トリップアドバイザー、旅行動向調査「トリップバロメーター」を発表――4割がスマホトラベラー

» 2015年07月09日 19時20分 公開

 旅行口コミサイト「TripAdvisor(トリップアドバイザー)」は、7月9日に旅行動向調査「TripBarometer(トリップバロメーター)」を発表した。

 調査の対象国・地域は世界7エリア・32の国と地域で、対象者は旅行者3万4016人、宿泊事業者1万261人、計4万4277人。集計は1月16日〜2月2日にオンラインで実施しており、今回は前回の調査結果との整合性を図るため、調査データに世界のオンライン人口比を加重している。

 同社は今回、スマートフォンを使って旅行の計画や、宿泊施設・観光施設やツアーなどを予約する人を「スマホトラベラー」と定義。本調査では、このスマホトラベラーが旅行者の42%に該当した。スマホトラベラーの割合が多い国1位はタイと中国の65%で、日本は13位・38%と全体平均の42%を下回っている。

 旅行の宿泊施設の予約経路は「オンライン」が全体の67%、「モバイルアプリ」が8%、「オフライン」が25%。モバイルアプリは前回調査の4%よりも倍増し、オンライン予約者の利用デバイスはノートPCが50%、デスクトップPCが32%、スマートフォンが12%、タブレットが5%となった。

 旅先でモバイル端末を使う場面の上位は「地図で目的地を探す」(81%)のほか、「レストランを探す」(72%)、「旅行中にやりたいことを探す」(67%)、「他の旅行者の口コミを読む」(64%)、「ホテルを探す」(50%)、「レストランを予約する」(46%)など。

 また「宿泊施設から提供されていれば便利だと思うモバイル周りのサービス」については、旅行者全体とスマホトラベラーどちらも「アダプターや変圧器」「ノートPC、携帯、タブレット等に対応した充電器」という声が多く上がっている。なお国別データから日本の状況を見ると、他国と比べモバイルに適したWebサイトの開設が低い(11%)ことが明らかとなった。

リリース本文

 以下、リリースの本文です。

トリップバロメーター

旅行計画や予約をスマートフォンで実施したことがある「スマホトラベラー」が4割を超える

トリップアドバイザーでは、旅行者パネルの回答者のうち、スマートフォンを使って旅行の計画や、宿泊施設・観光施設やツアー等の予約を実施したことがある人を「スマホトラベラー」と定義しました。今回の調査結果では、旅行者パネルのうち、42%の人が「スマホトラベラー」に該当しました。

スマホトラベラーの割合が多い国トップ15を見てみると、タイと中国が共に65%で割合が最も多いという結果になりました。日本のスマホトラベラーの割合は38%で、この割合は旅行者全体の平均である42%より低く留まっています。

順位 国名 モバイル旅行者の割合
1位 タイ 65%
1位 中国 65%
3位 ブラジル 59%
3位 インドネシア 59%
5位 マレーシア 53%
6位 スペイン 52%
7位 イタリア 49%
8位 アメリカ 48%
9位 インド 47%
9位 オーストラリア 47%
11位 ロシア 44%
11位 イギリス 44%
13位 日本 38%
13位 ドイツ 38%
15位 フランス 28%

モバイルアプリ経由の宿泊施設の予約は昨年より倍増

旅行者全体に、直近の旅行の宿泊施設の予約経路について聞いたところ、予約サイト(OTA)・宿泊施設のウェブサイト・トリップアドバイザーからの予約を含む「オンライン」が全体の67%を、「モバイルアプリ」が8%を、「オフライン」が25%を占めました。昨年2014年に実施した調査では、「オンライン」が70%、「モバイルアプリ」が4%、「オフライン」が26%だったので、アプリ経由の予約は倍に増えています。また、「オンライン」予約と回答した全旅行者に、どのデバイスから予約をしたか聞いたところ、ノートPCが50%、デスクトップPCが32%、スマートフォンが12%、タブレットが5%という結果でした。

なお、スマホトラベラーに限定した予約経路は、「オンライン」が67%、「モバイルアプリ」が11%、「オフライン」が22%という結果で、旅行者全体と比較するとアプリ経由の予約が全体より3%多いものの、大きな差異は見られませんでした。

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スマホトラベラーにとってスマホは旅行に欠かせない重要なアイテム。旅行中でも情報収集

スマホトラベラーにとって、スマートフォンは旅行に欠かせない重要なアイテムです。スマートフォンがあることによって、「瞬時に情報にアクセスできる」(66%)、「旅行中に写真を撮り、写真や経験を共有することができる」(57%)、「より効率的に旅ができる」(44%)、「旅の途中で宿泊予約を行える」(37%)などという意見が挙げられています。

スマホトラベラーは旅行者全体と比較して、旅先での調べものや予約もアクティブです。旅先でモバイル端末を使う場面について聞いたところ、旅先で「レストランを探す」(72%)、「旅行中にやりたいことを探す」(67%)、「他の旅行者の口コミを読む」(64%)、「ホテルを探す」(50%)、「レストランを予約する」(46%)など、スマホトラベラーは旅をより充実させるための情報収集にスマートフォンを駆使しています。

旅行でモバイル端末を使う場面 旅行者全体 スマホトラベラー
地図で目的地を探す 67% 81%
レストランを探す 56% 72%
旅行中にやりたいことを探す 51% 67%
他の旅行者の口コミを読む 47% 64%
ホテルを探す 36% 50%
レストランを予約する 36% 46%

スマホトラべラーが求める宿泊施設のサービスとは

「宿泊施設から提供されていれば便利だと思うモバイル周りのサービス」について聞いたところ、旅行者全体とスマホトラベラー両方において、「アダプターや変圧器」、「ノートPC、携帯、タブレット等に対応した充電器」という声が多く上がりました。しかしスマートフォンに関連するサービスの場合、一般的な旅行者とスマホトラベラーでは求める内容に差異が見られました。その他では、「旅行先でアクティビティなどの予約ができるアプリ」や「モバイルチェックイン」、「モバイル端末での支払い」なども挙げられていました。

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宿泊施設が逃している「機会」は?

スマホトラベラーの宿泊施設に対するニーズに、宿泊施設はどこまで対応しているのでしょう。宿泊施設からの回答と照らし合わせて比較すると、ニーズに追いついていない項目が明らかになりました。「充電器」のニーズは高いものの、実際に対応している宿泊施設は35%に留まりました。「旅先でアクティビティなどの予約ができるアプリ」を提供しているのは16%、「SIMカードや携帯電話の一時貸し出し」に対応している宿泊施設はわずか7%でした。今後増えていくと思われるスマホトラベラーたちのニーズにどう対応していくかは、宿泊施設にとって課題の一つと言えそうです。

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日本の宿泊施設のサイトは未だモバイル未対応

今や世界中の宿泊施設は、様々なプラットフォームからアクセスが可能となりました。調査対象国の宿泊施設の73%がオンライン上の予約を、55%がモバイル端末からの予約を受け付けていますが、モバイルに適したウェブサイトを提供している施設は46%、旅先でアクティビティなどが予約できるアプリを提供している施設は20%でした。

国別のデータから日本の状況を見てみると、モバイルに適したウェブサイトの開設が、他の国と比較して顕著に低い(11%)ことが分かりました。タイや中国、インドネシアなど日本を訪れるアジア諸国にスマホトラベラーが多い現状を考えると、スマートフォンに対応したサイトの準備は日本の宿泊施設にとって急務と言えそうです。

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