位で記録できます(腕時計本体で確認できるのは1秒単位)。モータースポーツ観戦時には、コースの距離を設定してラップタイムを記録していけば、1ラップの平均時速なども自動的に算出してくれます。
測定したデータはCASIO WATCH+に転送でき、あとから細かく確認できます。最速ラップ、最遅ラップなどが一目で確認可能です。ダウンロードしたデータは時計と接続していなくても、CASIO WATCH+を起動していれば確認可能で、ラップ順やタイム順に並べ替えて確認ができます。
一般的な時計としての機能以外に、EDIFICE EQB-500には、スマホとつながることで実現した便利な機能もあります。例えば、アプリ経由で音を鳴らせる携帯電話探索機能。これは、家などでスマホを置いた場所を失念してしまった場合などに使えそうです。CASIO WATCH+アプリをバックグラウンドに起動しておく必要があるので、うっかりアプリを終了してしまっていると使えませんが、寝る前にベッドでスマホを見る癖があり、布団の中でスマホが行方不明になったことがあるような人は注目です。
また、新着メールの有無を確認できる機能もあります。1時間以内に届いた新着のメールがあるかどうかを、特定の操作を行った際に、右下のモード針でチェックできる機能です。ただ、これは着信時に時計が震えて押しててくれるような類のものではないので、あくまでもおまけのようなものと考えた方がいいでしょう。
EDIFICE EQB-500とアプリ(スマホ)との接続は、Bluetoothさえオンにしておけばほぼアプリの指示に従うだけで完了するので簡単です。製品名を選択して、画面の指示通りEDIFICE EQB-500のBluetoothをオンにすればOK。Bluetoothがオンになっているときは左下の7時と8時の間にある「R」と書かれた位置に秒針が移動し、接続されるとその秒針が10時と11時の間にあるBluetoothロゴの位置を指します。CASIO WATCH+から指示を送ると秒針が1回転するので、正しく通信できているか簡単に確認できます。
ちなみに飛行機に乗るときなどに、Bluetoothの電波が出ないようにできる「機内モード」も備えています。
スマートフォンとの連携機能を中心にご紹介してきましたが、EDIFICE EQB-500自体は、かなり重厚なデザインのステンレスケースが特徴的なアナログクロノグラフです。ソーラー充電システム「タフソーラー」を搭載しているので、フル充電から約7カ月、ソーラー発電なしでも動作します。明るい場所にいれば比較的容易に充電できるので、普段使っていれば充電の心配はないでしょう。希望小売価格はシルバーの「EQB-500D-1AJF」が4万円(税別)、IP処理を施したブラックフェイスの「EQB-500DC-1AJF」が5万円(税別)です。
スマートフォンと連携する時計というと、活動量計やスマートウォッチのようなものを想像しがちですが、こういう便利な連携機能はもっと増えていいように思います。普段意識することは少ないものの、ちょっとしたときに不自由を解消してくれるスマートフォン連携。こうした形での機器の進化も今後増えていきそうです。
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